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ほんの少し仕事に目処がついたこともあり、大坂のいつも通りのチャラ男さ満載の軽快なトークにケラケラと笑わされながら、頭の片隅でお酒のピッチを少し間違えたことを感じていた。



「蓮田、珍しく赤くない?」


「いや今週鬼のように働いた。反動で一気に飲みすぎたわーー。」


「好きな奴の前でもこんな飲み方すんの?」


「いや、さすがにここまでは。」

と、言いながら「ふっふ。」とハルの顔を思い浮かべニヤケてしまう。



「きもっ!」


「しょーがないでしょうよ。好きな人の顔が頭に浮かんだら笑っちゃわない??」


「それがお前のいつもいう【付き合えなくてもいい相手】でも?」


「うん。だって好きでいるぶんには幸せじゃん?」




本当にそうなのだろうか。

いっつも私は、自分一人で解決できるようなふりをして、無理やり幸せな気持ちに加工しているだけではないのか。



「思い出すと同時に、好きな相手がこっち見てないってわかるって結構しんどいだろ。」



まさに今、頭で考えていたことをズバッと大坂に突っ込まれ、返答に困る。

「図星か??」と、いつものふざけた調子で顔を覗いてくる同期一のチャラ男はいつもの目線とは違う色を見せてくる。



「まあさ、そうなんだけど。でも好きなもんはしょうがないわけじゃん?!結婚とか報告されたら心臓もたなそうだけど。」



無理やり、視線を合わせないようメニューに顔を向けながら、投げやりに答える。

この間、同期の女子会が開催され、その中の一人が結婚の報告をしてきた。おめでたいムードに包まれたその同期会で私は「大坂とどうなの、ぶっちゃけ」と今まで考えたこともなかった選択肢を女子たちに詰め寄られた。

「ただ仲のいい飲み友達みたいな感じだから。」といくら事実を伝えても、やっかみ半分なのか全くその答えを受け取ろうとしない強め女子たち。

その光景を思い出し、苦笑する。




「大坂って、今、彼女いるんだっけ?」



「は?!!」


相当、唐突な質問だったらしく驚きのあまり、大坂のビールを飲み干そうとしていた口元から少し泡が漏れる。



「いや、俺はお前の大好きな男とは違って彼女がいたら、女と二人で飲みに行きませーん。」



凄まじく嫌味っぽく言われた。



「チャラ男のくせに。」


「チャラ男ってお前ら女子たちがが勝手に呼んでるだけだろ?むしろチャラ男ってことは固定の相手がいないわけ。イコール傷つける人もいないわけ。オッケー?」



饒舌なチャラ男大坂は、うざったいほどの身振り手振りで私に説明をする。




「それに、俺好きな奴いるし。」



急に真っ直ぐ目を見て言われ、今度は私がハイボールを吹き出しそうになる。

同期の女達のヤジが頭にフラッシュバックし、振り払う。さすがにこれは、うぬぼれというやつでしょう。大坂に限って。




「ま、そんなわけで俺はドフリーなわけよ。蓮田の思い人と違ってね」


そう言い切り、今度こそ、ビールをしっかりと飲み干した。




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