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午後のひと時

目を開けると、そこには・・・

「やっほー、美少女系悪魔のリンちゃんだよー」

自称美少女系悪魔のリンがいた。

「そして、そのリンちゃんの太股に頭を乗せて寝ている少年が自称美少年の夕日闘矢君です。」

オレがいつ自分のことを美少年だなんていったんだ!?

というかさっきの話で気になる言葉があったんですけど。

「まさか膝枕!?」

「そうだよ。気持ちよかったでしょ?さっきなんか寝言で、リン、リン!気持ちいいよリン!って言ってたんだから」

いや、それは言ってないと思うぞ。

というか断じて言っていない!

「ところでここはどこだ?というかなんでお前がまたいる?」

「ここは闘矢君が以前住んでた家から歩いて五分ほどのところにあるアパートだよ。それと私がここにいるのは同棲するから。」

オレの問いにリンはさも当然というような顔をして答える。

「ちょっと待て。同棲ってどういうことだ?」

リンの太股から頭を持ち上げて胡坐をかきながら聞く。

「決まってるじゃない。一緒に住むっていうことだよ。」

「・・・いやだ、といったら?」

その言葉にリンはいたずらっぽい笑みを浮かべて、

「もう一回死ぬ?」

「・・・。わかった。」

こうしてオレたちの前途多難な生活は幕を開けた。


・・・・・・

・・・・・

・・・


時刻は午後七時。先ほどから用意していた晩ご飯の支度ができたので今二人は食卓についている

「私、闘矢君と一緒の学校なのよ。」

「唐突すぎ。」

エビフライを箸でつかみながらリンが言う。

もうオレはこのくらいじゃ驚かない。

「そうそう、言い忘れてたけど闘矢君に関することは全て消されてるから闘矢君は転校生として明日入学することになってるから。」

あ、そうか。

オレに関することを全て消されたんだからオレの情報は残ってないのか。

「んじゃ俺はどういう名前で登校すればいいんだ?」

「夕日闘矢のままでいいよ。今ここにいる夕日闘矢は交通事故で死んだ夕日闘矢とは関係ないから。けど闘矢君の素性は一切不明ってことにしてるから何を聞かれても秘密ということにしてね。」

「じゃあお前はどうするんだ?」

どこの秘密結社の人間だよ!

というツッコミをかろうじて抑えながら聞く。

「そのへんは大丈夫。みんなの記憶を改竄してリンという人間は学園に元々いたということにしてるから。」

その言葉を聞いて闘矢は、やっぱこいつって悪魔なんだなあと感じた。

「それより闘矢君は料理うまいね」

「まあな。料理くらいできるようになれって親父が言ってたからな。」

そういって少し悲しい気持ちになる。

(もう親父とお袋はオレのこと覚えてないんだろうな)

そんな悲しみを吹き飛ばすかのようにリンが、

「やっぱり美形の男の子がエプロンつけて料理するのって萌えるー。(クス)」

意味ありげな微笑を俺にむける。

「ちょっと待て。むちゃくちゃ最後の(クス)が気になるんだけど。」

「しょうがないなー。今回は特別に教えてあげるけど次はないよ。最後の(クス)に込められた意味は、エプロンをつけた萌え萌え闘矢君を後ろから抱きついて体の自由を奪った後裸にして熱い夜をすご・・・」

「やめろ!それ以上言うなー!日本の未来が終わるー!」

「よいこの皆は真似しないでね」

リンが唇に手を当ててウインクしながら言う。

「だからお前が言うなー!!!」

・・・別の意味で暑い夜になりそうである。


「んでリン。これはどういうことだ。」

ご飯を食べ終え、寝室へと入った闘矢の目に映ったのは夫婦用のベッド。

「決まってるじゃない。一緒に寝るの。」

リンがそういって俺の腕をつかんできた。

「やめろ。マジで、よいこの皆にも悪いからそのネタだけはやめろ。」

「いいじゃない。どうせ減るもんじゃないんだし。」

華奢な腕からは想像もできないすさまじい力でオレをベッドへ引きずり込もうとする。

「減る、減らないの問題じゃない。ああ!だから引っ張るなって。」

「冗談。ほんとにそんなことしないよ。」

リンさん。それ、嘘でしょ?

目がキラーンって光ってますよ?

獲物見つけたときの目ですよ?

「まあいい。オレは床で寝るから」

「敷き布団ないけど?」

リンが寒かったら私のところに来ていいんですよ、という様な目できいてくる。

「大丈夫だ。それよりもう寝るのか?」

「はい。明日は早いから。」

「そう。んじゃ電気消すぞ。」

スイッチを押して電気を消すと明かりは外の月明かりだけになる。

「はい、これが一つあまってた掛け布団。

それじゃあ、おやすみなさい。」

床に転がり掛け布団をかけて今日一日で起きたことを反芻してみる。


事故のこと。自称美少女(まあ実際可愛いのだが)系悪魔の問題発言。

どれもこれもオレにとって新鮮なものだった。

少しだけこんな日々もいいかなと思える。

(ま、生きながらえた命。大事に使うか。)

リンの唇の感触を思い出しながら次第に深い眠りへと落ちていった。

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