表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ループ感染 Leap year  作者: 園日暮


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/17

14 212年前 始祖の覚書


 十一海母(ティアマト)の月16日


 この世界は完全ではない。

 世界は争いと不平等に満ち、人の尊厳は富あるものの所にのみ存在する。


 神は完全なる世界を創れなかった。


 ならばどうする。 嘆くか? 壊すか?

 それとも自分で完全なる世界を創らんとするか。


 世界が不完全ならば、その不完全さを利用して生きる。


 それが私、大魔導士ベルナルド・アマーリエの選んだ道だ。



 世界は完全ではない。

 完全ではない世界にはズレがある。

 ズレはやがて溜まっていき、いつかそれが反動として現れる。


 圧政に対する暴動。

 乱獲に対する飢饉。


 私の訪れたこのアサトリュークという国は、溜まった反動が解放されることなく、ズレだけが消えてしまっていた。


 大陸中央に起こったアズマダー帝国は東西に版図を広げた。

 アサトリュークも帝国の侵攻を受け、周辺同盟国に助けを求めた。


 助けは来ず、アサトリューク半島全域が帝国に支配された。

 半島を見捨て、北の連峰を守りの境界線とすることを選んだのだ。

 帝国としても西海に面したアサトリュークさえ採っていればよく、それ以上は損害の方が大きいと判断した。


 暗黙の裡に両者合意が為され、アサトリュークは生贄の羊として帝国に支配された。


 それから700年。


 アサトリュークは帝国の支配より解放された。


 勝ち取ったものではない。

 帝国で内紛が頻発し、その勢力を縮小させた、支配地域から撤退していっただけだ。


 後に残ったのは、700年の支配で疲弊した国と、それを生贄の羊に差し出した周辺国だけ。


 この国には行き場のない、貯められたよどみが蠢いている。



 私がそんな政情不安定な国に赴いたのは、世界のズレを求めてのことだ。


 世界には不完全ゆえのズレがある。


 大地のズレは溜まり、やがて地殻変動を生む。

 空のズレは光を貯め、雷を生む。


 時間にもそのズレがある。


 一角獣(ユニコ―ン)の月から始まり、一二熾翼(ルシファー)の月まで12ヶ月。

 ()()()()()()()()()

 ()()()()()()()


 暦ではそうなっている。


 しかし、私の観測した限りでは違う。


 一年は365日。

 正確には365と、四分の一。

 四年で1460と1日だ。こうなっている。


 だが、暦は問題なく運用されている。

 計測が正確ならば、暦のズレが誰の目に明らかなズレとなって現れるはずなのだが。

 それがないということは、時間のズレは、誰にも認識されず、その反動もまた誰にも認識されず解消されているということ。


 世界には時間のズレを是正する力が働いている。

 不完全を一見完全と見せかける力。

 時間を正しき流れに戻さんとする力。


 その力を魔力で利用し、時間に干渉する。


 私はこれを時間魔法と名付けた。


 その時間のズレが強く現れる土地を探して、私はこのアサトリューク半島にたどり着いた。


 この国は混乱の只中にある。

 帝国の支配から解放された民は、帝国にすり寄り甘い汁を吸っていた同胞を襲い、その富を奪っている。


 各地に(くに)を名乗る勢力が乱立し、争いは激化の一途をたどっている。


 そんな中でこの国を立て直さんとする一人の若者に出会った。

 その若者だけは、私が会ったどのこの国の者とも違い、別のものを見ていた。



 私はこの若者に協力することにした。



 国勢が安定していないと時間魔法の研究にも支障があるからな。



 ……いいや、それだけもないか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ