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戦いの先を

第14章最終話

 スエドムッサ、アルナイルと別れた俺が呼び戻されたのはそれから2〜3時間後で、それまでの間俺は1人で何もなくただぶらついただけだった。


 俺達4人に割り当てられた部屋に入ると、会議で決まった作戦を聞かされる。

 各領主は己の領土に一度戻ってもらう。 その際敵と遭遇するようであれば、交戦することなく公爵領に撤退する。

 つまり索敵を兼ねた領地回復が狙いらしく、その間にキャビン魔導王国からの援軍を待つというものだった。


 作戦の内容を聞かされた俺は、公爵領の兵の数が少ない事を心配をしたが、今更決定事項を聞かされている以上ここで騒いでも意味はない。


 その決定事項を聞かされている間、既に侯爵達は行動を開始していた。




「不満そうだな、主よ」

「そりゃそうだ。 ハブられて挙句公爵領は兵は僅かでガラ空きだぞ? 素人の俺でも良い作戦とは思えない」


 俺が口を尖らせて言うと、アリエルが背後から抱きついてきて頭を「よしよし」と撫でられるが逆に気分が悪い。



「サハラさんよく考えてください。 確かに公爵領は今ガラ空きです。 それは各領主が戻ったからですよね?」


 つまり、公爵領に戻ってきた領主と兵の方角に敵がいる事を意味し、引き返した事でその報告と公爵領に兵が集まる。

 一箇所からなのか一斉に来たのかなども全てわかり、兵力も集まるというものだった。



「一箇所から大群だったらどうするんだよ」

「もう悪魔(デヴィル)もいないのだし、始原の魔術の格好の的になるだけでしょ?」


 確かに始原の魔術は超広範囲に破壊的な威力を発揮させられる。 想像する始原の魔術によっては抵抗は愚か回避すら不可能に等しい。



「そして残った敵は我らが存分に愉しめばよかろう?」


 俺やレフィクルは一騎当千どころじゃない強さを持ち、ルースミアに至ってはもはや次元を超越している。 だが……



「だけど相手にもアロンミットもいるし、レグルスが何をしてくるかわからないだろう」


 ふふんとなぜかレグルスの名前を出すとアリエル、エラウェラリエル、ルースミアの3人が勝ち誇ったような表情を見せてくる。



「もうレグルスも大した事はないわよ」

「そうですね」

「どういう事だ?」

「我らはな、主が働いている間に主の世界の薬物や武器なども調べ尽くしたのだ」

「ええ、やろうと思えば私でも麻薬や黒色火薬などもつくり方などは覚えてあります。 もちろんそんな事はしませんけど、対抗処置は学んだつもりです」

「サイコパスの事だって調べ尽くしたわよ」

「主の世界の武器もな」


 俺が驚いて3人を見つめると勝ち誇ったような顔を見せてきた。



「お、お前ら……」


 うんうん頷く3人に……



「……ただ遊んでたんじゃなかったんだな」


 つい本音が出てしまった。



「うっわうわうわうわ、サハラさんそれ本気で言ってる!?」

「ごめん、けっこう本気だった。 ウェラはレグルスの使ったものを興味本位で調べただけで、レグルスに恨みのあるアリエルはサイコパスに対して調べて、ルースミアは初めて会った時に話した武器について興味があったってとこじゃないのか?」


 一斉にそっぽを向いたところから、どうやらビンゴだったようだ。


 思わず頭を抱えてしまう。



「ごめんね……」

「サハラさんすみません……」

「主よ、興味を持つなというのに無理があったのだ、許せ」


 3人が本気で首を垂れて謝る姿に思わずため息が出る。

 そのため息は呆れてではなく、セーラムがよくやるしょうがないなぁという方だ。 だが3人は俺が呆れてため息が出たんだと思ったのか申し訳なさそうに俺を見てくる。



「別に怒ってるんじゃないよ。 ただ3人らしいなって思っただけだ」


 3人がパァっと明るい顔になって俺の側まで来てもう一度謝ってきた。

 そんな3人を見ながら俺はこの中から1人を選んだりしなくてよかったと思う。



「なぁ、早いとここんな戦い終わらせて、アリエル、エラウェラリエル、ルースミア、それとフェンリルとイフリートでのんびり暮らせたらいいなぁ」


 驚いた顔で3人が見つめてくる。



「そうだね! そうしよう!」

「私もたぶんサハラさんと一緒なら創造神様からも許可が出ると思います!」

「その時は主の前の世界に行けたらいいのだがな」

“あそこは俺出れないから嫌だぞ”

“俺っちも断固反対する!”


 おとなしくしていたフェンリルとイフリートが我慢できずに出てき抗議してくる。

 俺としては元の世界はもう俺の世界じゃなくなったわけだし、この世界のまだ知られていないところを冒険するのも良いかなとか思っていた。



「俺としては北の氷の大地とか、西の大森林みたいな未知の領域とか、海なんかも良いなと思っているんだけどな」

“北が良いぞ!”

「大森林はエルフとしては興味ありますね」

「サハラさん! 船を作ってクルージングしよう!」


 この戦いの先の事を想像して皆んな嬉しそうな顔を浮かべている。

 そうとなれば俺は俺のできる事をするだけだ。



「ならサッサと終わらせてしまうしかないな」




明日から第15章に入ります。


第15章は少し三人称というか、サハラから離れた話が多く含まれています。



また、ゴールデンウィーク期間ですが、期間中の分は既に書き上げ終わりましたが、一応毎日更新スタイルで行こうと思います。



どうでもいい話

『狂王レフィクル』は三人称で書いています。 これはできるだけレフィクルの心象を書かないようにするためなのですが難しいものですね。

後はサハラストーリーとの交差する部分も食い違わないように考えると結構難しいものです……

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