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思わぬ味方

 ざわざわと前方の遠くから音が聞こえだす。 無闇に明かりの魔法を使って、消えた時に目がくらまないように使わない様にしているためだ。



 闇の住人とも言える不死王には闇でも見えない者の正体がわかるのか行動にではじめた。


「我が友よ、この地には良い素材がたくさんいる。 少しの間戦線から離脱することになるかもしれないが安心してくれ」



 例によって複雑な印を組み出し、いつの間に書いたのか俺らのいる前方に巨大な魔法陣が輝き、浮かび上がり出した。


「彼の地守りて斯く戦いし彷徨える魂よ、我、不死王の命に従い、今再び彼の地に目覚め、汝らの無念を成就しろ!」



 次の瞬間あちこちから悲鳴が上がる。 それもそのはず、彼方此方から青白く浮かび上がる様に大量の亡霊(ゴースト)達が現れたのだ。

 その亡霊(ゴースト)の姿は鎧姿をした騎士達で、マントにはレドナクセラ帝国の紋章が描かれている。



「彼等はこの地を守って死んだ者達で、未だ守りきれなかった未練を残してこの地に縛られている。

生前通りこの地を守って戦ってくれるだろう」


 説明する不死王の声が地面の方からこ聞こえて声の場所を探すと、不死王の生首が転がっていてそれが喋っていてギョッとする。



「ふ、不死王!?」

「なに、原初の魔法の反動だ。 少しすれば復帰する」


 確かに首元からはシュウシュウと煙を上げながら少しづつ再生されつつあり、半刻程もあれば元どおりに戻りそうだった。

 そして不死王が目覚めさせた未練を残している帝国の兵の亡霊(ゴースト)達はゆらりと悪魔(デヴィル)悪鬼(デーモン)の方へと動きはじめ、それを見たエラウェラリエルが魔法を素早く詠唱しだした。



「我が手より放たれよ! 数多の火球よ流れる星のごとく降り注ぎ灰塵と化せ! 流星群(メテオスウォーム)

……今のうちに魔法攻撃をしてしまってください!」



 叫ぶ様にエラウェラリエルが言い、俺に言われた通りありったけの魔法を打ち込みだした。



「ほぉ、早いな。 魔法の神も頷ける」

「感心してないでルースミアも流星群(メテオスウォーム)でも使えよ」


 ムッスーとした顔を俺に一度向けてきたが、すぐに素直に魔法を使い始めた。

 そしてそれが皮切りとなって、魔法が使える者達が詠唱を開始しだし、近づく悪魔(デヴィル)悪鬼(デーモン)の辺りを色とりどりの光を放ち爆音などが巻き起こりだした。



「一発必中、放て!」


 ヴェジタリアンの命令ではっきり見えない敵に向けて一斉に矢を放ちだした。 赤外線視線(インフラヴィジョン)のない俺には適当に射撃している様にしか見えなかった。



 徐々に近づく亡霊(ゴースト)達も悪魔(デヴィル)悪鬼(デーモン)と距離が近づくと剣が青白く輝き始める。



「騎士魔法、そうか! レドナクセラ帝国の騎士は全員騎士魔法が使える当時最強の軍隊だったか!」

「あれが我らの祖ともいうレドナクセラ帝国の騎士か」


 シリウスが7つ星の騎士団全員がその亡霊(ゴースト)達を見つめながらつぶやいていた。



 勝てる! これなら、これだけの戦力なら十分に勝算はあるぞ!


 そう思った時だった。



「貴方がここの総大将でいやがりますか?」


 悠然と姿を現したのは露出の高い服装をした妖艶な美女で、口調こそログェヘプレーベと同じだが姿が全く違った。



「お前がログェヘプレーベなのか!?」

「ええそうでやがりますとも」

「ならちょうど良い! ここに単独できたことを後悔させてやるよ!」



 ザザザッと言わずとも取り囲む様にルースミアや7つ星の騎士団達が取り囲んでいく。



「おお怖い。 私は何も戦うとは一言も言ってやがりませんよ?」

「ふざけるな! 貴様はレフィクルの配下だろう!」

「ええそうでやがりますとも。 レフィクル様の配下でやがりますからこそ、ずっとこの機会を伺って我慢をしてきやがりましたよ」


 ログェヘプレーベは微笑みかけ、攻撃の意思はないとでも言う様に手を広げて見せてくる。



「どういう事だ?」

「どうもこうも……我が君レフィクル様の奥方を手に掛けた者とは手を組めやがれない。 それだけでやがりますよ?」


 どうやらアロンミットの事を言ってる様だった。



「だからどうしたと言うんだ」

「敵の敵は味方。 今だけ手を結ばないかと思ったのでやがりますが?」


 ログェヘプレーベの後ろでは、俺達がここで話している間にレドナクセラ帝国の亡霊(ゴースト)騎士が悪魔(デヴィル)悪鬼(デーモン)と交戦が始まり出していた。



「そうやって時間稼ぎが目的か!」

「あそこにいる悪魔(デヴィル)悪鬼(デーモン)は、私の正体を知りやがりません。 もっとも……率いているのは元私の部下だったものでやがりますが」


 本当なのか嘘なのかサッパリ見当がつかない。 仲間達をザッと見渡しても困惑している様だった。



「こっちがお前と手を結ぶメリットはなんだ? それとお前を信用するだけの証明ができるのか?」


 するとログェヘプレーベが俺に跪いて頭を下げてくる。

 露出の高い服の隙間から覗く身体に思わず目がいってしまい、顔を背けてしまう。

 ログェヘプレーベはその姿勢のまま俺の質問に答え出した。




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