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異なる事実

第11章です。

 敵であるはずのログェヘプレーベに神々は怪訝な顔をしたが、俺がまず簡単に説明して落ち着かせる。


 全てを話すと言ったログェヘプレーベが語り出した。



「私はね、元々奴隷だったんでやがりますよ。 それをレフィクル様が領主にまでしてくれやがりました」


 そう言って腕を見せてきて、消えることのない奴隷の証を見せてきた。



「不思議な方でやがります。 高圧的で冷たい態度でやがるのに、役に立とうと努力しやがればするほど重用してくれやがり、逆に古くからいた重鎮で役に立たぬ者は容赦無く殺しやがりました」


 ログェヘプレーベの話は俺の今まで聞いてきたレフィクルとは大きくかけ離れていた。 狂王と言われ、残虐非道と恐れられてきたレフィクルが実は優れた者を優遇する人物だったとは……いや、ログェヘプレーベもそうだが、レフィクルの側近は皆変わった奴ばかりだったが実力者だった事は確かだ。



「ログェヘプレーベ、一つ聞いていいか? お前とルベズリーブ達とはどういう関係なんだ?」

「ルベズリーブ、ナータス、ナーサイヴェルは私と同じ頃に買われた元奴隷達でやがります。 後にスエドムッサ様も奴隷商から買われ、レフィクル様の娘となりやがりました」


 これにはこの場にいたほぼ全員が驚く。 つまりレフィクルの側近は全員元奴隷だという事になるからだ。 しかもあの時レフィクルの影武者だと思った猫獣人が元奴隷で、レフィクルの娘にしていたとは……



「それだけ立派なら、なんでレドナクセラ帝国を他の国を攻め滅ぼしたのよ! なんで神に戦いを挑んだりなんかしたのよ! 結局支配欲を満たそうとしただけでしょっ!」


 レイチェルが叫ぶ様に言った。 レイチェルは元レドナクセラ帝国の皇帝の娘だ。 国を滅ぼされれば当然そうも言いたくなるだろう。


 だがログェヘプレーベは平然としていて、レイチェルが言ったことに答えだす。


 まずレドナクセラ帝国を攻めたのは、情報でオークに攻められすでに皇帝が死んだ事を知り、統治者がいなくなったのなら国が荒れる前に平定させたという少し理屈っぽい理由だった。 当然レイチェルはレドナクセラ帝国騎士の処刑の事を言うが、それも皇帝を守ることができない無能に用はないということらしい。

 トラキアル王国や他の国を攻めたのは国を一つにまとめあげ、戦争のない世界を目指していたのではないかと、こちらは憶測の様に答え、無関係の国民は誰1人として殺してはいないとも言った。



「私の母親はレフィクルの兵に連れ去られたわ!」


 セーラムがそこで割って入ってくる。 確かにセーラムと初めて会った時、セーラムの母親はガウシアンの兵に連れて行かれた。

 しかしそれについてもログェヘプレーベは平然と答えてくる。

 貧困な生活をしていた者たちを連れて行き、まっとうに暮らせる様にそれぞれの場所に移したのだそうだ。



「じゃあ私の母親はどこかで生きているっていう事なの!?」


 セーラムがそう言うとログェヘプレーベは即座に頭を下げてきた。



「若干数の連れ出した者の中に力を持った者達もいやがりまして、暴れだした際に仕方がなく殺したという報告は受けてやがります。 もし出会えていやがらないのであれば……」


 セーラムが目に涙を溜めているのを見て、俺が抱き寄せて頭を撫でてなだめる。



 ログェヘプレーベは話を続け、レフィクルが支配していた時期に奴隷制度を撤廃した時に聞いた事を話し出した。 『実力のある者、努力する者は優遇する。 怠る者は必要ない。 そしてその権利を奪う事も認めない』と言ったそうだ。

 確かにこの世界、貴族であれば貴族のままで奴隷から生まれた子は奴隷として育ち、成り上がる事はほぼ無い。

 それをレフィクルは撤廃したのだ。


 これにはカイを見てきたレイチェルは、うぐぐっと言い返せなくなり、ならなんで神に戦いを挑んだりしたのかを問いただしてくる。



「元々レフィクル様はただ見ていやがるだけの神々の存在は嫌いだったそうでやがりましたが、敵意まではありやがりませんでした。 けどね……」


 するとログェヘプレーベは怒りを露わにしながら、アロンミットがレフィクルの妻である王妃を殺したという話をしてきた。 それは現城塞都市ヴァリュームの領主を任されている、元レフィクル配下だったノーマやマルボロ王国宮廷薬師となったポットが話した内容と一致していて、俺もその事を話すとレイチェルや神々は完全に言い返すことができなくなってしまった。



「我が聞いている限りでは立派な王に見えるな」


 黙って聞いていた不死王が、内心誰もが思っていたであろう事を口にした。



 変な空気になってきたと思った俺は、話題を変えるのと本来の目的であるレグルスの事を聞く事にする。



「レフィクルの事はわかった。 それよりもレグルスだ。 俺が悪魔(デヴィル)から聞いた話だとレグルスは代行者に対抗できる存在と言っていたが、これはどういうことなんだ?」

「詳しくはわかりやがりません。 ただこの世界には存在しない物を作り出しやがるから、代行者に対抗できるとだけ聞いていただけでやがりますよ」

「誰に……だ?」

「当初はレフィクル様の命を狙ってきやがった刺客で、後に王妃様になりやがれたラーネッド様でやがりますよ」


 知らん……と思ったら、予想だにしない人物が声を上げた。



「そのラーネッドといわす方はどの様な背格好をしていんすか教えていただけんすか?」


 アルに心当たりがあるのか尋ねるとログェヘプレーベがいきなり爆笑しだした。



「私の口調も相当おかしいと言われ続けてきやがりましたが、同等、いえ、それ以上でやがりますねぇ」

「う……そ、そんな事はありんせん! ぬしの方がよっぽどおかしいでありんす! ねぇサハラ様?」


 ……こ、コイツ、事もあろうか俺に振ってきやがった!!



「口調なんか相手に伝われさえすればどうでもいいだろ。 それよりもログェヘプレーベはラーネッドについて知ってる事を話せ」

「へぇ……サハラもレフィクル様と同じ事を言いやがるんですねぇ。 惚れて、しまいやがりそうですよ」


 目を細めながら俺を見てくる。

 悪魔(デヴィル)という事と口調を無視すればログェヘプレーベは美女ではあるが……



 ビシィィィィィィィィイッ!!



「オイ貴様、戯れは程々にしておけよ?」


 赤帝竜(ルースミア)の足元を中心に広範囲に大理石にヒビが入っている。


 ……破壊しなかったところから、加減はちゃんとしたんだな、偉い偉い。


 と俺だけはわかるが、他の連中は大理石の床が広範囲に渡ってヒビが入っているのを見て青ざめている。

 もちろんそうさせた元凶であるログェヘプレーベもその1人で、すぐに機械的に口を開いてラーネッドという人物を説明しだす。


 レフィクルを襲ってきた頃の年齢は20代前半で、ブラウンの髪に顔は目つきこそ鋭いものの非常に整った顔立ちで、遠い未来から来たと言っていたと最後だけは馬鹿にした様に話す。



「ラーネッド!? 嘘、嘘です! あり得ないでありんすぇ。 まさかあのラーネッドが裏切るなんて……」



 しかしどうやらブリーズ=アルジャントリーの知った人物の様だった。



なんだか色々様子がおかしくなってきましたね?

どうやら私の想定外の事態に陥ってきているみたいです。 本当であればこの後レグルス達とのケリをつけに行って終わる感じだったんですが……うーむ。


次回更新は明後日になります。 明日間に合いそうではありますが、盛り上がりに欠ける気がしたので話を組み替えたので、少し進み具合が遅れてしまいました。



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