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崖上小屋で今日もハイヒールを眺めます  作者: 小原みん


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36/69

間話: 高級酒場個室にて

目の前にはフードを被った女がいる。


フードをとったところを見た事はないが、美人に違いない。


大きな瞳に筋の通った鼻、薄い唇には真っ赤なルージュが塗ってある


俺はこの女が苦手だ。


全てを見透かすように、その大きな瞳で見つめてくる。


キラキラと輝く瞳なら、いっそ抱いてやろうと思うのだが、感情のないビー玉のような冷たい視線は、額に汗がでる。


「それで?こちらの要求は受けてもらえるのかしら?」


大きな声でもないのに、よく通る声に言葉が詰まる。


俺が、吐き出したタバコの煙を直接受けても、咽せるどころか眉一つ動かさない。


「……分かった。そちらの言い分を飲もう。ただし、俺が関われるのは情報だけだ」


「では、こちらは、メンダヴォルの真の伝承について」


破格の条件にたじろぐ。この情報は金貨何枚分か……。


「あなた方は、彼女の情報と、現在の彼女に対する扱いについて」


強い目力でこちらを覗いてくる

「そういえば、最近ご結婚されたそうね」


自分の生活を把握されている。冷や汗が止まらない。

「メリンダ…きれいな子ねぇ。ふふ。幸せそう」


甘く囁くような言葉は、ガラスの破片のよう。

「知ってる事、全て話しなさい」


瞬きもせず射抜いてくる。


視線を外したくなるのに、外せない。


女はゆっくりと口角を持ち上げた。


形の整った薄い唇が弧を描く。


艶やかで、冷たい。


「さあ、ひとつ残らず……」


――悪女。


その言葉が、頭に浮かんだ。



だから俺はこの女が苦手だ。

敵にしてはいけない……。

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