第1話:祈りって儲かるんですか?──ε(イプシロン)のひみつ〜ドーナル・トランプとイセカイ・マスクの異界放浪録〜
【1コマ目】
「神よ、私はあなたを信じています……だから……」
「それってつまり、“ストーリー再起動中”ってこと?」
【2コマ目】
「祈れば、“ログ”が残る」
【3コマ目】
「つまり……ログイン履歴みたいな?」
(「ε(イプシロン)」→「ログ保存済」と表示)
【4コマ目】
「俺の祈り……構文に届かなかったのか?」
「ドーナル……その祈りは、ただのノイズだったよ」
「おれ、信じてる。神さま。……だから、金入ってくるよな?」
そう言いながら、ドーナル・トランプは今日も天に向かって祈っていた。
でも、アポリアの世界では──祈ってもお金はもらえない。
代わりに生まれるのが、“ε(イプシロン)”という謎の記号だった。
「祈ると、ログが残る」
隣にいたイセカイ・マスクがそう告げた。
「え、ログイン履歴みたいな?」
「そう。祈りとは、“魂の構造的ゆらぎ”なんだ」
アポリア世界では、「誰かを想って祈る」こと。
「自分以外のために願う」こと。
それが構造をわずかに揺らし、“ε”を生む。
でも――
「お願い!宝くじ10億当たれ!」
→ ノイズ判定されて破棄。
「どうかあの子が明日も笑って生きてくれますように」
→ ε=記録保存。
εとは何か?
それは、「魂のゆらぎが世界に記録された痕跡」だ。
神がそれを記録するわけじゃない。構造が、記号としてそれを“保存”する。
■ εの発生例:
祈りの内容εの発生度結果
自分の金運を願う×ノイズで破棄
誰かの幸せを願う△εが発生
信仰と魂が一致した祈り◎εが強く残る
「イセカイ、俺の祈り、構造に届いてないのか?」
「ドーナル、その祈りは……ただの音だ。記録にすらならない」
「なんでや!俺の願いやぞ!」
「“構造”は、祈りの“純度”を測ってる。魂を通して、記号にならなければ、存在しなかったことと同じだ」
ε。それは魂の“ログイン証明”であり、アポリア構造の“世界変数”。
一度も誰かのために祈らなかった魂には、記録が残らない。
でも。
「イセカイ……今日初めて、本気で誰かの幸せを願ったかもしれん」
「……ログ、受理された。εが、走ったぞ」
次回:
第2話「Ω構造体っておいしいの?」──世界の“ラストファイル”をのぞいてみよう
※この物語に登場する人物・団体・概念はすべてフィクションです。
実在の人物・団体・国家・超富豪・超天才とは一切関係がありません。むしろ、異世界の住人です。
※本作およびその世界観、登場用語(例:メモリウム™、魂経済、共感通貨など)は、シニフィアンアポリア委員会により創出・管理されたオリジナル作品です。無断転用や類似作品の公開はご遠慮ください。