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とりあえず服を買いに

 朝食を済ませひと段落したところで改めて気がつく。

 アリエルとエラウェラリエルと俺は下着姿で、ルースミアは真っ裸のままだった。



「……俺が言わなかったから服着なかったのか?」


 頷く3人を見て俺は、赤帝竜と言われたルースミアに神の代行者であるアリエル、そして最後に本物の神であるエラウェラリエルを下着姿のままでいさせてしまった事に申し訳ない気持ちになる。



「す、済まん……」


 咄嗟に謝ったのだが、3人は俺がなんで謝ったのかわかっていないようだった。


 しかしこんな冒険者が着るような服のままもマズイだろうという事で、3人の服を買う事にするのだが……買いに行くにもまずその服がないわけで、男の俺が3人分の女物の服を買えるわけがない。



「主、どうかしたのか?」


 唸ってでもいたのか、ルースミアが心配して聞いてきた。



「うん、3人の服を買ってこようと思ったんだけど、俺が買ったらただの変態だなぁと」

「それならサーラになればいいんじゃないの?」

「それだ!」



 だがここで問題があり、ここに来てからフェンリルとイフリートが静かなままで、呼びかけても返事も何もなかったのだ。 とりあえず仕方がないのでドルイド魔法が使えるか試す事にし、変幻自在(シェイプチェンジ)を使って女体化してみると普通にドルイド魔法は使えたようだ。

 となれば話は早く、男物だが服に着替えダボダボなのは服を折ってごまかす。



「よし、ちょっと行ってくるからおとなしくそこで待っててくれよ」



 某有名な店に向かって懐かしむように町並みを見回しながら歩いていく。 と言ってもマンションの目の前の公園を超えた先にある大型スーパーと距離は近い。

 時間はそろそろ開店する時間だが少し早かったようでまだ開いてなかった。



「ちぇ、時間潰しにコーヒーでも飲んで待つか」


 マンションまで戻り1階にある黄色いMの字のピエロがマスコットの店に入りコーヒーを頼み、公園でベンチに座りながらちびちび飲みながら開店を待つ。



『お姉ちゃんひとり〜? それとも待ち合わせとか?』


 ……うわ最低だ。 まさかナンパされると思わなかった。


 3人組でどう見ても逃がす気のない布陣だ。



『えーと間に合ってますのでさようなら』

『おい、ちょっと可愛いからって調子に乗んなよ?』


 ナンパ野郎の1人が俺の手を掴んでくる。



『勝手に触らないでもらえるかな? それにもうお店空いたから行きたいんだけど?』

『……っ! コイツ! 拐ってまわしてやる!』


 この街ってこんなに荒れてたっけ? まぁあいいや。 なんか久しぶりに感じるが……すーー、はぁーーー。


 修道士(モンク)特有の呼吸法をし、掴んでいる手を掴み返して少し力を入れて握り返す。

 悲鳴をあげて男は俺を掴んだ手を離し掴まれている手を引き剥がそうと必死になる。


 昔ならビビっていたところだが、戦いと血と死の世界に行ったおかげで、平和ボケしたこの世界で恐怖なんか感じない。

 掴んだ手を離して、仲間を助けもしないで怯えた表情で見てくる残った2人を尻目にスーパーに向かった。

 スーパーと言っても大型スーパーで、各種様々な大手有名チェーン店などが入っている。 その中にあるどこに行っても必ずあると言っていい服のチェーン店に入り込んだ。



 うーむ……店に入ったはいいが思わず逃げ込むように男物売り場に来てしまった。


 改めて店にある鏡で自分が女の姿を確認し、覚悟を決めて女物の服を眺めていく。


 ……全くわからん!


 籠を手にしてとりあえずワイヤーのないブラ機能のある物に手を伸ばす。


 3人共スリムだからMサイズの……それぞれのおおよそのカップサイズのものを選んで籠に放り込み、ショーツも適当に選んで放り込む。 あとは動きやすいようにジーンズと体から発する水蒸気を熱に変換する長袖、そして薄いダウンジャケットを全て適当な色違いで選んで籠に入れる。


 あとは靴か……サイズが……わからん!


 適当に今の自分の足に合わせておおよその見当で選んでレジに並び、現金で支払いを済ませて家路に着いた。




「戻ったぞ〜」

「主! 大変だ!」


 ルースミアの声が聞こえ、何をやらかしたのか慌てて部屋に行くと3人が雁首そろえて電源が入ったテレビを見ている。 しかも見ているのが砂嵐のような映像……

 それはDVDを見る以外使わないため、アンテナを差し込んでいないからだった。



「コイツが突然光り出してずっとこうなっている」

「それはテレビっていうんだ。 後で何か見せるら、とりあえず服を好きに選んで着てくれ。 と言っても色違いだけどな」


 見せるといったところで3人共首をかしげていたが、袋から買ってきた服を部屋に広げると3人が一斉に服を選びだしはじめた。



「うわぁ着心地凄くいい!」

「魔力もなくてこんなに薄いのに汗が出るほど熱いなんて……」

「我は正直面倒なだけなんだがなぁ。 主よ、やはり着ないとダメか?」


 ここでも三者三様の答えが返ってくる。 とりあえず3人にジャケットは外に出るときに着る物だと脱がさせ、これでなんとか格好だけはごまかせたかな……と3人を見るとどこからどう見てもモデルさんだった。



 ……これ目立つわー、ルースミアの真っ赤な髪をなんとかしたとしても目立つわー。



第12章はきりがなくなりそうなため7話で終わらせました。 現在第13章下書きに入っています。

元の世界が本当にごく普通なんで、日常しか書くことがなかったです(^_^;)


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