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神々の追放

第8章に入ります。

 創造神の姿は一定ではない。赴く者の想像によって常に変わる。だが今俺が目にしている創造神の姿は神々しい女性の姿で、俺が想像していたものとは全く違っている。



「よく来ました。そして待っていました」

「その姿は一体……まさか創造神の本当の姿、ですか?」

「この姿は其方の中にある神の想像を真似てみたまで。

それよりも由々しき事態になっているようですね」


 創造神は創造するだけで特段何もしない事は知っている。俺は創造神に今起こっている事を事細かに説明をした。


「何とかなりませんか! このままでは人種が滅びてしまいます!」

「わかっています。ですがそれは人の神々も同様なのです。信仰する力が大幅に減った神々は今、力を失い必死に模索しているところです」


 やはり麻薬によって人種の半数が減り、神威がめっきりとなくなってしまっているという。



「そこでサハラ、其方に創造神の執行者、即ち世界(ワールド)守護者(ガーディアン)になってはもらえないだろうか?」


 創造神はこの俺にこの世界を守る守護者になれと言いだす。シアを通してだったがアリエルも似たような事を言っていた。



「仮にワールドガーディアンになると俺はどうなるんですか?」

「其方に託した指環と杖の力を解放しましょう」

「他には?」

「それだけです。扱えばその力が世界の守護者にしか与えられない物だとわかるはずです」

「誰かに奪われでもしたらどうするんですか?」

「其方以外には持つ事すらままならないので心配はいりません」



 デメリットは無い、が、その指環と杖の力の事は教えてもらえなかった。そして受けるか受けないかを問われ……俺は今まで出会ってきた仲間達の思いを引き継ぎ、世界を守り続けるため受け入れる事にした。



「それでは其方を世界(ワールド)守護者(ガーディアン)と認めましょう」


 別段何か変わったという感じはなかったが、創造神の執行者になったとなると、始原の魔術なんかはどうなるのだろうか? それを聞くと創造神は唯一言、其方は創造神の執行者ですよ。と答えなのかわからないことを言われた。


 創造神は唯一の存在にして決して消滅することないからなのだそうだ。



「その力を持って世界を救いなさい」

「指環と杖の力を教えてもらえないのでなんとも言えませんが努力はしてみます。

それと、聞きたい事があるのですが……」


 創造神が続けてと手振りをしたため、意を決して【勝利の神アロンミット】がレフィクルの妻を殺した事を話した。

 すると創造神の顔がみるみるうちに変わっていった。




「【自然均衡の神スネイヴィルス】【死の神ルクリム】【闇の神ラハス】【魔法の神エラウェラリエル】【守護の神ディア】【勝利の神アロンミット】【鍛冶の神スミス&トニー】【商売の神ニークアウォ】【愛と美の神レイチェル】【旅と平和の神ルキャドナハ】直ちに集まりなさい」



 程なくして人の神々が全員揃う。


「創造神様、本日は急の招集一体……」


 スネイヴィルスが俺に気がつき、なぜお前がここに居るとでも言わんばかりの顔を見せた。


「サハラに聞いた。レフィクルの妻を殺したと言うのは本当の話か【勝利の神アロンミット】」

「さぁ何のことだかサッパリですな。どうせこの男がろくでもない噂話を聞き信じ込んだのでしょうな」


 そう言ってアロンミットが俺を睨みつけてきた。



「サハラよ、お主も今更その様な話をほじくり返さんでも良いだろう。それに今優先すべきはレグルスじゃ」


 スネイヴィルスは不思議そうでなぜ今更と本気で思っている様だった。



「という事は、【勝利の神アロンミット】の独断という事ですか?」

「だから知らぬと言っておる。代行者の癖に図にのるな!」



 そこで創造神が手を挙げ静まらせると、まるで発表でもする様に俺の側まで来て紹介された。


「本日よりサハラは【自然均衡の神スネイヴィルス】の代行者から、余の執行者、ワールドガーディアンとなった」



 スネイヴィルスはもちろん他の神々も驚きの声を上げた。その理由は当然俺が創造神に次ぐ存在となったからだ。



「何故ですか! この様な異世界から来た異端者を何故ワールドガーディアンなぞにしたのですか!」

「【勝利の神アロンミット】余が決めた事に異議があるというのか?」


 その一言でアロンミットは黙り込んでしまう。そして創造神はアロンミットにもう一度レフィクルの妻を殺したのかを尋ねるが、アロンミットは決して答える事はなかった。



「【自然均衡の神スネイヴィルス】【死の神ルクリム】【闇の神ラハス】3神以外には……神界追放を命じる」



 なっ! と声を上げ、神々がアロンミットに詰め寄り問いただし出した。だがそれでもアロンミットは決して答える事はなかった。



「創造神様! 神界を追放されたら我らはどうすればいいのですか!」

「そうです! 嘘か本当かわからない噂話を鵜呑みにするのですか」


 創造神は今まで見た事もない様な顔でギロリと睨みつけ、創造神が選んだ執行者を嘘つき呼ばわりした事に更に怒りを露わにした。



「人種の神なのだ。己を信仰する者たちにでも守ってもらうがいいだろう」



 さすがにこれはまずい事になると俺は創造神に口添えをするが、創造神の怒りはすさましく聞き入れてはもらえることはなかった。




「ウェラ、レイチェル、必ず助けに行く。俺を信じて待っていろ!」

「はい! サハラさんを信じて待っています」

「サハラ、急いでね、ん?」



 それを最後に3神を残して神々は姿を消した。いや、神界から追放された様だった。



「創造神様、本当にこれでよろしかったのですか」

「サハラよ、真実を話しなさい」


 俺はアロンミットがレフィクルの妻を殺した事を話す。そしてそれがキッカケとなってレフィクルが神々に戦いを挑む事になった事も……



「それが事実であれば、レフィクルの一件は確かに我ら神の責任だな」

「言い逃れのしようもありませんね」

「しかし、それならばアロンミットのみを追放とすれば良かったのではないですかな。創造神様」



 創造神は今回追放したもう一つの理由を説明する。その理由とはレグルスの仕出かした事をみすみす見逃した事だった。これだけ人種を守護すべき存在である神が、誰1人として関与せずに自身の神威に没頭していた事にあったようだ。



「いてもいなくても問題ない。この失態を教訓に責務を果たしたならば、神界への帰還を許そう。

また、スネイヴィルスよ、其方もサハラの苦しみを少しわかる様しばらくの間自室にでも篭りなさい。

ラハス、其方もだ」


 スネイヴィルスとラハスが1度跪き、そしてその場を去っていった。



「創造神様、私は如何様にいたしましょう」


 唯一人、いや唯一神残されたルクリムが創造神に処罰の指示を待っている。

 創造神はルクリムではなく俺を見て、頼む事があるのでしょうと言ってきた。それで思い出し、鞄から結構な量のマナ結晶を取り出してルクリムに手渡した。



「これは……?」

「マナ結晶です。人の魂だそうなのでこのままでは輪廻にも還れません。

……戻してあげれないですか?」

「なるほど……わかりました。それを私の処罰として対応させていただきます。

サハラ、貴方がワールドガーディアンになれた訳が分かった気がします」



 そう言うとルクリムも姿を消した。



「サハラよ、其方ものんびりはしていられないですよ。急ぎなさい。そして少しの間【魔法の神エラウェラリエル】との暮らしを楽しむと良いでしょう」


 そう言って創造神がニコリと笑顔を向けてくる。



 驚いたが、創造神に感謝して元来た道を戻っていった。




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