表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワールド・ガーディアン〜新たなる転生者〜  作者: 小さな枝切れ
第7章 世界恐慌のはじまり
110/212

今できる事やれる事

第7章最終話です。

 紹介が終わったところで、ヴォーグが話を進めていく。


 最初はもちろんポット親子で、現状どこまで進んでいるか必要なものはあるかなどを聞き、また今後起こりうる可能性の話を聞いた。

 ヴァリュームで話をした燻して風に乗せて嗅がせる話をすると、ヴォーグはいくらなんでもそこまではしないだろうと答えた。


「甘いな。あいつはサイコパスだ。俺たちのことなんか物程度にしか感じていない」

「サイコパス? なんだそりゃ」

「精神病質、反社会的人格者の事だよ。良心がなくて、他者に共感せず嘘を平気で吐き、行動に対する責任が全く取れない。そんでもって罪悪感が皆無で自尊心が過大で自己中心的。厄介なのが口が達者で表面上は魅力的だから、騙されやすいんだ」


 キャスが俺の代わりに説明する。



「まるで悪魔(デヴィル)じゃないですか!」

「いや、悪魔(デヴィル)のほうが魂を代償に願いを聞く分可愛く見える」


 シリウスがそう言ってパーラメントが言ったことを訂正している。



「大体わかった。ならそれを防ぐにはどうしたらいい?」


 するとローラが手を挙げて宜しいでしょうかと席を立った。


「私はサハラと同じくドルイドです。ドルイドの魔法には天候を自在に操る力がありますので、燻した麻薬を感じ取ったら風向きを変えれば防げます」

「しかしそれはどうやって気がつく?」

「私の契約している風の精霊に監視してもらいます」


 そこでヴォーグが唸る。確かにそれで守れるかもしれないが、それではせいぜい王都だけだろう。しかもそれでは後手に回ったままだ。


「ローラ姫ありがとう。一つの手段として考えよう。

何か他に手段はないものか?」



 全員の顔が曇るなか、シリウスが挙手する。


「おお! シリウス何か策でも浮かんだか?」

「いえ、正直手立てがありません。ですが……」


 と俺とキャスを見てくる。


「こちらに神の代行者が2人います。この由々しき事態、もはや我ら人種だけではどうにもなりますまい。そこで神の助力を求めてはいかがと」


 実は俺もそれは考えていたことだ。ヴォーグが俺に頼めるかと尋ねられ、返答に困っているとキャスが代わりに説明する。


「神はたぶんあまり力を貸せないと思うんだ」


 一同が揃って不思議がり、ヴォーグが代表となって理由を尋ねてくる。


 神は神威というものがあり、それは人々の信仰によって上下する。信仰心が低いと神威は削がれ神々も力を失いかねず、最悪消滅でもしかねない。


「ならなおのこと急ぐべきじゃないのか?」


 ヴォーグが至極当然な事を叫んだ。キャスは俺を見つめ、許せるのかと尋ねてきた。


「正直なところ、代行者という立場にありながらも、俺は神を信用できなくなっている」


 理由を説明して驚く者もいたが、わかってくれているセーラムとキャス、そしてベネトナシュは首を垂れた。

 だがだからと言って俺の我儘を通している場合でもない。


「終わり次第、創造神に会ってくる……」

「……済まないな」



 話し合いの結果、ポット親子の安全が最優先となる為、護衛にはアラスカとボルゾイが付くことになり、シリウスには7つ星の騎士団との連絡を取りあってもらう。ローラ姫にはベネトナシュにドルイドを教えつつ精霊にここマルボロ王都だけでも見張ってもらうことになった。

 セーラムは自国に、キャスにはキャビン女王に力を借りることになる。


「キャビン魔道王国には結界が張られていて誰も入れないんじゃなかったか?」

「それじゃあいざという時困るでしょ? 今がそうだけどさ」


 そうニッコリ笑顔で答えた。しっかりした奴だ。


「あの、僕とブリーズさんは何をしたらいいのでしょう?」


 まだ何も言われていないパーラメントが声を上げた。


「パーラメントとアルには別に頼みたいことがあるんだ。それは、王都に潜む悪魔(デヴィル)を討伐して欲しい」

「わかりんしたサハラ様」

「早速この鞭を試す機会が出来ました!」



 大まかな算段が決まり、最後にヴォーグがシリウスに穴はないか尋ねた。


「……正直なところ足らなすぎますが、ひとまずはこれでいいと思う。

あとは……」


 全員の目が俺に向かれた。




「よし! それではポット及びペーソル! 2人を本日より宮廷薬師として招く。

他の者達は賓客として招いたことにしておく。それぞれ部屋を準備するからそこでくつろいでくれ。

という事で侍女長サーラ、後の準備は頼んだぞ?」

「ウェ……俺がかよ。

……畏まりました」



 絶望的な状況に近い会話の中、全員に笑いが起こった。




 早速行動に移し、セーラムとシリウスとキャスが出発し、パーラメントとアルが共に王都に向かう。

 ポット親子は与えられた部屋で研究しだし、その護衛を任されたボルゾイとアラスカが一緒に立ち合う。

 ローラ姫とベネトナシュはヴォーグに連れられ中庭の方へ向かった。



 全員を見送った後、侍女達に後を任せてサーラの姿のまま王都にある創造神の神殿に向かう。



 何年何十年経とうと変わることのない飾り気も何もない神殿に、人は変われど似たような神官が待っていて神殿の奥へと通される。



「ここより先はお一人でどうぞ」

「ご苦労様です」


 そう答えて最奥にある階段を下りていく。

 そしてそこには変わらず創造神がただ1人で待っていた。




 まさかこれが後ほど大変な事になるとは思いにもよらずに……




次から第8章になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ