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状況整理

 翌朝息苦しさで目を覚ます。


「おはようございます」

「あ、おはよう……」


 ウェラが昨日の俺を真似てキスをして起こしてくれたようだ。


「昨日は驚いちゃいましけど……こういうのいいですね」

「明日は俺がウェラを起こしてあげるよ」


 ハイと満面の笑みで答えてきた。

 準備を済ませ部屋を出ると7つ星の騎士全員が待ち構えていた。


「「「「「おはようございますマスター様」」」」」


 ……これは嫌すぎる。



「ヴォーグ王達がお待ちですサハラ」

「シリウス卿はなぜマスター様を呼び捨てているんですか?」

「無粋な事は、聞くもんじゃない」


 ニヤリとキースに答えた所に俺が頭を叩いた。


「痛い! 照れなくてもいいではないですか!」

「……フェンリル、ちょーっとこの勘違いの頭を冷やしてやってくれ」

“おう!”



 ひゃあぁぁぁぁと悲鳴があがり、シリウスの髪の毛がフェンリルのブレスで凍りついた。


 ……コイツ、冗談のつもりだったんだがマジでやりやがった。




 会議室に向かったが誰もおらず、ダイニングルームに向かうと全員が揃って待っていた。


「やっと来たか。

それでシリウスの髪の毛はどうしたんだ?」

「……何でもない、気にするな」

“ウシャシャシャシャ”



 臨時にセットされたテーブルには7つ星の騎士団の分まで食事が用意してあったが、誰も手をつけない。俺が食えと言うと食べはじめた。

 食事をしながら対策の話が始まり、ひとまずメビウス連邦共和国、ウィンストン公国、セーラム女帝国、キャビン魔道王国の安否を確認するらしい。



「4箇所となれば人手が足らんじゃろう」

「セーラム女帝国の方は……うん、来た来た。おはようセーラム」

「おはようレイチェルお姉ちゃん、どうかしたのかしら?」


 セーラムが自分に視線が集中しているのに気がついてキョトンとしている。

 そこで俺が成り行きを話すと、セーラムが今も変わらず無い胸を張りながらふふんとばかりの態度を取り出す。


「それなら問題無いわ」



 セーラムの話によると、セーラム女帝国は昨晩セーラムが国に戻り、現状セーラム女帝国を取り仕切っているヴェジタリアンに話すと、何者であろうと侵入を防ぐ魔法を掛けたんだそうだ。



「で、何でお前は出てこれたんだ?」

「うん? 私には効果が無いから、かな?」


 なんかとんでも無い事をさらっと言ってきた。そう言えば確か以前、アリエルのマナの保有量の多さに神すら驚いていた。だがおそらくセーラムはそれを更に凌駕しているのだろう。


 なんにしろこれでセーラム女帝国は心配なくなったのは助かった。



「なら後は2箇所だね〜。キャビン魔道王国も完全に遮断しているから絶対に安全だよ」



 キャスが言い、おおぉぉぉお! と声が上がる。


「ただねぇ……問題があって、メビウス連邦共和国の今の代表が……いないんだ」


 そしてどよめきが起こる。


 ……持ち上げて落とす奴だなぁ。


 俺達が7つ星の騎士団領に向かっている間にキャスは1人、メビウス連邦共和国の現代表の元に向かったのだと言う。そしてその日、砕け散ったのだそうだ。



「今のメビウス連邦共和国は次の代表が決まるまで各領主の判断になるんだ。だからメビウス連邦共和国は実質……」




 メビウス連邦共和国……各土地に由来した名前が由来となった土地に領土を持つ。

 霊峰、遺跡、迷宮、地下墓地、湖などあり、大小全てを合わせると10箇所は優に超える領主がいる。全て回るには無理があった。

 それはつまるところ……



「となるとウィンストン公国も……公爵の娘さんがここに居るし、あそこも今頃バラバラってところか」


 それは実に手際が良かった、いや良すぎた。ローラが俯いて悔しがっているが、さすがにこれは俺でもどうにもならない。



「シリウス、何か……ブフッ、策は、その無いのか?」


 凍った髪の毛が溶け出し頭から水を滴らせているシリウスにヴォーグが笑いをこらえながら尋ねる。


「……私には大局を見極める程の技量は無い。これだけの大局であるならば、キャビン女王でもないと無理だろう」



 確かに先を読む能力にグランド女王は長けている。

 それならばとヴォーグがグランド女王に何か策を講じてもらおうとキャスにキャビン魔道王国に行ってもらう様に頼む。


「その心配はいらないと思うよ?」



 キャスがそういうのと同時に、ヴォーグの元に報告が入ってきた。


「はは、なるほどな。お通ししろ」


 ハッと言って居なくなってから、ヴォーグが俺達に噂のグランド女王と魔導兵団が来たと教えてくれる。



 ダイニングルームのままで失礼ではと思ったが、突然の来訪だからとそのままヴォーグの隣に籍を置いて待つ事になった。



 グランド女王が姿を見せ、上品に挨拶をしてくる。その姿は王宮で見る様なドレス姿ではない。


「そのローブは、アテンダント女王が大戦の時に身につけていたローブでは?」


 思い出した俺がそう言うと、グランド女王が微笑みながらよく覚えてらっしゃると返してきた。



「突然の来訪、物見遊山に来たわけではありますまい?」


 ヴォーグも他国の女王ともなれば言葉使いも変わる様だ。

 ふとセーラムには態度を変えないなと思ってセーラムを見ると、まさに今食べ物を食べて口の周りをベタベタに汚している姿を見て、その威厳の無さに思わず納得してしまう。



「お若いヴォーグ王、戦争が始まりますわ」


 いきなりそう言ってグランド女王が切り出してきた。





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