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エラウェラリエル純情派

 その日の夜、俺はエラウェラリエルと一緒にソファに腰掛けながら話をしていた。


「追放された神である私が、この様にサハラさんと接するのはよく無い事では……」

「ウェラ達が追放された後に、創造神が追放期間はウェラとの暮らしを楽しみなさいと言ってくれたんだよ」



 そう言うとエラウェラリエルが創造神に感謝の気持ちを声にした後、顔を赤らめながら俺にもたれかかり目を細めて嬉しそうにしている。

 はっきり言ってめちゃくちゃ可愛い。



 しかし忘れてはいけない。今いるこの部屋には、ムスーっとした顔でこちらを見つめながらベッドに座るレイチェルの姿があり、そしてアラスカとシリウスの姿もある。



「なぁレイチェルがいるのはわかるが、なんでアラスカとシリウスまでいるんだ?」

「護衛です!」

「護衛だが?」


 まぁ……そらそうだよな。



 今いる部屋は神前のレイチェルが使っていた部屋だ。そのためレイチェルがいるのも、またその護衛としてアラスカとシリウスがいるのは当然のことなのか?



「だから俺は侍女長室に戻るって言っただろ」

「戻れば良いじゃない。お、ひ、と、り、でね、ん?」


 そしてこれだ。どうやらヤキモチをやいているんだろうが忘れてはいけない。レイチェルはとうの昔に寿命で死んだとは言えマルスと結婚した人妻だ。

 そして居心地も悪い為1人で戻ろうと思うが、ギューっとローブを掴んでウェラが離してくれない。



「【愛と美の神レイチェル】、私には創造神様の許可があるし、サハラさんとは元々恋人同士なんですよ!」


 ウェラがついには吠えた。しかも2つのカードを同時に使ったーー





「やっと2人きりになれましたね」


 ウェラがあそこで強く出たことでレイチェルがやっと諦め、俺とウェラは侍女長室に戻り2人きりになれた。



「サハラさん初めて会った時のことを覚えてますか?」


 何故かウェラが昔話を始める。そして初めての戦闘でオークを倒した後に吐いている話になる。


「いやあれはだな……」


 んふふふと笑みを浮かべて寄っかかってくる。そして俺の事が好きになった事を話し出した。

 それは俺がヴィロームの町でウェラとその仲間との再会をした時だそうだ。ヴィロームの領主の横暴なやり方で金に苦しんだ当時ウェラのパーティのリーダーだったキリシュが、俺にお金を借りようとした時に俺が言った条件が、ウェラが気になりだしたキッカケだったそうだ。


「友情を求めてきたサハラさんが素敵だったんですよぉ〜」


 そう照れながら俺に言ってきた。



 そのあとも色々とウェラが俺に対する愛を語り続け、笑ったりしなだれかかってきたりが続いた。

 一通り満足したのかウェラが遅くなっちゃいましたね。と寝る準備に入りだし、スパッと寝衣に着替えるとベッドに入り込んでしまう。


 一緒のベッドで良いんだよなと思いながら、入り込むとウェラが抱きつくように身体を押し付けてきた。


「おやすみなさいサハラさん」


 ニッコリと笑顔を向けた後、安心しきった顔で……そのまま寝てしまった。


 ……これ、手を出したら悪いよなぁ。




 悶々とする中俺も眠りについた……


 なんていうことはなく、結局寝付けないまま朝を迎えてしまう。

 気持ちよさそうに寝ているウェラの顔を見つめていると、嫌でもアリエルといた頃を思い出してきてしまう。


 アリエルが亡くなってもう1年と半分は経つだろうか。人は時が経つことでだんだんと記憶を忘れさせていく。だがこれは残された者たちが前に進んでいくためにある、自己防衛的なものなのだろうと俺は思っている。




 朝日が昇り始めそろそろ起きる頃合いになり、気持ちよさそうに眠っているウェラにアリエルがやっていたように濃厚なキスをした。



「#%;!."$\"?\^;"!_*;^>!!」

「おはよ……ブハッ!」



 驚かそうという意味もあったが、おはようのキスに驚いたウェラが暴れながら両の手で俺の顔を慌てて引き剥がすように押しのけてくる。


「ウェラ俺だ俺!」

「……あ、サハラ、さん」



 これで目を覚ましたまでは良かったが、その後ウェラに寝ているところにそんな事をする俺が悪いと、照れて顔を真っ赤にさせながら怒られてしまった。



「……言ってくれれば、いつでも応じるのに」


 なんて可愛らしい事をボソッと呟きながら。



 エラウェラリエルは純愛派なのだろう。そこが良いとこではあるが……最低野郎かもしれないが、こっちは我慢できん。


「まだ少し時間あるし、いいか……な?」



 恥ずかしさから目を合わさずに頷くウェラを抱きしめてキスをする。




「……はい、お終い」


 口を離してそう言う。


 ……まさか、これで終わりぃぃ!?



 久しぶりだからなんて上目遣いで言われたら嫌などとは言えない。

 俺はこの拷問とも思える純愛に付き合わされることになるのだろうか。



 不意に頬にキスをされ、ウェラを見ると「続きは今晩ね」なんて言ってきた。



 夜が待ち遠しい1日が始まる。




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