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王子ールイ視点

本編のルイ視点のお話です。

完全蛇足な上にルイ君が病んでる(本編でもその片鱗はある)ので、それでもオッケーと言う方だけどうぞ(´ー`)

 俺のニイナは可愛い。


「ルイ可愛い」


 とニイナは言いながら幼い俺をよく抱きしめていたが、そんな時から俺はそう思っていた。


 産まれた時から俺の中心にはニイナがいた。

 

 今はましになったと自分では思っているが、昔の俺は人の区切りを、「ニイナ」と、「ニイナじゃない人」としか認識していなかった。


 物心ついたころには実の母は死んでいて、ニイナが自分の産みの母ではないということも知っていて、俺の魔力のせいでニイナが異世界からこの世界に来たことを理解していた。

 そして血が繋がっていないことを残念に思ったりもした。


 

 しかし、魔術学校に進み、周りが恋だの愛だのの話をするようになってから、俺はニイナと血が繋がっていないという事実に感謝した。


 刷り込みだなんだと言われればそれまでだが、俺はニイナに恋をしているのだと気付いたからだ。



 年齢が上がるにつれて、ニイナは俺に他の女を勧めてきたり、ニイナ自身は俺の実の父である国王といる時間が増えていくしで、不安で仕方がなかった。


 ニイナは俺に国王と仲良くしろと言うが、そんな気はおきない。

 父は俺の父である以前に、ニイナと俺の邪魔をする敵だからだ。


 そんな父に対抗するために、ニイナの気をひくために色々なことをした。


 ニイナは自分の世界でのことを教えてくれた。

 この世界とニイナの世界では暦が違うらしい。

 しかし、こちらの暦に合わせて、ニイナの世界の記念日を教えてくれた。 


 それをもとに俺はニイナに、その記念日にプレゼントを贈った。

 それも気を引くためだ。


 ニイナの誕生日にはニイナに似合いそうな水色の水晶のネックレスをプレゼントした。


「あんなに小さかったルイがこんな、素敵なものを…」


 と泣きそうなニイナを見て、こりゃ息子からプレゼントをもらって喜んでいるただの母親の顔だ、と見た瞬間思いこっちが泣きたくなった。

 全然伝わってない!!


 翌年からはその反省を生かし、


「大好きだよ、ニイナ」

 

 という言葉を付けたしてプレゼントを贈るようになったが


「私もよ」


 とこれまた、色気もまったくない柔らかな笑顔でニイナに言われてしまった。


 それから、

「大好き」が「愛してる」に言葉が変わろうとも、ニイナの態度は「私もよ」と変わることはなかった。


 ニイナの国には「母の日」といいうものがあるらしく、もちろんその日も毎年していた。

 ニイナ曰く、日ごろは恥ずかしくて言えない感謝の気持ちを、母に伝える日らしい。


 ニイナに向ける感謝や、愛情を恥ずかしいと思ったことはないし、思ったらすぐに伝えるようにしていたが、そういう日なので、もちろん感謝の言葉を告げる。


「ニイナいつもありがとう」


 当たり前のように何度言ったことがあるかわからない言葉とともに、赤い花を一本、ニイナに渡す。

 ニイナの国では、「母の日」には赤い花を贈るらしい。


 ニイナは俺からその花を受け取り、


「ルイの母になれてよかった」


 と笑った。

 これまた、色気もくそったれもない。

 

 ニイナは俺の母だけど、母じゃない。

 

 そう言葉にしたいができない。

 そんなことを言ったら、確実にニイナを傷つけるから。


 このままでは時間だけが経ってニイナは俺の母を卒業して、他の人のもとにいってしまうかもしれない。

 俺を置き去りにして。


 焦りと不安で、でも結局ニイナの息子でしかない俺は、ニイナがいないならないようにニイナに抱き付いてしがみつくしかなかった。


 俺の不安が膨らむにつれて、たった一本だった赤い花は、年々抱えきれない量の花になっていった。

 


 魔術中等学校に入学し、新たな出会いがたくさんあった。

 ニイナに対する感情のはけ口がわからず、同い年のニイナと似た女の子が告白してきたので付き合ってみたが、全然だめだった。


 あの子は似てるだけで、ニイナじゃない。

 やっぱりニイナじゃなきゃダメなんだ。

 



 そうして、ニイナが好きだと再確認し、つい近くにいるものだから我慢できず、スキンシップをし続けた結果、父の住む、本邸に逃げられた。


 ニイナがいない生活なんて耐えきれないと、なんとか戻ってきてもらおうと、正攻法で頑張ってみたが、なかなか帰ってきてくれない。

 埒が明かない。

 

 押してだめなら引いてみろと、少し弱った声を出すと、ニイナはすぐに帰ってきた。


 やはりニイナは俺に甘い。


 

 せっかく連れ戻したニイナを渡してたまるか、とニイナにまとわりついた。

 

 俺はこんなにニイナが好きなのに思いは届かず、ニイナは俺に見合いの話を勧めてくる。

 もちろん協力者は父だ。


 腹を立てながらも、王子としての権限、魔術学校で得た学に、社交界で広げた人脈を使い、すべてひねりつぶした。

 そのあいだも魔術高等学校に通い、学を増やした。


 すべてはニイナのため。


 ニイナに自分を見てもらうため。


 ニイナが自分を子供としてしか見ていないから、ニイナは俺を男として見てくれない。

 なら早く大人になればいいんだ。


 がむしゃらに勉強した。


 十八という成人の年の誕生日にニイナに思いに告げようと決意して。




 しかし、俺の十八の誕生日に近づくにつれてニイナの様子はおかしくなっていった。


 おかしいなと思ったのは少し前から。

 決定的におかしいと思ったのは、誕生日前日、ニイナが「一緒に眠ろう」と言ったときだ。


 少し期待した。

 ニイナも俺を意識してくれたのかもって。


 でも、ニイナは幼い頃してくれたように隣に寝ころび、抱きしめてくれるだけ。


 残念と思ったのもすこしだけ。

 すぐに幸せな気分になった。


 そして、このことを知らない父に少し優越感を抱いた。


 そして、朝、ニイナに変なことを言われた。


 嫌な予感がした。


「もしニイナが嘘をついたら、俺はニイナのこと許さないから」


 その俺の言葉にニイナは


「嘘なんか吐いてないよ」


 と言ったが、すぐに分かった。

 あれは嘘つきの顔だ。

 社交界で培ってきた目を舐めないで欲しい。


 でも、怖くてニイナを追いかける気にならなかった。

 またすぐに会えるって信じたかった。



 パーティーにも顔を出さないニイナに悪い予感は大きくなっていった。

 祈るような気持ちで、離宮に戻ってもニイナはおらず、急いで父のもとに行った。


 そこでニイナが元の世界に戻ったということを知らされた。


 ニイナを引き止めなかった父に腹が立った。


「ふざけるな。どうして、ニイナを止めなかったんだ!」


 そう叫ばないではいられなかった。


「お前だってニイナが好きだったんだろっ!?」


 俺の声だけが部屋にむなしく響く。


「うるさい。そんなに取り乱してどうする。そんなことしたってニイナは戻ってこない」


 冷たい声の父。


「じゃあ、どうしてっ!??」

「どうして、どうして、うるさい!仕方ないだろ!ニイナが決めたことだ。だから俺は国王として見届けなければならなかったんだ」


 突然声を荒げた父。

 

 ああ、大人は大変だ。

 まだ、自分は子供なのだ、と思った。


「ニイナはお前をずいぶん甘やかしたようだが、俺は甘やかさない。今日から、父親として、国王として、教育してやる覚悟しろ」


 父はそう言って、自分の部屋に戻っていった。


 俺も、ニイナのいない離宮になんて戻りたくなかったが仕方なく帰った。

 部屋に帰り、この無駄に高い魔力でニイナを再び召喚しようとしたが、ダメだった。


 この国では、異世界人の召喚は原則禁止されている。

 だから、どんなに魔力が強かろうと、結界に阻まれてしまう。


 一人のベッドに入ると、ニイナへの想いが強くなった。


 ニイナに会いたい。

 ニイナに会いたい。

 ニイナに会いたい。




 次の日から父は言ったとおり、国王としての仕事を俺に教えてくれた。


「お前が国王に相応しいと思ったならば、お前の即位式の日、異世界人の召還を許可する」


 と父は言った。


 そこから父の教育が始まった。


 もとより勉強が嫌いではなかったからそれほど苦痛ではない。


 ニイナに会ったら、何を言おうか。

 ニイナがもう逃げられないようにするにはどうしたらいいのか、そればかり考えていた。


 そしてなによりニイナに会えないのがつらかった。

 それは父も同じらしく、二人で晩酌をしながらニイナの話をするようにもなった。


 今まで敵だと思っていた。

 父はニイナと並んでも問題ない大人。


 ニイナがいるときに、ニイナを王妃にという声があったのを知っていた。

 俺は父が羨ましかった。


 そして、息子としか見られない自分が嫌だった。


 でも、父も同じだった。

 

 父も、俺が羨ましかったと言った。


 結局、俺たちは親子なんだと、その時初めて思った。


 そうして、数年経ち、父は国王の座を退くと言った。

 つまり俺の即位を意味していた。


 ようやく、ニイナに会える。

 もう逃がさない。

 どうやって閉じ込めよう。

 どうやって縛り付けよう。


 そんなことを考えていたはずなのに、ニイナを目の前にしたら、そんなことを全部飛んでしまった。


 会いたかった。

 

 それだけが溢れてきて、どうにもならなかった。


 そして、ふと思いついた、「結婚」という言葉がニイナを縛り付ける鎖になると気付いた。


 口に出して言っても信じてもらえないなら、と直接唇に。

 ニイナは気絶するように眠ってしまった。



 俺は勿論ニイナを諦めるつもりも、逃がすつもりもない。

 父だってそうだろう。 



 キスで眠ってしまったニイナに呟く。


「さぁ、離宮に帰ろうか、聖母様」


 ニイナはもう俺の聖母ではない。


 次は誰の聖母様になるのかな?


 

 ニイナ。


 俺のニイナ。


 俺の世界はニイナを中心に回っている。


 

 

 



ニイナは完全に育て方を間違えました。


そして、ここまで読んで下さった方ありがとうございます。


評価、お気に入り、感想、を下さった方々、ありがとうございます!!

大変嬉しいです。


そして、エンドについてなのですが、私としてはどのようにもとれる終わり方ということで、あのエンドにしました。


なので、感想に頂いたように、二人とのエンドでも、国王とのエンドでも、ルイとのエンドでも、良いと思っています。


妄想で脳内補完して頂けると嬉しいです。




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