皆んなでお買い物
服もとりあえず着て格好だけはなんとかなった。 あとはルースミアの真っ赤な髪をなんとかしないといけない。
そのために一応キャスケットも買っておいた。
「ルースミアは悪いんだけど外に出る時は帽子で髪の毛を隠してくれるか?」
「なんでだ?」
「こっちの世界だとだいたいが俺と同じ黒髪か染めて茶色とかもいるけど、ルースミアのその色はあり得ないんだよ」
「赤帝竜さんの人型時の髪の毛は魔力が色に出ていますからね。 正直なところ私達の世界でも無い髪色で目立つ髪色ですが……珍しいだけで大した事では無いのではありませか?」
……ず、ズレている。 いや、まぁ俺の黒髪もあっちじゃ珍しいがさほど気にされなかったな。
「こっちじゃそうもいかないんだよ。 アリエルの赤毛だってかなり目立つからな。 ただアリエルの赤毛は無いわけじゃ無いから多分大丈夫だ」
「ふーん、面倒なのね」
理解が得られたところでルースミアの髪の毛をトップでお団子を作ってヘアゴムで留めてキャスケットを被せてやる。
「あ、ルースミアさん可愛い、似合ってるよ」
「ふむ、我としては邪魔でしか無いがサハラが困るというのなら我慢しよう」
これで一応なんとかなった。 あとは言語だが……魔導学校で魔法の勉強をしておいてよかった。
「いいか、まず俺に触れて言語会話を使って永久化を使っておいてくれ」
素直に3人が従って俺に触れて言語会話と永久化を使う。
『よし、今後はこれで喋るようにしてくれ』
『はーい』
『わかりました』
『うむ』
ルースミアの言葉使いが気になったが直せと言って直せるものでも無いだろう。
ついでに文字も読める様に言語読解も永久化してもらう。
この2つ、いや4つの魔法だけですべての言語の会話と文字の読み書きをマスターしてしまえるのは実に便利だ。 というか語学の勉強がいらなくなるのは羨ましい。
(注,これにより以後は『』を「」に変えます)
次にどんな相手であっても怪我をさせる様な事、交戦と魔法の使用を禁止を言い渡しておく。
「敵が出たらどうする気だ?」
「いや、いないから。 もし何かあった場合は俺が対処するから、基本的には3人は何かあっても絶対に逆らわないで欲しいんだ」
「面倒な世界ねぇ……」
その後もクドクドと思いつく限りの注意点を話しておく。
「だいたいこれでいいかな? 質問は何かあるか?」
「質問ってわけじゃないんだけど、いい?」
俺が頷くとアリエルが俺に女体化したままでいて欲しいと言ってくる。 理由は性差を強く感じられたからだという。
少し考えてみる。 この3人を連れているときに、もし知人に出会ったら言い訳も考えないといけないのは確かに面倒だ。
了承するとアリエルが妙に嬉しそうだ。
「なんだ?」
「なんか昔を思い出さない、サーラ?」
「あぁ、アリエルと出会った頃か。 そうだサーラもここではおかしいからサラとで呼んでもらえるか?」
「いろいろと面倒なんですね」
「それで主よ何処かに出かけるのか?」
「服をもう少し見にいこうと思うんだ。 変えも必要だしな」
マンションを出て街に出ると早速すごい視線を浴びる。
その視線から逃げる様に歩き出すが、3人は明るい日中の街並みに驚き、キョロキョロしながらでなかなか進んでくれない。
なんとか公園を超えてスーパーに辿り着きまずATMでお金を引き出す。
ボーナスが出た後年末で忙しかったため全く手をつけていなかったから、まだまだお金は十分にあるがこれから3人も養うとなるといずれ貯金も崩さないといけないだろう。
スーパーに入ると3人の動きはさらに遅くなり、あれなにこれなにと3人がかりで俺は質問攻めされる。
「ほらエスカレーターに乗るから気をつけろよ」
「階段が動いてるよ!?」
「あ、サハ、サラさんがどんどん行っちゃいます」
「我が挑戦してやろう!」
……つ、疲れる。
先に2階に辿り着き上から3人が登ってくるのを待つ。 ルースミアは立ち止まらずにエスカレーターを登ってきたため、降りる時に転びそうになったのを俺が受け止め、立ち止まって乗っていたアリエルも降りる時にちょっとつまずき、エラウェラリエルは難しい顔をしながらピョンとジャンプして飛び降りて上手く降りれると「やった!」とでも言わんばかりの顔を向けてきた。
先ほども来たばかりの店に辿り着いて、ここで好きな服を選んでいいと伝えると、アリエルとエラウェラリエルが目を輝かせ始める。
「いいか、はぐれると困るから一緒に行動する様に!」
「はーい」
「はい」
「……むぅ」
店中でもものすごい視線を浴びながら主にアリエルとエラウェラリエルが服を探していく。 ルースミアの分も2人がしっかり選んでいき、俺の分まで選んでいる。
「サハ、サラの格好そのままじゃおかしいからね」
「そうです、それにそれ男性物ですよね?」
こんな感じでアリエルとエラウェラリエルはウキウキと、俺とルースミアは退屈そうに2人になされるがままになっていた。
ちなみに試着室の事を教えると全部着替え出しかねないため、秘密にしておいたのは正しい選択だろう。
服選びだけで4時間要し、やっとレジまで持っていくのだが、ここでまた店員達がチラチラ俺達を見てきた。
……うほぉ! 諭吉さんが一気に数枚消えていった。
パンパンになった袋を1人1袋づつ持ちながら、次はこれまた有名靴屋に入る。
「ここで動きやすい靴を買っておこう」
「靴? ですか?」
「ああ、今までの靴より履き心地が段違いだぞ」
スニーカーが並ぶところで見ていると男の店員がすっ飛んできた。
「何かお探しでしょうか?」
見え透いたお決まりの挨拶をしながら俺達に声をかけてくる。
「3人共ここら辺にあるやつで履き心地のいいのを選んでよ」
それを無視して俺が3人に靴を選ばせる様に促し、俺自身の物も選んでいく。
「これ履き心地いいですね。 歩きやすそうです」
「あたしはコレかな? やっぱり足首固定された方が安心感あるもの」
「我はよくわからないからサラと同じものでいいぞ」
うん、なんかあっけなく決まった様だ。 色とかは服に合わせて選んだ様だし、あとはサイズを店員に任すだけだが……
「サイズの上下を履いてみて良さそうなものを選んだ方がいいですよ」
などといってきたため無駄に時間がかかる。 男性店員はその間も一人一人を堪能する様にジロジロ見、足のサイズを見るふりをして足を触ってきていた。
……キモいってよく言うのがよくわかる気がするよ。
結局靴を購入して家まで袋を抱えながら戻る頃には日が暮れ始めてしまった。
珍しくこんな時間に更新です。
本日分とは別なので、本日どこかで1話更新します。
念のため……外出時以外はサハラは元の姿に戻っています。




