表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第15章 ワールド・ガーディアン
198/212

過去の戦い

 ゼロが創造神の逆を司るのはわかった。 そして使った相手の武器を真似てくることもだ。



「少し試したいから手を出さないでいてくれ!」



 俺は杖術を使ってもう一度打ち合ってみると、やはり腕から杖が生えてきているせいか握り変えしはできず、杖をただ振り回すしかできないようだ。



「不死王、コイツは武器を真似るだけなのか?」

「武器や魔法、擬似魔法に至るまで模倣する。 そして模倣したものは全て使いこなしてくる」


 そう言った直後ゼロが手を変化させ、リストブレードや槍、爪、アルダに似せた剣で攻撃してきた。 だがただ振り回すしか出来ていないようで、軽くあしらっていけた。



 ……思っていたより強くないな。


 正直な感想だった。 おそらく人の武器や魔法などをコピーすることで強くなるため、時間をかければかけるほどに強くなっていってしまうのだろう。


 そこへ【自然均衡の神スネイヴィルス】や【死の神ルクリム】、【闇の神ラハス】も姿を見せ、俺がタイマンでゼロと渡り合う姿を見て驚きの声を上げた。



「サハラは……アレと戦えているというのか!?」

「封印しなくても済むのかもしれませんね」

「倒せればの話だ」


 後から来て好き勝手を言っていやがると思いながらも、確かに杖術で捌き攻撃を止めて反撃をして、どれもクリーンヒットしているにも関わらず決定打にはなっていない。

 というよりもメチャクチャ硬い。 いや、硬くなってきている。


 最初の一撃を与えた時よりも確実に硬さが増していた。


 チラと見守っているルースミアや不死王、神々を見ると渋い顔をさせていた。 理由は言わなくてもわかる。 手を出せばそれだけゼロは強くなってしまうからだ。


 それよりもだ……



「コイツ倒せるのか!?」


 戦いながら誰にというわけでもなく叫んで聞いてみる。



「今回で現れたのは2度目です。 1度目は私がサハラにお見せした通りなので倒せるのかはわかりません」


 期待はしていなかったが、【旅と平和の神ルキャドナハ】がやはりといった返事をしてきた。 だがここで思わぬ声が耳に入る。



「サハラさん! そいつもしかしたらこの世界に創造されたものしか模倣できないのかもしれない!」


 アリエルが離れた場所から気がついたことを叫んできた。


 さすがアリエル、と思いつつ防御に徹しながら考えてみると、確かにコイツは杖術もそうだが縮地法も使ってきていない。

 となれば、まだ使っていないのといえば、修道士(モンク)の素手による格闘と連撃……ぐらいしかない。

 他に何かないかと考えれば、出てくるのは当然レグルスの使う麻薬と爆弾だ。


 エラウェラリエルに顔を向けるとわかっていますとでも言うように頷き、スネイヴィルスと何やら話をしているようだったが、ゼロを相手にしているため俺には何を話しているかはわからなかった。



 杖術の真似ができないゼロは手を色々な武器に変えてしきりに攻撃してくるが、技術もほとんどコピーできていないせいか、力任せのチャンバラでしかない。

 だが俺もこれ以上攻撃を与えてゼロの強度を上げるわけにはいかず、騎士魔法も模倣されるわけにはいかないため、使えないまま修道士(モンク)としての能力と杖術で防戦に徹するしかなかった。

 そんな中俺は防戦に徹しながら、ルキャドナハに見せられた以前のゼロとの戦いの記憶を思い返す。



 それは壮絶な戦いだった。

 ルースミアは竜の姿となって空を飛びながら猛烈なブレスを吐きかけ、不死王も原初の魔法や爪を使い、大量のアンデッドを使役して戦っている。 また色とりどりの精霊達も戦っていた。

 その中に人種の神々もいて、【自然均衡の神スネイヴィルス】を筆頭に【死の神ルクリム】、【闇の神ラハス】、【旅と平和の神ルキャドナハ】、【商売の神ニークアヴォ】、今は亡き【魔法の神アルトシーム】の姿もあり、その中には俺の見知らぬ神の姿もあった。

 そしてそんな中、ただの人のように見える男の姿もあり、その人物こそ俺の先代にあたる世界(ワールド)守護者(ガーディアン)だ。


 そんな強大な力を持つ連中を相手に戦っている相手はもちろんゼロであり、今俺の目の前にいる奴だ。

 違うとすれば、ルースミアのように口からブレスを吐き、魔法はもちろん、原初の魔法やドルイド魔法などのありとあらゆる魔法を行使し、手を剣や弓あらゆる武器に変えながら戦っている。


 【自然均衡の神スネイヴィルス】が世界(ワールド)守護者(ガーディアン)の男に何か言い、それに対して頷き返す。

 【自然均衡の神スネイヴィルス】の合図で全員が一斉にゼロに攻撃を開始し出す。 その一斉攻撃でルースミアは翼と体をザックリやられ重傷を負い、不死王も木っ端微塵に吹き飛ばされ、それぞれ何かを司る精霊達も何匹か消し飛ばされていった。

 俺の知らない人種の神々もそこで命を落としていく。


 そんな壊滅的な状況になってやっと全員がその場から離れると、世界(ワールド)守護者(ガーディアン)が手に持つ剣でゼロに殴りかかる。

 一撃目……二撃目……三撃目……

 そして四撃目が入ったところでゼロは動かなくなる。 別に倒したというわけではないようだが、身じろぎひとつせずゼロは動かなくなった。

 そしてゼロの動きを止めた世界(ワールド)守護者(ガーディアン)の姿は消えていた。


 それが世界(ワールド)守護者(ガーディアン)に持たされた最大の力であることは、世界(ワールド)守護者(ガーディアン)となった今の俺にはわかる。 いや、【旅と平和の神ルキャドナハ】にこの戦いの記憶を見させられたことで知った。



 出来ればあれは使いたくないな。

 気がつくとエラウェラリエルとルースミア、【自然均衡の神スネイヴィルス】の姿が見えなくなっていた。


 しばらくして3人戻ってはきたが1人増えていて……


 あまりの驚きに思わずゼロの一撃を受けるところだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ