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レグルスの執着

 話がまとまり俺は教室に戻ると早速レグルス達に囲まれどこの部屋になったかを聞いてきた。


「サーラさん、部屋はどこに決まったの?」

「実は決まるまでの間はとりあえずアラスカ先生と一緒の部屋になるそうです」


 それを聞いたレグルスがチッと舌打ちをし、何かを言おうと口を開いた矢先に、廊下から騒がしい声が聞こえてきた。


 教室の扉が開かれると魔道兵が入ってきて、教壇から声をはりあげる。


「この中にアリエルという人物はいるか?」


 アリエルに伝えてなかった俺は咄嗟にアリエルに繋がる。


『アリエル、おとなしく魔道兵について行ってくれ。グランド女王の作戦なんだ』

『そうなんだ驚いたわ。グランド女王が手助けしてくれているのね。うん、分かった』



 そう答えた後アリエルが名乗り出るとそのまま任意同行として連れて行かれる。

 不思議な事にレグルスは全くの無反応のままだった。



 夕飯時になってもアリエルが戻る事はなかった。1人食堂に向かおうとするとレグルスが早速誘ってきた。



「サーラさん、一緒に食べよう」


 食事中も色々と話しかけられ、受け答えをしながらなんとか食事が終わり、アラスカの部屋に向かおうとするとレグルスが手を掴んできた。



「サーラさん、もう少しゆっくりしてから戻れば良いじゃないか。面白いモノを見せる約束もしたんだしさ」

「ですが……」

「大丈夫だよ!!」


 脅すように言ってきて、ついてこさせようとしてくる。どうしたらいいか迷っていると手を引っ張って連れて行こうとし始めた。


「え、ちょっと、待って」

「いやだ、待たない。一緒に来るんだ!」


 これ以上拒むとまたレグルスがキレそうだと思い、おとなしく引っ張られながら歩き出すと、レグルスがまた笑顔になった。


「ついてきてくれるね? サーラさんはやっぱり優しい人だね」

「そんな事ないですよ」

「うううん、サーラさんは優しいよ」

「そうですか?……」

「無理矢理っぽくて嫌だった?」

「うーん、でも本当に少しだけですよ」


 まぁこれでまたキレられて怒鳴られるのも面倒だし、ちょっとだけ見せたいものって言うのを見せて貰ったらすぐに戻ればいいだろう。



 レグルスの部屋に入ると1人部屋かと思ったが同室の生徒がいた。

 俺が入ってくると何か言ってくる事もなく、部屋を出て行ってしまう。


「あれ? いいんですか?」

「あぁ、うん。大丈夫だよ。それより見せたかったもの。これ知ってるかい?」


 案の定出てきたのはリバーシだ。侍女をしている事になっているのだから知っている事にしたっていいだろう。


「リバーシですね、マルボロでやった事があります」


 ワザとリバーシの発音を間違えて言う。


「さすがだね! でも発音が違うよ、リバーシだよ」

「リバーシですか?」

「そうそう。なら1回俺と勝負しようよ」

「いえ、見せて貰うだけの約束でしたから、これで……」

「いいじゃないか!! 1回ぐらい!!」


 クソッまたキレだしやがったよ。じゃあ今度は先に約束してこれ1回で帰ってやる。


「じゃあ1度だけですよ? それで戻りますから約束してください」

「本当に!? やった! サーラさんってやっぱり優しいね」

「そんなんじゃないです。早く始めましょう?」



 レグルスとのリバーシが始まる。実はこのゲーム、そこそこ自信があって角を1か所2か所と取るたびに、「しまった」とか「やられた」とレグルスの嘆く言葉がこぼれる。その度に心の中でヨシっと呟いた。


「サーラさん強いね。俺結構自信があったのに……」

「たまたまですよ」


 ザマァみやがれ。って言うかたいして上手くないなこいつ。


 そう思って続けていくと追い詰めていき、俺の最後の一手で勝負がついた。3分の2ほどが白の盤面となり俺が勝つ。


「私の勝ちですね」

「サーラさん強い! ね、お願いこのまま負けたままなんて嫌だ。せめてあと1回! ね? いいでしょ?」


 コイツ理由つけていさせようとしてやがる……まぁサックリと負かして帰ればいいか。


「しょうがないですね、本当に次で最後ですよ?」

「本当に? やった!サーラさんありがとう!よし次は勝ってみせるぞ!」


 そして2回戦目が始まり、2回目になると多少接戦となり僅差でなんとか俺が勝った。


「くそー、また負けた。サーラさん本当に強いなぁ」

「それじゃあ約束だからこれで戻りますね」

「うん。あ、サーラさん!」

「はい?」

「凄く楽しかった。また今度相手してくれる?」

「そうですね、機会がありましたら」


 そう言って部屋を出る。別に引き止められたりはせず少し拍子抜けする。最初は何か言って引き留められるものと思っていたが、約束は守ったようだ。




 俺はリバーシを久しぶりに楽しんだ後気分良くアラスカの待つ部屋に戻った。


「サハ!……サーラ……さま……ん……」


 言いたい事は分かるぞ。


「アラスカ先生、遅くなってしまってすみません」


 ワザと言ってから部屋の扉を締めると、混乱した顔を見せて俺を見てくる。


「どうしたんですか?」

「どうもその姿は見慣れませんね。っとそうでした! 急いで今から王宮の方に向かってください!」

「今から、ですか?」

「今からになったのはサハラ様が遅かったからですよ」


 確かにね。すっかりリバーシに熱中したせいで、グランド女王やキャスに迷惑をかけてしまったようだ。

 俺は急いで向かうべく、窓から外へ飛び出る。


 あっと言うアラスカの声が聞こえたが、気にせずに修道士(モンク)が使える縮地法で移動……と言うか、目に見える位置までヒュンと瞬間移動する。そのまま連続で移動しながら王宮へと文字通り飛んでいった。



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