【どーなる・トランプ外伝:第11話】魂家族割を契約したら、知らない子どもが三人ついてきた件
魂が減っていく生活にも、少し慣れてきた──そんな矢先のことだった。
俺はまたやらかした。
「マスク、オレさ、**“魂家族割”**っての契約してみたんだけど……」
「は?」
「なんかさ、家族で魂をシェアできて、基本料がグンと安くなるって書いてあって……」
「“魂をシェア”って何?」
「知らんけど、“心が通じ合えばOK”って書いてたから、ノリで“YES”押した」
その結果。
──なぜか知らない子どもが三人ついてきた。
* * *
朝起きたら、テントの前にいた。
「パパ、おはよう!」
「魂の朝ごはんはどこ?」
「今日の祈りメニューは“つらい思い出弁当”だよね!?」
誰だよお前ら!?
「マスク!助けて!」
「……うわ、本当に来てる。てか魂のタグID、契約者のあなたと完全一致してるじゃん」
「どういうこと!? オレ、魂で家族増やしたの!?」
「そう。“魂家族割”っていうのは──**孤児院システムから“相互依存構文”で登録された子どもを強制マッチングする制度”**らしい」
「マッチングアプリかよッ!!!」
* * *
3人の子どもたちは全員、
MP残量:2%以下
記憶スロット:破損中
祈り履歴:毎日無償提供
という、魂的に超ハードモードのスペックだった。
「これ、オレが全員分の魂負担するの!?」
「うん。君の残量も……あ、7%まで減ってる」
──ヤバい。これ、ただの課金じゃない。
完全に感情で支払うタイプの人生サブスクだ。
「でも、なんか……笑ってるんだよな、あいつら」
「その笑顔も、きっと君の魂から供給されてるんだよ」
「……おい、やめろ、泣くから」
* * *
夕方。
俺はいつもの祈り市場で、こっそり祈り広告を見て、魂を10%チャージした。
……それを3人に分けて配る。
「パパ、ありがとう!」
「これで今日もメモリウム飲めるね!」
「味は……バナナ味にしてみよっか?」
……バナナ味だけはやめてくれ。
──こうして俺は、
**魂でできた“よくわからない家族”**と暮らすことになった。
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※この物語に登場する人物・団体・概念はすべてフィクションです。
実在の人物・団体・国家・超富豪・超天才とは一切関係がありません。
むしろ、異世界の住人です。
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