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03

 そして、翌日の朝ナティウスさん経由で国王にお茶会の申し込みをした。


 ルイが学校に行ったくらいで、了解の返事を貰い、私は国王の執務室に向かった。


 国王の執務室の隣、客間のような所で、私と国王は机を挟んで向かい合っている。


「で、どういう企みがあってこの茶会を?」


 開口一番、国王は言った。

 機嫌が悪いのだろうか、目が怖い。

 私は正直に話そうと口を開いた。


「昨日の食事会で思ったことがあり、このような場を持たせて頂きました」

「思った事、とは?」

「国王様もお感じになられたでしょうが、まったくもって和やかな食事会とは言えませんでした。そしてその原因は私と国王様にあると思いましたので」


 国王の目が更に厳しくなった。


「俺に非があると」


 私は息をのむ。

 ここで負けては駄目だと私は国王をにらむ勢いで観る。


「非があるというのではなく、原因があると言ったのです。私にも国王様にも」


 私がそう言うと国王は少し瞳を和らげて、


「それで?」


 と先に促した。


「はい。本来の目的はルイと国王様の仲を深めるためのもの。それには雰囲気作りというものが非常に大切ですが、私と国王様の間に流れる空気は親密なものではありませんでした。ので、もう少し国王様と仲良くなりたい、と思いまして」


 私が一気に話し終えると国王は少し口角を上げた。


「なかなか面白いことを言うな。仲良くと、具体的にはどのようなことをするというんだ?」

「そうですね…特には。こうしてお話する時間を少し作って頂けると嬉しいかなってくらいで…」

「なるほど。分かった出来るだけ時間をつくろう。では何をしようか?」


 国王は目の前に置かれた、お茶を一口飲んだ。

 何をしよう、ということまで考えていなかった。

 なんとなく、行動しなければ、とかしか考えていなかった。

 それに最近はルイやナティウスさん、メイドさん達としかコミュニケーションをとっていなかったから、二人きりで話というのは、緊張するし、国王相手なのだから、尚更だ。


「い、異文化交流というのはどうでしょう?」


 思い付いたことを口にした。


「異文化交流?」


 国王は聞き慣れない言葉だったのか、聞き返してきた。


「そうです。私はこの世界の人間ではないので、私の国のことを国王様に知って貰って、変わりに国王様にこの国のことを教えてもらう、というものです。もし、国王様のご興味があれば…ですが」


 少し控えめに言った。


「ほー。面白そうだな。聞かせろ」


 と国王は偉そうに(実際偉いのだが)言った。

 興味ないって言われたら話題を失うところだった…。

 良かった。


 少し考えて、自分の国のことを話し始めた。


「私のいた国は日本というところで、この国より大分小さく周りは海に囲まれています」

「敵国から攻められにくくて良いな」

「いいえ、私の国では国同士の武力での争いはありません。勿論、世界中ではありましたし、私の国でも昔はありましたが」

「そんな国があるのか?!」


 国王は驚いたような声を上げた。


「はい。私の国は平和な国です。この国とは雰囲気も大分違いますね」

「なるほど、興味深い」


 と国王は大きく頷いた。


「どのような政治をしているのだ?国王に会ってみたいものだ」


 と国王が言う。


「いいえ、私の国には、国王はおりません。この国でいう国王と同じ存在はおりますが、政治も行いません」

「国王が行わず、だれが行うのだ?」

「民に選ばれた、民の代表者です」

「民が政治を行う者を決めるのか!?」


 と国王は私の話を真剣に聞いて、返事をしてくれる。

 そして、心なしか楽しそうだ。


 そこから食文化や、日本の文化などを話しているうちにルイが学校から帰ってくる時間になり、国王も政務に戻らなきゃいけない時間になった。


「なかなか楽しかった。明日も時間を作ってやってもいい」


 と国王は部屋から出て行った。

 国王はツンデレなのかもしれない。


 面白そうだから、明日国王にツンデレという言葉を教えてあげようと決め、私も離宮に戻った。


 ルイはまだまだ甘えたで、帰ってくると私から離れない。

 今日も国王と晩ご飯を食べることになっていたので、それを話すとルイは嫌そうな顔をする。

 理由を尋ねると、


「だって、ニイナと二人っきりの時間が邪魔されちゃう」


 と言う。

 なんだ、それ。

 可愛すぎる!!


 思わず私はルイを抱きしめた。

 ルイも抱きかえしてくれる。


 そうこうしているうちに、国王がやってきた。


 ご飯を食べながら、昼の続きの私の国の食べ物について尋ねてきて、私はそれに答えていた。

 私と国王との会話は増えたが、国王とルイとの間の会話は少なかった。

 でも、昨日よりは和やかな雰囲気だし、大きな進歩だ!



 次の日も、国王とお茶会をして、「裸の王様」の話をした。


「なるほど面白い。愚かだと思いたくないが故に愚かなことをしたということか…」


 と国王は言った。

 それから


「もっと他にないのか!?」


 と楽しそうに聞いてくる。


 なんだか、かわいい。


 といっても、国王は私の何個も年上なんだけどね。


 国王は童話に興味を示したので、覚えている限り色々な話をした。

 私も童話が好きでよく読んでたため、ネタが切れることは当分なさそうだ。


 この調子で異世界交流頑張るぞー!

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