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人を超越せし者達

早いですが本日分の更新です。

 俺とキャス以外一体何が起こったのかわからない。ただわかったのは、すざましい爆音が終わり煙が晴れた時に、最前列にいた兵士達が木っ端微塵に吹き飛んで死んでいる姿だった。


 ……やはり火薬か!



「何だよこれは!」


 ヴォーグは初めて見る爆発物に呆気にとられ動こうとしない。 それはグランド女王や他の兵士達も同じだ。


 その遅れが致命傷となり、更に続けて矢が飛んできて次々と兵士達が吹き飛んでいく。

 我に返った兵士達が一斉に逃げ出そうとし、辺りは混乱を極めてしまい指揮もへったくれもなく、ただ無様に王都に向けて走り出し始めたところで敵兵が動き出し突撃してきた。



「クソッ! 特攻隊は全員無事だよな?」


 見回して確認すると驚きこそしているようだが無事のようだ。



「我が元の姿で……」

「ダメだ! 手の内はまだ見せられない。 敵には赤帝竜(ルースミア)がいる事は知らないままじゃないといけないんだ!」


 今赤帝竜(ルースミア)が元の姿であるドラゴンになれば確かに蹂躙できる。 だがそれは全兵力ではない敵の兵力を削ぐ程度でしかなく、場合によっては一時撤退されてしまい、対策をとられてしまいかねなかった。



 爆音が辺りに鳴り響き続ける中、キャスが率いる魔導兵達が高高度からの魔法攻撃に転じてくれたようだが、それも遅く敵兵が次々と味方の兵を切り裂き出し始めている。


 あいつら仲間がいるのに矢の攻撃を止めない?


 それは敵味方関係なしだった。

 味方の兵が切り刻まれ吹き飛ぶのと同じく、敵兵も吹き飛びながらも切り込んでくる。 最早マルボロ軍はただ逃げ惑うだけの烏合の衆となり、反撃の余裕すらなくなっていた。



 対策をしていたが初めて見る爆発物に力の前に士気もへったくれもなくなっていて、このままでは全滅は免れたとしても被害は甚大になってしまいかねない。



 こんな危機的状況になって、やっと援軍がたどり着いたようだ。

爆音が止まり、前方から悲鳴が上がりだす。



「サハラ〜!」


 上空からセーラムの声が聞こえ、俺の所に着地するのと同時に爆音が止まった。

 セーラムがオルとオルの母親であるゴールドドラゴンを引き連れてブレスで敵兵を薙ぎ払っていたためだった。



「あれは霊峰のか?」

「ああ、それとその息子だ」


 これで一気に形勢逆転というわけにはいかず、爆発物が飛んでは来なくなったが前線は混戦状況に変わりはない。



「セーラム、戻った早々悪いがこのままじゃ大打撃に変わりない。

ルースミア、不死王、ウェラ、フェンリル……イフリート、前線に出て食い止めるぞ!」

“俺っちの扱い酷くない?”


 頷きあい移動しようとした時、シリウス、キース、アラスカを含む7つ星の騎士団全員が立ち並んでいた。



「サハラ、我らも共にいく!」

「マスター様是非!」

「マスターお願いします!」


 7つ星の騎士団全員が覚悟の顔を見せていた。



「僕も付き合いますよ、サハラさん!」


 パーラメントが俺があげた炎の鞭を手にそう答えてくる。

 こちらにとっての大半の主力と言ってもいい面子になるが今はそんな余裕もない。 敵がゴールドドラゴンとオルの対策が始まるまでしか猶予はないだろう。


 全員の姿を一度見回し、大きく息を吸う。



「全員抜刀! 無理に殺さなくもていい、味方の兵の救出を最優先として……突撃だ!」


 7つ星の騎士団は全員抜刀し前線に向かって走りだし、俺はセーラムにウェラの守りを頼むと高速移動で走り出す。 その横を不死王とルースミアもついてきた。



「驚くほど成長したようだな主よ!」


 ルースミアがこんな状況にもかかわらず、走りながら嬉しそうに声をかけてくる。



「我が友はまだまだそんなものではないぞ、大惨事(カタストロフィ)赤帝竜(ルースミア)よ」


 不死王がニヤリとそんな事を言い出す。


 そんな事を言われたら俺だって調子に乗ってしまうじゃないか。



「先に行ってるぞ!」


 縮地法で視界に映る最前線まで一気に飛んだ。

 危うく斬り殺されそうになっていた味方の兵を助ける。


「大丈夫か!」

「ヌゥ! 助かったわい……サハラ、か?」

「ボルゾイだったのか! 間に合ってよかった」


 偶然にも救ったのはボルゾイだった。



「主はテレポートが使えるのか?」


 さすがといったところか、ルースミアも即座にテレポートを使って追いついてきたようだった。



「残念だけどテレポートじゃない。 縮地法という能力で回数や速度に制限はないぞ!」


 言うや即座に縮地法で危険な状況にある兵を次々と瞬き速度で移動して助けて回る。

 どうだと言わんばかりにルースミアの方を見ると元の場所に姿はなく、俺にピッタリとついてきて他の兵士達を助けていた。


「主、やるではないか!」



 ……これについてこれるルースミアの方がすごいと思うぞ……


 不死王の姿はないが、あちこちから血しぶきが上がっているところを見るに、高速移動をしながら首でも掻っ捌いているのだろう。


 ……化け物揃いだなこりゃ。



 エラウェラリエルも高速詠唱による魔法で、神の制限に引っかからないように、味方の兵を守る石壁(ウォールオブストーン)を出したりしながら防御系魔法で救出をし、セーラムはどこぞの英雄王がやっていたような、槍を紡いで雨あられの如く降らせている。 しかしセーラムはなんで槍にこだわるんだろう。

 フェンリルとイフリートは俺からあまり離れられない制限があるのに加えて混戦状況のため、フェンリルはそのまま狼のように飛びかかりながら、イフリートは腕を燃え上がらせてぶん殴りながら戦っていた。


 そして忘れてはいけない。 アルも未来では悪魔(デヴィル)と戦ってきた戦士であり、矢を必要としない弓で魔法矢(マジックアロー)のような光弾を次々と弾いていく。

 以前聞いた話では、アルの持つ弓は矢を番えた状態で視認したら、後は矢を放つと明後日の方角に撃っても当たるらしい。



 遅れて辿り着いた7つ星の騎士団やパーラメントも加わり、やがては形勢逆転していったように思えた。



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