夜
帰宅し、スーツとシャツとストッキングを脱ぎ捨てゆるいパーカーとよれよれのハーフパンツを履く。
「ふう」
と自然にため息が溢れ、ベッドに腰を落ち着かせる。今日の仕事の振り返りと明日やらねばいけないことの確認と。脳味噌を少しだけ働かせる。
そういや夕飯をどうするか決めていなかったな。なんて疲れた頭で考えながら、ヴーーーーンと稼働する冷蔵庫を開けると缶ビールとツナ缶と鯖缶。いや、どんだけ缶好きなのよ私。
そして、冷凍庫にはブロッコリーとチーズと味噌。
うーーん。
ブロッコリーにツナをふりかけ、塩胡椒をした後チーズをのせてオーブンへ。ズボラ飯完成。そこに冷蔵庫の上に乗ってた小さなカップワンタンで今夜のディナー。
昨日のハルとのキラキラしたディナーとは雲泥の差。
食べる内容物は大差ないけど。1人で食べるって味気ない。カプッとなんだかんだビールを開け、一口飲み干す。
「ふーっ」
と吐いた息と同時に
ブーっとスマホが鳴る。月曜の夜から誰だね一体。
と、思ったら【大坂】の文字。
そしてもう1通気づかぬうちに入っていた地元友達からの連絡。
大坂からは週末の飲みの誘い。今日断ったんだから金曜は必ずな、という半脅しのような連絡。
そして地元友達たちは、土曜に集まって飲もうというお誘い。グループメッセージの中で一番にハルが「ごめん」という返答をしている。
ー デートかよ〜
可愛くないハルへのツッコミを即座に送る。送ったくせに、泣きたくなる。なんて素直じゃないんだろ。
なんて返事が欲しいんだろ。
コトン、と飲みかけの缶ビールを机に置きテレビ台に飾ってある写真たてを見る。
仲良く映る地元の友達たち。
その中で一番近くに映る私とハル。
これは恋なのかな。執着なのかな。なんでこんな、あんなクソ野郎のこと思ってんのかな。
ブー
とまたスマホが響き、「ちげーよタコ」というハルの一文が見えただけで一瞬で心がふわっと軽くなった。