レフィクルの居城
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姿を見せたのは巨大な黒竜……とはいってもルースミアからすればたいしたものでもないが。
「お前らここにいったい何の用だ」
ここと言われても、そもそも縄張りとかでもあったのだろうか?
速攻で縄張りとかあったのかルースミアに確認を取ると、あちこちにそれぞれ縄張りらしいものは確認できていると……
「先にそれを言えーー!!」
「言ったとして主にどれがレフィクルのものかわからんだろう?」
とまぁ漫才じみた事をしていると黒竜がレフィクルの名前を聞いて反応を示す。
「貴様らレフィクル様に何の用だ! 事と次第によっては……」
「事と次第によってはどうするというのだ半端な竜族の血を引く小僧!」
脅しかどうかわからないが、黒竜が言い切る前にルースミアがブチ切れたその迫力か、竜族の血だかで一瞬ひるんだ様子を見せた。
そして俺はレフィクルの部下にゴリラ獣人だと思った奴がいた記憶が思い起こされた。
「お前、確かレフィクルの部下にいた奴だったよな?」
「ぬ、いかにも俺はレフィクル様の配下のナータスだ! 俺を竜族の半端者と知る貴様は何者だ!」
「……ふむ、クォーターあたりか? まぁいい、我は赤帝竜この名を聞いて竜族の血を引くならわからぬはずはなかろう?」
「る、赤帝竜!?」
ナータスが驚きの声を上げるのと同時にルースミアからブチッと何かが切れるような音が聞こえた……
「貴様ごときが我を呼び捨てるとは10000年早いわ!!!」
赤帝竜の猛烈な怒鳴り声に、黒竜の姿だったナータスが人型にしぼんでしまい、まさか怯えた様子を見せている。
「ルースミアそんなに威さなくてもいいからさ……
それでナータスだっけ、レフィクルに会いにきたんだけど場所まで連れて行って欲しい」
ナータスがボソボソと何かを言ったが聞き取れず聞き返そうとすると、ルースミアがまた睨みつけながら怒鳴り散らし始めた。
「貴様それでも竜族の血を引く者か! 半端であろうが竜族の血を引くのであれば威厳を持たぬかっ!」
それを聞いたナータスが目に涙を浮かべながらルースミアを見つめる。 相当な恐怖なのだろうと思っていたのだがどうも違ったようで、半端者な自分でも竜族として見てくれた赤帝竜に感動していたようだった。
詳しく聞いてみると、ナータスは幼少の頃からその身体に流れる血のせいで畏怖され、奴隷商人に捕らえられ奴隷として生き続け、己の身体に流れる血を呪ったのだという。
「だがレフィクル様だけは違った。 俺の身体に流れるこの血を役立てて見せろとおっしゃってくれた」
ここでもまた俺が知らないレフィクルの一面が伺える。
しかし、その感動的に思える話も赤帝竜には興味がないらしく、「サッサとレフィクルのところへ連れて行け」で片付けられてしまった。
すっかり怯えきったナータスに連れられ、俺達はレフィクルの居る場所まで移動していくと、次第に悪鬼の姿が見られるようになってくる。
ナータスの姿を見て攻撃こそしてこないが、俺達を警戒をしているようだ。
「ナータス、悪魔や悪鬼は一体何者なんだ?」
「あれは元はガウシアン王国の兵士達だ、です。 悪鬼は当初ここを陣取っていた連中だったが、レフィクル様が制圧して配下とした者達だ! ……です」
……なんていうか、ルースミアがいれば話が済んでしまいそうな気がしてきたな。
チラとアリエルとエラウェラリエルを見て、俺と同じような事を思っていたように見える。
それにしてもまさか悪魔がガウシアンの兵士達だったとは驚きだ。 だが確かに悪魔は明確な姿を持っておらず、必ず人種に憑依して活動していた。 それに対して悪鬼は憑依することなく本来の姿を晒していた。
だが疑問も残る。 ガウシアンの兵であり悪魔となった連中はなぜ死極を抜け出られるのだろうか? それと同じく悪鬼達も抜け出ている。 そしてそれが可能ならなぜレフィクルはここを抜け出ないのだろうかだった。
もちろんそれをナータスに聞くと、驚きの答えが返ってきた。
「死極に封印された当初はレフィクル様はここから出て神に復讐を考えておられたが今はその考えは無いようだ。 です。
抜け出ているという話は何を言っているかわからんな……わかりませんな」
疑問が増える一方だ。 これはもうレフィクルに会って直接聞くしか無いだろう。
そうこうしていると次第に己の目を疑いたくなるような物が見え始めてきた。
「あれは……城か!?」
「驚いただろう。 レフィクル様はこの不毛な大地にルベズリーブと共に魔法やらを駆使して長い年月をかけて作り上げてきたのだ。……です」
近づけば石造りの見事な城壁があり、そこを抜けると殆どが石造りの建物の町並みが見事にできていた。
「まさかこれ全てが魔法で作った石を永久化させて作り上げたものですか!?」
「間違い無いわ。 ここまで作り上げるなんて……長いなんていう次元じゃないわ!」
町並みを歩くと町にいる人達が俺達を訝しげに見てくるが、ナータスが先導していたため何も言ってくることもなく頭を下げるだけだった。
そしてついに砦ぐらいしかないがこの死極では立派すぎる城に辿り着いた。
「赤帝竜……様、さすがにここから先はレフィクル様の了承がいるのでお待ちいただけないでしょうか」
ルースミアが俺を見てきて頷くのをみて大人しく頷いた。
ナータスが城内に消えしばらくすると、誰かと一緒に戻ってきた。 レフィクルかと思ったが姿を見せたのは蝿のような気持ちの悪い顔をした虫人のルベズリーブだった。
「この死極に生者か……? 偉大なる赤帝竜がレフィクル様に何の用だ」
「我は用などない!」
胸を張り堂々とルースミアは即答した。 俺は思わずぶっこけそうになったが、ルベズリーブは冷静なままだった。 さすがはレフィクルの片腕と言ったところか。
「物見遊山で来たわけでは無いのだろう?」
「俺がレフィクルに用があってきた。 交渉であって戦いにでは無い」
「こちらとていくら死なぬとはいえ、赤帝竜を相手にここまで築き上げた土地を失いたくはない。
わかった、レフィクル様に会わせてやろう」
ついにここまで辿りついた。死極を出ればまだ2時間も経っていないだろうが、内部に来てから既に数ヶ月は経っている。
あとは俺の交渉次第となった。
ただ自分が書きたいから書いている。
ど素人の、作品とすら言えるかわからないものに、評価など期待しないようにして書いているつもりではいます。
それでも読んでくれる人がいて、ブックマークが増えたり、感想を頂けたりした時はとてもありがたいし嬉しいです。




