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第八十八段 月をもめでじ

【本文】

 むかし、いと若きにはあらぬ、これかれ友達ども集りて、月をみて、それがなかにひとり、


 おほかたは月をめでじこれぞこの

   つもれば人の老いとなるもの



【現代語訳】

 昔、非常に若いとも言えない者が、この者あの者と友達同士で集まって、月を眺めていましたが、その中の一人が次のような歌を詠みました。


 もう月を愛でるにしてもぼんやりと眺めてばかりいるのはやめにしよう。月を見る、それだけのことも積もり積もれば人の老いというものになるのだから。



【解釈・論考】

 「いと若きにはあらぬ」はそれほど若くもない、というくらいの意味ですので、まだ老年期というような年齢ではきっとないのでしょう。壮年期に近いあたりでしょうか。そのくらいの年頃の人が、集まっていて月を眺めていてふっと悲しくなることがあるというのは、大いに共感できるところです。今はこうしてみんな元気に月を眺めていられるが、いつまでこのようにして過ごせるだろうか、今、この瞬間のひとつひとつを大事にしていきたい、というような気持ちが歌から伝わってくるようです。

 この「おほかたは月をめでじ…」の歌は大空にのぼる美しい月と、年月を表す意味での月をかけ合わせたところに巧さがあります。一夜の月を見るのが夜ごとに重なり、ひと月になり、一年になり、それがさらに重なって老いになっていく、そんな連続性のある歌です。

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