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新たな存在の影

 また訳のわからない展開が始まりそうなことをナーサイヴェルが口にした。



「吐け、貴様の言う相手は誰だ」

「それは言えませんねぇ」


 そう答えた直後、ナーサイヴェルの首が音もなく落ちる。



「もう一度聞いてやる。誰だ?」


 蘇ったナーサイヴェルはヒッヒと笑いながら答える気はないとでも言うような仕草を見せてきた。


 その後何度も繰り返したがナーサイヴェルが答えることはなく、それどころか視線はアリエルとエラウェラリエル、ルースミア、更にはスエドムッサばかりを舌舐めずりしながら見ている。



「テメー、気持ち悪い顔で人の女を見てんじゃねー!」


 俺のその叫びでアリエルとエラウェラリエルとルースミアがそれぞれ嬉しそうな仕草や顔を見せ、なぜかそこに加えてスエドムッサまでもが顔を赤らめている。


 ……あんたは違うからね?


 ピシュっと音がし、レフィクルがナーサイヴェルの目を真一文字に斬り視界を塞いで、胸倉を掴みあげて問いただしたのだが……


 ナーサイヴェルは自ら舌を噛み切りワザと死んで蘇り、またを舌舐めずりしながら見つめだす。



「狂ってやがる」


 結局いくら問いただそうが答えることはなく、俺がブチ切れるのが先になった。



「ナーサイヴェル最後通達だ。 死にたくなければ答えろ」

「死ぬ? もう死んでいますよ、ヒヒヒ」

「お前には言ってなかったな、俺は創造神の執行者、世界(ワールド)守護者(ガーディアン)で断罪し贖罪する力がある。 この力を使えばお前はもう2度とお愉しみも何も味わえなくすることができるぞ」


 ブツブツ何か言いながら思案しているようで、何かを思いついたのか俺に交渉を持ちかけてきた。



「もし名前を教えたら、(わたくし)も地上に戻してくれるんですかねぇ?」

「お前みたいな死姦するような奴を戻すと思っているのか?」

「何故それをお前が知っているのです!」


 そりゃもちろんその被害者になりかけたからに決まってるだろ。 なんてことは言えず、言葉に詰まりながらレイチェルに聞いたと答える。

 なるほどと疑うことなく納得してくれたようでその場はしのげたようだが、その後に続く言葉は当然……


「なら当然教えるわけがないですね。 それとおとなしく消滅する気もありませんので」


 こういう事を言う奴の定番は大抵決まっている。 この場はなんとか逃げ切ろうとするものだ。

 断罪しようと顔を見ようとするが、知っているかのように手で顔を覆うとブツブツ何かを口にしだした。


「逃げる気だぞ!」


 俺が叫ぶのと同時にナーサイヴェルの姿が薄れていく。

 そこへ電光石火の勢いでレフィクルが漆黒の短剣で斬りかかったが、身を守るために後方へ飛びのいて躱したため致命傷には至らないまま消えてしまった。



 ナーサイヴェルが消えて静寂が訪れて暫くは俺を含め、その場にいる全員が呆然となってしまっていた。



「どういう事だ……これで未来は確実に変わるはずじゃないのかよ……」

「どういう意味だ?」

「あんたはラーネッドから何も聞いていないのか?」

「先の世を知れば愉しみも減るというものであろう? 生とは先のわからぬ道を歩むから楽しいのだ」


 レフィクルのいう事に思わず苦笑いが出てしまう。 確かに俺はブリーズ=アルジャントリーに会って先の世を聞かされ、そうならないようにするためだけに生きてきたように思う。



「でももし世界が崩壊すると知ってもレフィクル、あなたは見て見ぬ振りをするの?」


 アリエルは自分が俺とやってきた事が間違いだったとは思いたくはないのか、その考えをレフィクルにぶつけたようだ。



「例えば……レジスタンスという存在が現れたとしても、いつどこで考えがかわるやもしれぬ、故に余は実際に敵と認識するまでは放っておく」


 レフィクルが俺とエラウェラリエルをチラと見ながら答え、ルベズリーブは思い当たる節があったのか、ハッとした顔をレフィクルに向けていた。


 俺は俺で初めてレフィクルと戦う事になった時を思い出す。 あの時先に剣を抜いたのは確かにマルスとセッターとセレヴェリヴェンだった。



「そして、神も余に敵対してきた。 が、アロンミット単独による事だと知った今、すべての神に敵意は抱いてはおらぬ」


 レフィクルがエラウェラリエルを見つめながら答えた。



「ですが【闘争の神レフィクル】として成すべき事はして頂きます」


 エラウェラリエルが神威を発して、レフィクルに神としての責務を果たすようにと伝えた。

 だがレフィクルは頷きもせず、エラウェラリエルではなく俺の方を向いてくる。



「貴様が本当に創造神の執行者なのであれば、余の頼みを聞き入れるか?」


 あのレフィクルが俺に頼みごとをしてきた事に驚き、その頼みというものに不安がよぎる。



「聞き入れられるかは聞いてみないと答えられないな」

「スエドムッサ、ルベズリーブ、ナータスの3人をラーネッドの様にそばに置きたい」


 驚きの声を上げたのは名を呼ばれた3人だった。



「お父様!」

「レフィクル様!」

「へ、陛下!」

「ログェヘプレーベとノーマは未だ健在なのだろう。 それにこいつらは余に従っただけで罪も無いはずだ。 違うか?」


 ううむ……しかしそれは神界が危険にさらされたりしないだろうか。


 そんな心配をしているとルースミアが俺のローブを引っ張ってきた。



「主の心配事は手に取るようにわかるわかるぞ。 だからな、ちと耳を貸せ」


 耳を向けるとルースミアが口をつけてごにょごにょと俺にアドバイスをしてくれる。

 納得いくアドバイスをくれたルースミアに感謝しレフィクルに向き直る。



「こちらの条件を飲めば了承しよう」


 レフィクルが顎を上に上げて言ってみろとやってくるため、俺も頷いてから条件を口にした。



「スエドムッサ、ルベズリーブ、ナータスの3人を断罪させておいてもらう」

「余が神界を掌握するとでも思ったか? ふん、構わぬ。 勝手に断罪でもなんでも好きにすれば良かろう」


 レフィクルが3人に顔を向けて顎で俺の前に立つ様に指示し、それに従って3人が俺の前に並んだ。



「お手柔らかにお願いしますね」

「人の罪を覗き込むとはいい趣味とは言えないな」

「さっさとしやが……どうぞ」


 こうして接してみると3人はごく普通にしか見えず、レフィクルも話をしてみれば悪い奴とは俺には思えなくなっていた。

 そんな事を思いながら1人づつ顔を覗き込んでいくと、3人共俺の頭が痛くなる様なほどの罪らしい罪は見えず、おそらく贖罪しても大した効果はなさそうな程度だったが、顔には出さない様に終わったとだけ伝えた。




いつも読んでくれてありがとうございます。


本日はマルスの事でも書いてみます。

今はメビウス連邦共和国になっていますが、元々はトラキアル王国のボーロ男爵家の息子様です。

元ネタは2人の部下がいたのでわかるかたはわかっているかと思います。

しかしこの設定はまたかと言われるかもしれませんが、当初全くありませんでした。

まぁ性格は想定通りでしたが……

そして変更点が一つありまして、本当はセーラムの想い人の設定で、密かに一夜限りの愛を育んでいる設定もありました。


なくなってしまったのは未来が変わったから……

本来の設定以上にサハラを強くさせすぎてしまいました(・_・;


そしてもう一つですが、エラウェラリエルとアリエルは本来の設定に存在していませんでした。 そのため殺そうとしてみたりしたのですが、罪悪感に耐えられなくなりました……

そのため想定外の3人の恋人が出来てしまいました。


とまぁそんなところで。


あとがきはコピーじゃないので、書けば更新が遅れるのでこの辺にします。


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