表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
136/212

開戦!

第10章突入です。

 あれからさらに日にちが経ち、遂に国境付近に軍勢が姿を現したと報告がされる。

 俺達ものうのうと生きていたわけではなく、俺とキャスとであり得る敵の戦術に対する術を講じてはいた。



 ヴォーグ達の戦術は白兵戦はマルボロ兵が受け持ち、キャビン魔導兵が後方からの攻撃と単純なものだ。 ただそこにマルボロ王国には臨時兵として冒険者達がいる。 彼等は彼等の判断に任せて動いてもらうのは、初代マルボロ王国の英雄王マルスのやり方のままだ。

 そこに少ないながらもソトシェア=ペアハからドワーフ達の動く城塞が加わってくれる事になり、そこにボルゾイも加わる事になる。

 セーラム女帝国からは全員揃った鎧を見に纏い、弓を携えたエルフ達も駆けつけてくれた。 その指揮をとるのはヴェジタリアンだ。



「代行者殿……いえ、今は世界(ワールド)守護者(ガーディアン)でしたな。 我らも使ってください」

「助かるよ、ありがとう。 でもいいのか?」

「一応我が国のトップが戦いに加わるのに、無視はできないでしょう」


 そう言って俺の横にいるセーラムを見てきて苦笑いを浮かべてきた。





 ローラ姫はウィンストン公国の各領主に書状を出していたようで、それに呼応した各領主達も兵を率いて駆けつけてくれた。 その中にはモリス侯爵のフィリップもいた。



「サハラ! サハラさん!!」


 俺に抱きついてこようとしてくるフィリップをサッと躱して避ける。


「くぅ、相変わらず照れ屋さんだぜ!」

「だから俺にそういう趣味はない!」


 そんなやり取りを見ていたルースミアが睨みつける。



「誰だこいつは!」


 赤帝竜(ルースミア)と知らないフィリップは堂々と、そして顔を赤らめながら恋人だと叫ぶように言ってきたが、フィリップの父親である侯爵が気がついてすぐに引きずられるように連れ出されていった。



「ローラ姫、領地は守らなくていいのか?」


 ヴォーグがそう尋ねると、ウィンストン公国は守りに弱く攻めに強い国で、レグルスが攻めてくると勝ち目がないからと1度領地を捨てる事にしたという、凄いことを言い出した。 ウィンストン公国の領民達は麻薬で大きな被害を被り、絶望のどん底らしくもはや国としての機能はしていないという状況らしい。


 それにしてもよく領主達が応じてくれたなと思ったが、そこは公爵の次の地位に当たるモリス侯爵が全て手引きをしてくれたようだった。



「悪いな。 この戦いが終わったら必ずウィンストン公国の復興は手伝う」


 ヴォーグがベネトナシュを横に連れながらローラ姫とウィンストン公国の各領主達にそう宣言するように答えていた。





 国境を越えたのなら王都までそう時間はない。 全員戦争の準備に取り掛かりに動き始めだす。



「……サハラ様」


 名前を呼ばれて振り返るとアルがいた。 アルにはこの間無神経な事を言ってしまい、それ以来ほとんど顔を合わさなかったため気まずく感じてしまう。


「アル……この間は悪かった。 あの時の俺は無神経すぎだった」

「……サハラ様?」



 また何かおかしい事を言ったのだろうか? アルが俺の目を見つめてきた。


 ……相当、怒っているんだろうな。


「おゆるしなんし、少うし驚いてしまいんした。

それとそれはもうどうでもいいんでありんすぇ。 それよりもわっちはどうしたらいいでありんすか?」

「どうでもいい事ないだろう、アルの事をどうでもいいような言い方をしたんだぞ!」


 半ば怒鳴るように言うと、アルが俺に抱きついて見上げてくる。



「それならばいい機会そうなんで我侭を言わせてもらいんす。 こなたの戦争が終わったら1日だけ2人きりで逢引してくんなまし。

それで無かった事にしんしょう?」



 ……逢引って、デートだよな。 まぁ悪いの俺だし、デートぐらいいいよな?



「わかった。 それよりどうしたらいいっていうのはどういう事だ?」


 軽い気持ちでデートを了承する。

 そして話をきくとどこにも所属していないらしく、どうしたらいいのか困っているそうだ。

 アルは凄腕の弓使いで、未来において悪魔(デヴィル)と戦っている戦士だ。そして吟遊詩人(バード)にして時空魔法も使いこなす。 だとすればやはり歌を歌ってもらう事だろうか?

 しかしその事をアルに言うと、敵味方無関係に聞いて言葉を理解する者には効果があるけれどいいのかと言われてしまう。 どうやらゲームのように都合よく仲間だけというような事はないようだ。

 そうなると時空魔法か得意とする弓になるのだが、弓の腕前は見た事があって凄い事も知っていたが、時空魔法と言うのがイマイチわからない。



「時空魔法と言うのは戦闘で使えるものはあるのか?」


 そう聞くとアルがあるにはあるけど、攻撃魔法だけは使いたくないと言ってきた。

 理由も兼ねて聞くと、防御系であれば時を止める不変の壁で、如何なる攻撃も無力化出来るというとんでもないものだが、魔法盾(マジックシールド)と違い、出した場所、向きが固定なのだと言う。

 それでは攻撃はというと、加速(ヘイスト)のように動きを早くするものもあるが、攻撃に変換すると影響を受けた者は一気に加齢して死ぬのだそうだ。


 ……なにその反則級な魔法。


 つまり時空魔法とは時を進めるか戻すか止めるかが基本系となるらしい。



「もしかしたらアルの時空魔法が役に立つかもしれないな。 所属がないのなら俺の側にいてくれるか?」


 次の瞬間、パァッと満面の笑顔を見せ元気にハイと返事を返してきた。




 アルを連れて特攻隊メンバーが集まる場所に行くと、既に全員揃っていて俺とアルが姿を見せると全員がこちらを向いた。



「開戦だ!」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ