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ネフィリム・ヒストリー  作者: 机上森
狭間の街
13/13

カイゼル・オブ・アーク

骨にしみいるような地響きとともに意識は覚醒する。

視界は暗闇から土色に変わっている。

吹き上がる土砂そのものが前面に広がっている。

グラスは腰を抜かしたように地面の上に座り込んでいた。

六芒星から排出された直後に腰から倒れ込んだのである。

その衝撃で地面が膨れ上がり、多量の土砂が舞い上がったのだ。

そんなことはオーベンでも理解している。それだけではない。遠方にキョウカイシティも見える。彼我の距離から自分のおおよその位置も把握できる。それほど離れた場所にいるわけではない。

だが分からないことがある。

「NFを強制的に転移させるだと? そんなことありうるのか、人一人を転移させるだけでも数十人のマーギアによる連携が必要だと言うのに、NFを、それもアンナ一人でやったというのか」

オーベンは薄らと汗をかいていた。敵はひょっとすれば想像以上の強さではないのか?

NFは召喚剣によって転移が行える兵器である。故に転移そのものは珍しくない。

だがそれは古代の超技術によって成立されるシステムであり、マーギアが簡単に行えるものではない。さらに戦闘中のNFを転移させるなど聞いたことがない。

見上げる。カイゼルと呼ばれた戦闘機は上空の旋回していた。

その特異なシルエットからは、神々しさと厳格さが溢れていた。

「あのNFにしてもそうだ、グラスを上回る力を秘めていた……カイゼル・オブ・アーク」

恐るべきマーギア、恐るべきNF、今考えればメイギのあの強さも十分脅威に値する。

「ノア王国の誇る、謎の集団アーク騎士団! その内部情報はほとんど隠されているが、まさかこれ程とは、俺は相手にしてはならないものに剣を向けてしまったのか?」

あれだけ揃えた戦力も今は崩壊し、気づけば孤立していた。

グラスと言う最新鋭のNF二機を揃え、マーギアであるリッシュを呼び、仲間を集めた。狙うはキョウカイシティにある潤沢な資源。上手くいけばノア王国打倒も夢ではなかったはず。

どこで狂った? いや狂わされたのだ。あの驚嘆するべき二人組に!

戦闘機に見えるカイゼルは、高度を下げながらゆっくりとその姿を変えていく。

カイゼルの胴体部分がスライドし後方に伸びる。まさしく両脚の形に変形する。さらに両側面がせり上がり、腕と手の形となる。機首に当たる部分が後方へと動けば頭部が表に出てくる。王冠をつけた王の顔である。戦闘機は人の形となり、まさしく巨人NFとなる。

両翼が縮み機首に当たる分部へと収まり、その両脚が静かに地面に接地する。

地面に静かに浮き立つ波紋は落ち着いた時、カイゼルがギロリとこちらを睨んでいた。

滑らかに白く輝くシルエットは美の極致である天使を思わせ、閉じられた黒い翼はあらゆる智に通じる悪魔を連想させる。相対する二つの性質を合わせたNFカイゼル。背面に移動した機種のせいで、まるで盾を背負っているようにも見える。その冠にも似た兜は切っ先鋭く、精巧な作りだ。

「カイゼルは変形するNFだったか! そんなNF誰も想定しない。だからどの国家もこのNFの情報を探ることが出来なかったのだ。リッシュだって気づかなかった。遥か上空にこのNFが待機しているなど誰も考えていないから」

オーベンはカイゼルの最たる特性に気付く。それは戦闘力でもただ変形が出来るというモノではない。驚嘆すべきは隠密性である。魔術による多くの探知スキルは上空までは伸びていない。

故にそれを掻い潜るカイゼルの性能は脅威なのである。

オーベンは知る由もないが、カイゼルは上空に待機する際は成層圏まで上昇する。

それをメイギは召喚によって呼び出すのである。

「だが所詮はNF。白兵戦を主とする兵器。対峙した状況ならのグラスに武があるはず」

グラスは両足を開き、腰を落とした。構えを取ったのである。全身が刃であるグラスの体が歪に輝く。物質であればありとあらゆるものを切断する鋭さがこのNFの特性。

ありとあらゆるタイミングでカウンターを繰り出し、相手を切断する。

“対NFならグラスは負けない”

まるで信仰にも似た信念がオーベンにはあった。

「かかってこいメイギ。ここで貴様を倒し、もう一度キョウカイを蹂躙してやろう」

オーベンは怒りを孕んだ息を吐きながらそのように叫ぶ。

「分かった。だがもうこれで終わりだ」

メイギの涼やかな声だった。そしてカイゼルが超突する。その加速は槍そのもの。

だがオーベンはニヤリと笑う。「かかったなメイギ。切り刻んでくれるわ!」

そうだともNF戦ではグラスは無敵。このNFに断てぬものなど存在しない。

オーベンはグリップを握り反撃を行う。まだカイゼルとの距離はやや間がある。

「早く来い。決着をつけるぞ、メイギ!」

感覚が伽すまれている。

わずかな時間が永遠にも感じられた。まだ彼我の距離はある刃を交える距離ではない。

とてつもない緊張感が胸を締め付ける。この一戦で全てが決するのだ。

焦りからか、僅かに瞬きをした。だがそれで勝敗が決することはないはずだった。

まだカイゼルの攻撃が決まることはない。

が、突然揺れた。激しい振動と共に衝撃が全身を貫き、グラスは後方に吹き飛ばされていた。

「何が起こった!」オーベンが愕然とした。グラスは尻もちをついた姿勢となるが勢いは止まらない。大地を引きずり巨石の群れにぶつかってようやく静止した。

動揺は隠せない。戦闘距離ではなかったはずだ。グラスが反撃できる距離ではなかったはずだ。

だが目の前のカイゼルの姿は異様だった。拳を打ち出すような構えのままで固まっていたのだ。


メイギはカイゼルのコクピットの中で事態を見渡していた。

召喚剣はコクピットの脇に突き刺している。NFを始動されるためのカギだからである。

画面は座り込むグラスの姿が映っている。その姿はまるで怯える子供にも見える。

グラスの膝は震えているのだ。力を入れることが出来ず立てないのである。

それはオーベンの心理状態を示している。NFの挙動は乗り手の精神状態そのものなのである。

カイゼルは静かに突き出した拳を戻すと、腰に下げた剣を引き抜いた。

カイゼルの動きには静謐さがあった。巨人が動いているにもかかわらず恐ろしいほどに静かなのである。それはつまりメイギが冷静状態であることを示している。

メイギは思う。凛の事を、己の失敗を、アンナを、キョウカイのこれからを、オーベンに対する怒りもある。自分に対する不甲斐なさもある。辛かった事だけではない。ここでのひと時には楽しい時間もあった。今、メイギの中には様々な感情が渦巻いているのである。

故に純然な怒りをもってこの場にいるのではない。怒りも悲しみも喜びも内包したままにカイゼルに乗り込んでいるのだ。敷き詰められた思いに揺れ動く隙間はなく、その動きは冷静に見える。

だが実際は冷静ではないのだ。今にも思いは溢れそうなのだ。

「これで終わりにしよう。凛の悲しみもキョウカイの悲劇も……」

カイゼルは刀を振り上げた。

相手が普通のNFならば間合いを詰め、振り下ろせば勝てるかもしれない。

しかし相手はグラスだ。カウンターで流石のカイゼルもダメージを負いかねない。

メイギはニヤリと笑った。グラスの能力はもう知っている。対策は万全であった。

カイゼルは一歩分だけ踏み込むと刀身を振り下ろした。凄まじい速さである。空気を燃やし、空間を削る、そのような一刀。余りの闘気だ。その刃の強さで景色は一瞬にして色味を失う。

音は後からやってきた。刀身が過ぎ去ったかと思えば、耳をつんざく程の爆裂音。そして生まれる衝撃波。灰色の世界を打ち砕く大音量と共に刀身から生まれたのは斬撃そのもの。

それは飛ぶ斬撃。メイギがそのように言ったこの技は体術と魔術を織り交ぜた高等術。

物臭なメイギが作り出した技故に、その名前もテキトウである。

「名付ければ飛斬か、別に名前なんて捻る必要もないし」とはメイギ談である。

巨人たるカイゼルの作り出した飛斬はメイギの使った時とは規模が違う。

「飛斬ならグラスのカウンターを無視できる。遠距離攻撃なら返しようがあるまいが」

大気を削りながら伸びる斬撃は、防御の姿勢に入ったグラスの両腕を斬り飛ばし、胸部の装甲を容易く吹き飛ばす。轟音に次ぐ轟音。その音色は甲高く、巨大なガラスが割れるようであった。

今も破壊された装甲が、幾つも爆ぜながら落下していく。

両腕を失ったグラスは力なく項垂れていた。最早返しの攻撃など出来る状態ではない。

そこに急接近するカイゼル、留めの一撃をみまう。

グラスの頭部は完全に破壊されるのだ。

メイギはあえて力を抜いていた。本気を出せばコクピットブロックまで両断出来たが、しなかった。

頭部までの破壊で止めていたのだ。それはまだオーベンに聞きたいことがあったからだ。

グラスのコクピットが開く。そこから飛び出す影が一つ。オーベンである。

カイゼルの反射神経なら、手負いのリッターなど簡単に捕獲出来るが、しなかった。

メイギはオーベンと話す必要があった。たった一言で済むはずだ。逃げてくれて構わない。

メイギもハッチを開くと、外に飛び出した。走るオーベンは足を引きずっているようだった。

「簡単に追いつける。ここまで来れば哀れだな。グリム王朝でもそれなりの存在だったろうに」

メイギはそうほくそ笑むと、まるで風のように走り出した。

速い、閃光のようである。時折召喚剣の刀身が光るから、地を這う稲妻のようにも見える。

「ちょっと待てよ。別に逃げることないだろう。もう全部終わったんだ」

簡単にオーベンを追い抜き、その前に立ち塞がることが出来た。

「くそ、クソッタレ! メイギ、お前はアーク騎士団なのか? いったい何者なんだお前は!」

オーベンは血と唾を吐きながら吠えあがる。まるで手負いの獣である。

「何だ、知っていたのか……。そうだとも俺はアーク騎士団、筆頭騎士。メイギ・ケニーヒだ。キョウカイシティに不穏な影があると聞き、独自に調査に入った。国王の命により、貴様を捕縛する」

「捕縛? キョウカイシティは独立自治。ノア王国の騎士であるお前が介入していい話じゃない」

「知っているさ、だが今回の件は表に出ることはないから大丈夫。闇から闇へと消える貴様に法は関係ない。アーク騎士団は表に出来ない超法規的活動を行う部隊。言わば貴様の野盗活動と同じだ。国の為に動く。ただ聞きたいことがあるんだが……」

「聞きたいことだと?」オーベンは逃げ腰だ。

アーク騎士団が暗殺部隊の側面があるのだと本当の意味で理解したのだ。

「アランと言う男を知っているか?」メイギはゆらりと刀を引きながら聞いた。

その行為は決闘の合図となった。

「アランだと、そんな男知るものか!」走るオーベン。

「そうか、残念だ」

メイギは視線を下に降ろした。オーベンは隣を通り過ぎていく。

いつの間にか刀はメイギの腰に下げられていた。

バタリ、オーベンはうつ伏せに倒れ込んでいた。彼にはいつ斬られたのかさえ分からないだろう。

オーベンの胸のあたりから血が滲み出ていた。ピクリとも動かない。視線を移せばグラスが半壊し、座り込んでいる。全身から放たれていた殺気は、今はもうない。

邪悪なる敵は敗北したのだ。キョウカイシティに蔓延る悪は敗れたのだ。

地平線からは太陽が昇り始めていた。闇は晴れていく。体が暖かくなるほどに戦いが終わった事を実感する。キョウカイシティの平和を、ノア王国の安寧を、メイギは守ったのである。

『命令は捕縛だったけど、倒しちゃったな~。どうしよう? アンナきれるだろうな……』

メイギは死ぬほど怒られる事を恐れて、別の意味で体が寒くなっていた。


「は~い。みんな街を元に戻すよ! キョウカイのみんなのチームプレー見せてやれ!」

ブルーメの花の咲いたような声が、街中に響き渡っていた。

キョウカイはドラゴンが爪を研いだ様に通り過ぎたように、風景の一部が抉られていた。

軒並みは吹き飛ばされ、家の支柱がむき出しになっている。まるで吐出した骨のよう。それだけではない、道路が破壊されたために下水が溢れだしていた。濁った水はさながら血のようにも見えるのだ。おぞましく、そして痛々しい光景だった。

そんな街の中をブルーメ達街の住人は、悪戦苦闘しながらも、立て直しに奔走していた。

顔には疲れの色があった。精神的な負担も重いのだろう、時折ため息も出ている。

しかし眼は死んではいないのだ。野盗の恐怖に怯え、腐ったように何もしないあの時の姿はどこにもなかった。みんなが街の為に最善を尽くそうと努力しているのだ。

「お頭、ここにクレーン持ってきてくだせえ」「親方、ハンマーいります! 必殺のライジングハンマーおみまいしてくださいよ!」「姉御! 喧嘩が始まりました、俺怖いので仲裁お願いします!」

屈強な男たちがブルーメに呼びかける。

「整備主任に呼べよ、お前らあああああああああああ!」

ブルーメの絶叫も元気に木霊していた。


「いいのか、病院を勝手に抜け出して? 別れの挨拶くらいしてやったらどうなんだ?」

裏路地に男の声が響いた。崩れた瓦礫のせいで大きな影のできている場所であった。

薄暗い場所を裂くように、男の切れ長の瞳が光った。

メイギ・ケニーヒが後ろから声をかけたのだ。声の先には女の姿があった。

「挨拶なんて……そんな資格ない。私のせいでキョウカイシティはボロボロになったんですよ」

女……凛・アーミティッジはやつれた顔をしていた。病み上がりであった。

オーベンを倒してから二日が経っていた。グラスはノア王国が回収し、残党もまた全員の捕獲を終えていた。通常なら役目を終えたメイギ達も消えねばならなかったが、それは出来なかった。病院に運ばれ、覚醒しない凛の事が気になっていたのである。

しかしその凛は目の前にいる。看護婦にも誰にもばれないように抜け出してきたのである。

グリム王朝の手先であった凛が保身の為に抜け出してきた……それはないだろう。

メイギは頭を掻きながらニヤリと笑い、

「合わせる顔がないのは分かるが、皆心配している……お前は寝ていて気付かなかったろうが、皆かわるがわる面会に来ていたんだぞ。最後に顔くらい見て言ったらどうなんだ? まあ俺は心配してなかったけどね」

「フフフ、実は私ずっと起きていたんですよ。逃げる隙を伺っていたんです。みんなの顔はしっかりと記憶させていただきました。それにしても大変でしたよ。メイギさんずっと私から離れないんだもん。貴方が居眠りするまで逃げるタイミングまったくありませんでしたよ」

「あら、そう。起きてたの? でも今は俺がカッコつけたんだから、君も嘘ついてくれてもいいよね」

「ハハハ、嘘は嫌いなんですよ」

「上手な嘘をつくがな」

「でも、もう嘘をつかなくていい、ねえメイギさん、私を捕まえますか、貴方はその権利がある。処刑する権利が。だって私はテロリストみたいなものですから」

「友達を売る趣味はない。キョウカイシティにいたいのなら、上手く根回ししてやってもいいぞ」

凛は一瞬きょとんとした顔をして、目を潤ませたかと思うとすぐに首を左右に振った。

「ありがとう。ありがとう。本当に嬉しい。でもね駄目なの、許せないの、自分自身が……だから禊はしないとね、そうしないと到底私はここにはいられない」

「じゃあ体を清めてすぐに帰ってこい。皆がお前の帰りを待っているぞ。俺だってそうだ」

「ありがとう、じゃあ眼をつむって」

「キスでもしてくれるのか」

「馬鹿」

凛の甘い声が風と共に流れてきた。

「キスくらいしてくれてもいいだろうが」メイギは呆れたように瞑った眼を開けた。

凛は姿を消していた。風と共に、あの素敵な女性は流れ去っていったのだ。


「ねえ、私たちも帰りの挨拶くらいしていってもいいんじゃない?」

メイギに話しかけるのは、金色の髪を持つ美少女、アンナであった。白く清らかな肌は幻想的ですらある。色気もある。それ以上にまるで妖精でも見たかのような、夢のような印象を抱かせる。

「駄目だ、カイゼルを出した以上、俺たちの正体に感づくやつはいるだろう。凛の無事を確認した今、少しでも早く逃げないといよいよやばい……てか、バレたらダメっていったのはアンナの方じゃなかったのか?」

メイギはアンナをギロリと睨んだ。眼は充血していた。凛が心配で寝ずの番をしていた証拠だ。

二人は荒れた道をひたひたと歩いていた。カイゼルは上空で追尾させている。

後方ではキョウカイシティが小さくなりつつあった。

「いやもうばれたらしょうがないじゃない。今からでも引き返して一言挨拶しようよ」

さっきからアンナはこの調子で引き返すことを提案しているのだ。

「ん? しつこいな。いやお前挨拶以外に目的があるな、ああ分かった。お礼と称して飯と酒を頂戴しようという算段だろう。あれほど食べておいてまだ食べる気か貴様!」

「あっあれほどって、何日前の話をしているの? 時がたてば私だってお腹がすくのよ。それにNF二機時空転移させる大技使ったんだから、そりゃ必要以上にお腹も空くわよ。いいじゃない。お食事頂戴しようとしたっていいじゃない、だって魔導師だもの!」

「しるか! もうノア王国に帰還する。今回の経費、お食事代は全部お前もちだ」

「やめてー! お許しをメイギ様!」

「やかましい、この現場の実態をノア王にも分かってもらうんだ。そうじゃなきゃあいつまでも大愚は改善されない。これは職場の声だ」

「あれほど心配したのに。どうしてそんなに怒るの? 私、アンナちゃん一生懸命やったでしょ? お食事代はしっかり働いだでしょ? 褒めてよ、そこは褒めてよ」

「そうだな」メイギはアンナに詰め寄り、そっと頭を撫でた。「ありがとう」と言葉を乗せて、

アンナの粉雪のような肌は一瞬にして真っ赤に染まった。まるで赤いリンゴの様だ。

「メ、メイギの意地悪―!」アンナはへなへなとへたり込んでしまった。

「置いていくぞ」

メイギは振り向きもせずに、荒れ地を歩いていくのだった。風が舞い、草花が散った。

甘く青い匂いが鼻をくすぐっていく。悪い気はしない、空は快晴であった。

『何か忘れている気がするけど、まあいいか』

メイギは頭を擦ったがやはり思い出せないので、そうそうに考えるのをやめた。


さてどうするか、男は悩んでいた。

『今さら請求ってのもなんだ、いや悪いだろ、流石に』

男は悪い男ではない。義理人情に厚いと言う自負もある。だがしかしこれでは赤字なのだ。

「メイギのやつ結局一銭も払わなかったな。本当の食い逃げ犯になっちまったな」

店長はため息をつきながらも、ふふふと笑うのだった。


とりあえず完結です。

感想お願いします。いろいろ雑なところあると思います。

これが今の精一杯ですが、頑張っていきたいと思います。失礼しました。

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