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ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第15章 ワールド・ガーディアン
201/212

レグルス確保

土曜日分です。

次回更新は日曜からまた毎日更新します。

 悪鬼(デーモン)達を赤帝竜(ルースミア)に任せてレグルスを探しに向かった【魔法の神エラウェラリエル】と【自然均衡の神スネイヴィルス】はしばらく進んだところで物凄い爆音が聞こえたかと思うと、強烈な強風に見舞われる。

 それは間違いなく今来た場所の方角からで、【自然均衡の神スネイヴィルス】が振り返ると空にキノコの様な雲が上がっていた。



「な、なんじゃアレは……」

「あー、えっと気にしないほうがいいと思います」

「まさか赤帝竜(ルースミア)までサハラの世界の魔法を使ったというのか?」


 【魔法の神エラウェラリエル】は苦笑いで答えるしかできなかった。

 それを見た【自然均衡の神スネイヴィルス】は溜息をついてもういいとばかりに手を振る。



「それはそうとそなたの使っている魔法はどの様にしてレグルスの位置がわかるのじゃ?」

「そうですね、方角がわかります」


 一度サハラが会社というところに行っている時に試した時は、ハッキリといる場所の位置がわかった。 しかしレグルスの様に情報が少ないと、なんとなく方角がわかるといった程度でしかない。

 【自然均衡の神スネイヴィルス】によくこの町だとわかったなと聞かれ、【魔法の神エラウェラリエル】は方角的にここしか町が無かったからと答える。



「つまりそなたの勘というやつか」


 【魔法の神エラウェラリエル】が頷く。 それを見た【自然均衡の神スネイヴィルス】は【魔法の神エラウェラリエル】の勘の鋭さがもはやエルフだからというのを超えている様に思えた。



 ここかと思う場所に辿り着くと、そこは巧妙に隠された【商売の神ニークアヴォ】の神殿だった。



赤帝竜(ルースミア)が竜の姿になって暴れておる様じゃ。 こっちも早いところ済ませんと儂等の命まで危ういぞ」


 2神が神殿の中に入っていき、中の様子を伺うが人の気配を感じられない廃墟の様だった。 だが【魔法の神エラウェラリエル】にはハッキリとレグルスの方角が見えている。



「【自然均衡の神スネイヴィルス】と【魔法の神エラウェラリエル】です! いるのはわかっています! おとなしく観念して出てきなさい!」


 【魔法の神エラウェラリエル】が叫ぶが、返事は返ってこない。 そこで今度は【自然均衡の神スネイヴィルス】が出てこないのであれば水を流し入れると声をかけてみると、慌てた様子で姿を見せてきた。



「レグルスよ、そなたはやり過ぎたのじゃ。 神々までもを巻き込んだ戦争にまでそなたは発展させてしまった」


 レグルスは怯えてる様子はなく、言われていることに耳を傾けおとなしく聞いている。



「それで? だから俺を始末しようっていうわけか?」

「十分な理由じゃろう。 そなたの所為でなんの罪もない人種が大勢死んだのじゃぞ」

「俺の事を何も知らないでよくそんなことが言えるな。 それでも神か?」


 【自然均衡の神スネイヴィルス】がどういうことじゃと尋ねると、レグルスは落ち着いた様子で答えてきた。


 生まれ変わってみれば、前世の記憶を持ったままだった。 しかもわけのわからない世界で、わからない言語であったため理解するまでに数年を要し、そして読み書きも覚えたことでやっとどんな世界かもわかった。 そこでこの世界にはないものを前世の記憶を頼りに作り出して商売を始めて裕福に暮らしてやろうとしてみたが、屑な人生を歩んだレグルスにある知識は、麻薬や詐欺、窃盗、それにいくらかの殺傷武器の知識しかなかった。



「そんな屑がどう足掻いたって屑な考えしか浮かばないのは当たり前だろうよ?

しかも魔導学校に入ってみれば、学長からこの世界にないものは作るなと言われる始末だ」


 レグルスはその後も境遇話をしていき、【自然均衡の神スネイヴィルス】もさすがにふーむと納得はしないもののレグルスを哀れに思い始めてきていた。



「それでその茶番劇はいつまで続けるつもりですか? 【自然均衡の神スネイヴィルス】もレグルスの口車に乗せられないでください」


 えっと声を上げてレグルスが【魔法の神エラウェラリエル】の事を見てくる。



「レグルス、貴方今まで運が良かっただけだったとは思いませんでしたか?」


 何をとレグルスが驚きながら理由を話す【魔法の神エラウェラリエル】の言葉に耳を傾ける。

 つまりレグルスは今までその巧みな話術を使ってうまく洗脳をしてきたのだろう。 しかしそれは運良くエルフが周りにいなかった為だったと話す。



「貴方の言葉はエルフには直感的に頭に気をつけろと警笛が鳴り響くのです」


 レグルスは思い返しながら確かに今までエルフが自身の側にいたことがないことを思い出す。 学院時代もどういう訳かエルフが近寄ってきたことはなかった。


 レグルスの様子から気がついたのだろうと察した【魔法の神エラウェラリエル】が観念するように言うと、レグルスは密かに握りしめていた物を投げつけようとする。 しかし……



「誰を相手にしていると思っているんですか?」


 レグルスは【魔法の神エラウェラリエル】の高速詠唱による拘束(ホールド)の魔法で身動きが取れなくされる。



「サハラさんの気持ちを考えれば、今この場で貴方を無惨に殺したい。 けれどそれを我慢してまで交渉しに来たことを感謝しなさい!」


 珍しく【魔法の神エラウェラリエル】が怒りを露わにして怒鳴った。 【自然均衡の神スネイヴィルス】も驚きながらその様子を見守る。



「こう……しょう?」

「そうです。 選択肢は2つ、今この場で死ぬか、貴方が使う武器で貴方が解き放ったゼロを倒すかです」


 それを聞いたレグルスは死より生きる道を選び、ゼロを倒すのを手伝う事を呆気なく承諾する。

 何か考えがあることに【魔法の神エラウェラリエル】は気がついていたが、側においときさえすればいつでも対処できるだろうと考えたようだ。


 準備の終えたレグルスを連れて神殿の外に近くと、レグルスがニヤけだしやがて笑い出す。



「何がおかしいのです!」

「外に出たら悪鬼(デーモン)がいるぞ? いくら神といえ2人であの数は倒せないだろうよ!」


 それを聞いて【自然均衡の神スネイヴィルス】が呆れ果てたように溜息をついた。



「儂等がここまで来れたことと、先程までの振動で何か気がつかなかったのかのぉ」



 外に連れ出すとレグルスが驚きの表情を浮かべる。 一緒にいる【魔法の神エラウェラリエル】も驚きの表情を浮かべていて、【自然均衡の神スネイヴィルス】は更に深い溜息をついた。

 なぜなら3人の目に映る町の姿は崩壊しきった町だったからだ。 そして真っ赤な髪を風に揺らしながら両手にはリストブレードをつけた素っ裸の赤帝竜(ルースミア)が1人立っているだけだった。




前書にも書きましたが、次回更新は日曜からまた毎日更新していきます。


あと私事ですが、ついに201話目まで来ました。 長かったなぁ……


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