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プロローグ

お待たせしました!


『アリエル! そっちに行ったぞ!』

『こっちも準備は整っているからいつでも良いわよ』


 精神的な繋がりによる会話で追い込んだ事を伝えると、余裕たっぷりの返事が返ってくる。

 それを聞いて俺は追跡の手を緩めた。


「フェンリル、もういいぞ。それ以上行くとお前まで巻き込まれる」

“アイアイ”


 俺の元に真っ白い毛に覆われた狼のフェンリルが、尻尾を振りながら戻ってきた。


 しばらくするとアリエルがセットした朦朧(スタニング)の魔法陣に引っかかり、倒れた音が聞こえてくる。

 俺とフェンリルが辿り着くと、既に男は目を覚ましているが、アリエルにより縛り付けられていて、身動きが取れなくされていた。



「おとなしくその男から離れろ」


 白目の無い真っ黒な目をした男に俺が言いよると、ヒゲタ笑いを浮かべながら答えてきた。


「引きはなしたいのなら、無理にでも引き剥がしてみるんだなぁ! あ?」


 毎度どの連中も同じ様な答え方で返事が返ってくる。


「なら次の質問だ。お前らの目的は鍵なのは分かっている。だが、それだけでは無いだろう。言え! 何が狙いだ!」

「言うと思うか?」

「この水を掛けられたいのか?」

「勝手にやりゃあいいさ」


 俺は浄化された水の入った瓶から少量すくって男に掛ける。すると男は悲鳴じみた声をあげながら苦しみもがき始めた。浄化された水の掛かったところからシュウシュウと煙が立ち上り、焼け爛れ始める。


「待て、待ってくれ。言う、言うからやめてくれ!」


 手にすくい上げた水を戻し、男の言葉を待つ。


「神の代行者に対抗出来る者の捜索だ」

「対抗できる者? それは誰だ」


 男はそこで黙りこくる。もう一度水をすくい上げて掛けるが、それ以上口を開くことはなかった。


「なら最後だ。おとなしくその男から離れろ」

「ヒヒッヒーッヒッヒッヒッヒ!」

「マズい! 逃げる気だ!」

「大丈夫、準備は出来てるわ」

「流石だ」


 お互いこの手の連中の前では名前を知られない様にするため決して呼ばない。


 そしてアリエルの魔法により、男の口から黒い煙となって逃げ出そうとしたソレは浄化させたが、後に残った男はいつもと同じく息絶えていた。



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