プロローグ
どうも!初めての投稿となります、笠薙ユウ(カサナギ)です。
私が書く文章はとても立派というものではありませんし、学生ですので更新も不定期と思われます。
ですが是非、お暇なときにどうぞ。
「本当……ですか?」
薄暗い部屋の中、粗末な椅子に座っている女性は目を丸くして驚いた。
無論、女性と対峙している青年、そして黒髪の男は驚く必要など全くといっていいほどにない。ただ一人、豪奢な椅子に座った黒髪の男はにこりと微笑んだ。
普通にみれば人の好い笑みに見えたであろう。しかし男のことをよく知っている青年にとっては気持ち悪くさえ感じられる。
この男は人とは違う。
優しく笑った?
冗談じゃない。
彼は他人のために笑うことなどしないのだ。
男はその整った顔立ちの中にある薄い唇をゆっくりと開いた。
「ああ、本当だ。ただし、それなりの報酬は用意してもらう。何、別にあんたの魂をとって喰いやしないさ」
そこまで言うと男はティーカップをさかさまにし、中が空だという旨を青年に伝える。
「コーヒー淹れて」
「はい」
青年はそのカップを受け取り、足早に部屋を去る。
部屋に残された男と女性の間にはただ重い沈黙が流れていた。
沈黙を破ったのは女性だった。
「信じてもいいのですね?」
男が大きくうなずく。それは獲物を手に入れた肉食獣さながらに、とても満足そうなものだった。
信じない方が可笑しいです、と戻ってきた青年が男にコーヒーを差し出しながら言った。
「――あなたの目の前にいるのは、『神』なんですから」
黒髪の男、名を神影という。
生と死を司る唯一の存在、それが彼なのだ。