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創造神とラーネッド

 王宮を後にしてブリーズ=アルジャントリーと2人で王都に出る。 目指すは創造神の神殿だ。


 俺はフードを深く被り顔を隠す様に歩きながら、隣にいるブリーズ=アルジャントリーの顔を覗き見ると深刻そうな顔つきをしている。



「ラーネッドの裏切りか?」

「え? あ、はい。 それもありんすが、わっちが未来との繋がりが途切れた理由がなんとなくわかった気がしたんです」


 なんとなく予想がついたが、それを聞いてもいいのか迷っていると、ブリーズ=アルジャントリーが俺の手を掴んできて口を真一文字に結んでいるように見えた為、やはり聞くのはやめておくことにした。



 創造神の神殿に辿り着き中へと入る。 もう何度ここに足を踏み入れただろうか。

 そして最奧部の場所まで、これまたいつもと同じく神官に連れていかれてここから先はお2人でどうぞと言ってきた。

 いつもならお1人ずつと言われるはずが今回は言われず、手を繋いだままのブリーズ=アルジャントリーの手を引いて階段を下っていった。




 変わらず小さな部屋のような場所があって、そこに1人の女性が座って待っていて俺とブリーズ=アルジャントリーが近づくと笑顔を向けてきた。



「よく来たサハラ、それとブリーズ=アルジャントリー」

「創造神は創造し見る者でしたよね」

「いきなりだなサハラよ。 確かに我は創造する者だが、見るのは正確には違い興味のある者を見るだけだ」


 ……だからか。



「という事はやはりレフィクルの妻がアロンミットに殺されたというのは……」

「見ていない。 我は全てを見れるわけではないのでな」


 俺は創造神にレフィクルの悪魔王とした事を撤廃できないものか持ちかけてみる。

 それが出来れば悪魔(デヴィル)は消え去り、未来においてブリーズ=アルジャントリーがいうような世界にはならないはずだからだ。

 だがその提案は即答で却下されてしまう。



「何故ですか!? 一度決めたらもう変えられないとかいう理由じゃないでしょうね!」

「そういきり立つな。 今から理由を説明しよう」


 創造神が撤廃しない理由は【闘争の神エナブ】をレフィクルが取り込んでしまった事だという。 それによりレフィクルが神格を得てしまい、人外の力を手に入れてしまった為、人には戻せなくなったのだそうだ。



「仮に撤廃したとしてもレフィクルに残された道は、【闘争の神レフィクル】として存在するしかない」


 それの一体何が問題なんだろうか? その疑問に創造神ではなく、ブリーズ=アルジャントリーが答えた。



「わっちの思いんすに神々を恨んでいる為、他の神々みなを殺しかねないのじゃありんせんでありんしょうかぇ?」

「その通りだ。 そして全ての神々の力を手に入れて気が晴れなければ、次は人種以外の力に手を出しかねないだろう。 そうなれば世界は完全に統制が取れなくなり、弱肉強食の混沌の世が訪れるだろう」

「なら本人に確認取ればいいんじゃないですか? もちろん条件も用意しないといけないでしょうけどね」


 笑いだした。 俺がアイデアを言ったら初めて見る創造神の大笑いをみた。 そして笑いが収まると今度は真顔になって俺を見つめてくる。



「誰が確認を取るというのだ? まさかサハラ、其方がやると言うのか?」

「まぁ言い出しっぺですからね」

「死極に堕ちたレフィクルやその部下達は死極で死ぬ事はないが、其方はそこで死ねばそのまま死極にとどまる事になるが、その覚悟はあるか?」


 ……それどんなインチキルールだよ。



「ま、まぁ、行くかどうかは取引条件次第じゃないでしょうか?」


 今までの話を聞くからに、レフィクルにアロンミットを殺す権利を与えるのはどうかと言ってみれば、創造神はアロンミットこそ悪魔王が相応しいだろうと答えてくる。 つまり輪廻の渦には還さないという事のようだ。

 そしてもう1つ、ラーネッドをなんとかできないか尋ねると難しい顔を見せ【死の神ルクリム】を呼び出した。



「連れてきますか?」


 どうやら輪廻に還る事をずっと拒み続け、今も真っ暗な何もない無の世界に留まっているという。

 程なくして創造神の命令でラーネッドと呼ばれた女性が【死の神ルクリム】に引っ張られながら一糸纏わぬ姿で連れてこられる。


 俺の目に毒だとローブを脱いで掛けてやり、支え起こしてやるとラーネッドが俺をジッと見つめてきた。



「貴方は……レフィクル様ですか?」

「は?」


 レフィクルと言いだし焦ったのは俺だ。 何故俺をレフィクルと見間違うというのだろうか。

 そこへ姿を確認したブリーズ=アルジャントリーが見せた事のない怒った表情でラーネッドに(はや)し立てだした。



「ラーネッド! サハラ様を事もあろうか敵であるレフィクルと見間違うとはどういう事でありんすか! しかもレフィクル暗殺を失敗した上に妻になりんしたとはどういう事でありんすか!」


 ラーネッドがブリーズ=アルジャントリーを見て目を見開く。 そして俺をもう一度見るなり謝りだしてきた。



「も、申し訳ありません! サハラ様と気がつかずレフィクル様と勘違いするなんて……」


 ……未来の俺って何様なわけ?


 初めて見る興奮したブリーズ=アルジャントリーが更にキーキー言いだし、話が進まなくなりそうなため黙らせラーネッドに何故俺をレフィクルと見間違ったのかを尋ねた。

 非常に事細かにどの様に辱めを受けたのかから説明しだしたため慌てて止めさせる。



「つまりレフィクルの優しさに触れたわけだな」

「はい。 サハラ様を裏切ってしまい申し訳ありません」

「まぁそれはいいんだけど、少し頼みたい事があるんだ」

「何なりとお申し付けください」


 未来の人達とはなんだかやりにくいな……


 ひとまずさっさと終わらせたいと思い、ラーネッドにレフィクルとまた一緒に暮らしたいかを尋ねると、有無を言わさず首を振ってきた。 創造神に可能か聞くと、俺だけ特別扱いはできない。 とよくわからないが【闘争の神】の妻として神威は無いが、側にずっと置くことを認めてくれる。


 何も知らないラーネッドにはレフィクルの悪魔王撤廃と【闘争の神】にレフィクルがなる事の条件だと説明した。



「サハラ様はそれでいいのですか?」

「いや、だって好きなんでしょ?」


 みるみるうちに顔を赤くさせて頷いた。



 何はともあれ、これでレフィクルとアロンミットが片付きそうだ。

 問題は理不尽なルールの死極に行かなきゃいけない事だった。




明日の更新はきっと驚きの展開になると思います。

乞うご期待!

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