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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

書き出しシリーズ

特殊設定悪役令息を書こうとして力尽きたやつ。



※注 TS転生(女→男)盛大にミカンです。続きはないよ!もったいない症候群で自分まとめ用に上げました。特殊設定で書きかけているとこまではBL!でも主人公の中身が前世女だからどちらともとれないよ!ごめんね!

「ハナちゃんきゃわわ。」


「その物言いはどうかと思うのですが…、」


困ったように笑うハナちゃんに窘められつつも抱き着く私を引きはがさない辺りに優しさが限界突破していて、もう本当にありがとうございます…!!なんて五体投地しそうな私とハナちゃんは昨今流行りの転生者だ。


私と元女子高生の花ちゃんは何の因果かとある小説の舞台に私が悪役令息、ハナちゃんは主人公(受)として転生していたのである。ハナちゃんの入学早々にガゼボに呼び出しぶっちゃけトークを展開。推しCPがあり壁や床として見守りたい民だった私達が考えることは同じだったようで、私はハナちゃん…主人公のハーレイ・ナウェル推しでハナちゃんは私、ロティリオ・アマルガム推し。お互い驚き笑いあって、今では推しCPを熱く語り合い愛で合う友として仲良くしている。


「はぁ~…癒される…。」


「ふふふ、それは良かったです。」


花の綻ぶように笑うハナちゃんマジ天使。ほんと妖精。ふわふわの栗毛は子猫みたいに柔らかいし、白い肌にピンク色のほっぺが大きいチョコレート色の瞳と合わさって甘いケーキみたいだ。ハナちゃんの可愛さあまって抱き着いてしまうけど、ハナちゃんもほっぺをくっつけてくるのでお互い様です。おもわず頬を摺り寄せるとハナちゃんのほっぺはもちもちで超柔らかいからやめられない止まらない!


「…何をしている、ロッテ。」


「ひゃッ、」


くすぐったいですぅうなんてハナちゃんの可愛い悲鳴を聞きつつよいではないかよいではないかと悪代官(悪役令息だけど。)していたら、敵、襲来。金髪碧眼なんて王道の王子様ルックな美形男子は攻略対象の一人でマジものの王子さまです。そして、悪役令息な私の婚約者様だ。


「…ご機嫌よう、第二王子殿下。」


「ああ。お前ほどではないがな。」


挨拶に返される嫌味に思わず眉間に皺が寄りそうになって、なんとか我慢する。


「生徒会はどうなさったんですか。卒業パーティーの準備で忙しいはずでは?」


「今日の分は終わらせたから問題ない。」


「それはご苦労様です。折角時間が空いたんですから早くお帰りになって休まれるのがよろしいかと。」


「そうだな、最近は忙しく愛しい婚約者と過ごす時間が取れなかった。だからこそ同じ時間を過ごす為に迎えに来たんだが?」


水上に設けられたガゼボは内緒話にもってこいのお気に入りの場所。蔓に覆われ天井から濃淡様々な美しい藤が咲き誇っていた。ベンチに座る私達からは殿下を見上げる形になるせいで、バックにその華を背負いながら悲しそうに眼を細めている色男が完成されていて…。


「………命令なら従いますが。」


眉間に皺が寄るし威嚇するように声が低くなるのはもう癖で、防衛本能の一種と言っても過言ではないと思う。主人公のハナちゃんと仲良しな今、私が悪役令息として断罪される未来は来ない。でもそもそもハナちゃんが殿下以外の攻略対象を選んだとしても、私は誰とも結ばれないのだから放って置いて欲しい。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



はじめて『自分』を思い出したのは5歳。王子の婚約者候補としての顔合わせの時だった。3人いた候補者達は私を含め皆可愛らしい顔立ちだった。原作小説の設定では、この『愛の国』は男性同士でも子供が出来る。それは国の成り立ちとかが関係するのだけど、一端端に置いておこう。


王様は男性同士だと子供が授かれなくて、女性のお嫁さんを貰わなければいけないのだけど、次期国王を決めるのは代々受け継がれている魔法の王冠だ。つい先月王冠が第一王子を次期国王に定めたから、第二王子と第三王子も婚約者探しがスタートしたのだ。


で、そんなこんなを思い出しているうちにとんとん拍子で私は婚約者に選ばれた。その時は浮かれていた。なんせ大好きな小説が舞台で自分は主要人物なのだから、推しの主人公ちゃんに会える!と張り切っていた。それにそのころは…王子の事も好きだった。サラサラの金糸は肩で揺れて青色の瞳は光を反射すると深い緑が散らばる幻想的な眼だったから、ついつい瞳を覗き込んではその緑を探したりもした。天使の様な王子…シャル様が笑ってくれるたびに嬉しくなったし、1歳違いだとは思えないくらい理知的だったから憧れていた…正直恰好良くて本当に大好きだった。


恋するパワーって凄い。なんでもできるし実際できた。会うたびに可愛い綺麗と褒めてくれるシャル様に私も沢山好きだと伝えた。会えない時は手紙を出したし、送られてくる手紙やプレゼントが嬉しすぎて抱きしめて眠った。10歳までにマナーは完璧になって、その間原作設定を死ぬ気で思い出して絶対にハッピーエンドに持って行こうと意気込んでいた。…まぁそれが不可能なことくらい、始まる前からわかっていたのに…目を背けていたのは私だけれど。


「本当に、いい迷惑だ。婚約者だから仕方ないが…定期的に会うのも億劫だし正直鬱陶しい。」


「えぇ~?ロティリオ一途で可愛いじゃん。何が嫌なんだよ。」


「所詮家同士の決め事じゃないか。愛する相手を自分で決める…それすら許されないんだぞ。」


「それは立場的にしょうがなくね?そもそもお前好きな奴いんのかよ。」


「それはまだだが…、いつか真実の愛に出会った時に婚約者なんて邪魔でしかないだろ。俺は本当に愛している相手以外に愛を囁きたくはない。」


そんな会話を聞いてしまったのは12歳の社交パーティーの時。お揃いの礼装に浮かれて、今日も綺麗だね、と笑うシャル様の言葉に胸をときめかせていた幸せな日から現実を思い知った日。手は震えて、脚は鉛の様に重くて、心臓が冷たくて。親友との内緒話を終えたシャル様が休憩室の扉を開けて、棒立ちのまま動けない私に気が付いて…苦虫を噛み潰したように歪む綺麗な顔に、初めて見たシャル様のその表情に…


「だいきらい。」


何故か胸がすっきりしたのを覚えている。もっと傷付いて泣き喚くかと思った私の涙腺は涙を一粒零して終わって、冷たい心臓の上を握りしめる手はまだ震えていたのにマナー教育の成果か『原作を覆して幸せになる』という自分で課した重圧からの解放感か、私の顔はこれ程までにない満面の笑みだったと思う。面食らってポカン顔になっていた婚約者様は今思い出しても笑えるし、ついでに原作で『ロティリオ』が『シャルール』を振り向かせようと躍起になる切っ掛けってここだったな。と考えられるくらい頭が冷えていた。


涙がこぼれた眦を指ではらって婚約者様を見上げれば、怒っているのか顔を真っ赤にして金魚みたいに口がパクパクしているものだから思い切り噴き出して笑ってしまった。愛され王子様な婚約者様は嫌われたことが無いのかな?原作で『シャルール』に泣いて縋った『ロティリオ』とまるで違う『私』にそれもそうだよね、なんて。そうだ、私は大丈夫。こんな奴に傷つけられて、惨めな姿を晒して堪るか。そもそもわかっていたことだもの。『私』はどう足掻いても『第二王子』と結婚することは出来ない。そうなるともう手の震えも治まったし鉛の様だった足も軽くなって。


「ふふ、お邪魔なようですので先に帰りますね。」


「…は、ッえ、まっ、ロティ…ッ」


「さようなら、第二王子殿下。」


硬直している婚約者様に7年間叩き込んだ最高傑作(カーテシー)と笑顔を見せつけて、踵を返す。パートナーの居ないパーティーにいる意味なんてない。それにお父様に婚約解消のお話もしなければならないんだもん。場合によっては勘当されるかもしれないけど、それはそれで強く逞しく生きていきますとも。


「…すみませんお父様。今何と仰いましたか?」


お父様の執務室に呼び出され、聞かされた言葉に危うく紅茶を咽るところだった。私の反応に困惑しているお父様は、私が婚約解消とその理由を話したときそんな馬鹿なと笑っていた。それでもあれだけべったりだった私が第二王子殿下の名も呼ばず手紙も出さず贈り物もせず、終いにはパーティーすら体調不良で欠席して初めて婚約解消について真剣に話し合ってくれた。お父様は悪役令息もののテンプレよろしく宰相で私を溺愛してくださるし、『ロティリオ』の癇癪や我が侭その他を甘やかし人生を転落しなければとても優秀で非の打ちどころのない方なので、私が第二王子殿下の婚約者から外れたところで我が家にそれほど問題はない。次期宰相のお兄様は第一王子殿下の側近ですし。


だからこそ、婚約解消はまぁ一悶着位で叶うと思っていた。


「第二王子殿下は、お前と婚約解消する気はないと仰っている。」


「…冗談ですよね?」


「これを見ても冗談だと言えるか?」


お父様がデスクのベルを鳴らせばメイド達が次々に執務室の一角に装飾の施された…プレゼントを置いては一礼して下がっていく。山になっていくそれらにブリキの人形よろしく身体を硬直させてお父様を見ると険しい顔で頷かれて、恐々プレゼントに寄ればその一つずつに小さなカードが添えられていた。読みたくない。しかしそういうわけにもいかない…ッ。恐る恐る開けて、カードに眼を滑らせる。


『愛するロティへ。 一目見て君を思い出した。身に着けてくれると嬉しい。シャルール』


『愛しいロッテへ。以前君が好きだと言っていたお菓子を取り寄せた。喜んでくれると良いのだけれど。シャルール』


「…ひぇッ、」


高そうな宝石、王城で出された美味しいお菓子に可愛いぬいぐるみ、仕立ての良い服の入った箱は王室御用達のマークが箔押しされている。最後に入って来たメイドがトレーに乗せた紙束を私の目の前のテーブルに乗せて退出していった。…手紙、ですよねどう見ても。いや何枚あるんですかこれ。


「一応な…、お前が婚約解消を申し出てきてからの手紙や贈り物はこちらで預かっていたんだが。あ、もちろん中は読んではいないぞ?ただな、一月でこの量だろう?以前の倍以上は来ているんだが…本当に不仲なんだよな?痴話喧嘩か?」


「痴話喧嘩でもなければ一方的な思い込みでもありません。」


言葉を選びつつ窺うように私を見るお父様を睨む。そのまま手紙の束の一番下を引き抜けば、どうやら昨日届いた最新らしい。ペーパーナイフで封を切り、気合を入れて手紙を開いた。


『可愛いロティへ。最近は少し肌寒くなってきたが、体調は良くなってきただろうか。あのパーティーで君と別れてから、この一ヵ月が随分長く感じる。いつもそばで笑ってくれていた君がいないだけで胸が苦しくて、とても辛い。あの時の俺は、本当にどうかしていたんだ。王族であることの不満や重圧をロティにぶつけるなんて…、謝って許される事ではないがどうか、直接謝罪する機会をくれないか。それから、アマルガム殿から婚約解消の話を聞いた。あれだけ君を傷付けておいて何を、と思うだろう。でも俺は、君を愛している。もう一度、チャンスをくれないだろうか。 シャルール』


ざわざわと、胸が騒ぐ。この一ヵ月、私も思い出したことがあった。私は第二王子殿下に『可愛い・綺麗』と褒められることはあっても。『好き・愛している』と好意を寄せられたことは7年間で一度もなかったこと。それがいま、この手紙や小さなカードにすら記されて囁いてくる。本当に愛する人以外に愛を囁きたくないとか言ってなかったですっけ?なにがチャンスだこの野郎。


「…お父様。」


「ん?なんだ。」


「全部送り返してください。封を切っていない手紙も全て、です。」


「そ、れはどうかと、」


「送り返してください。」


「…わかった。」


もうここからは、意地だったかもしれない。何が愛してるだ!何が辛いだッ!!思い出とか好きだった気持ちとか捨てたはずの色んなものが、捨てきれなかった色んなものが蓋を閉めただけの箱の中から溢れ出して、全部ぐちゃぐちゃに混ざり合って…ただ、一発殴ってやらないと気がすまなかった。


「それから、第二王子殿下にお会いしますので、日程を組んでください。」


「お、おお?!わかった!」


王族に殴りかかるのだから縁を切って貰おう。お父様とお兄様にご迷惑を掛けるわけにはいかないけど、私の気もこのままでは収まらないから。強く握った拳に付随している腕は華奢で、殴ることしか考えていない私はその細腕から繰り出される拳が相手にダメージを与えないばかりか自分の手の方がよほど痛くなることを知らなかった。


「ッロティ!」


「…お久しぶりです、第二王子殿下。」


敵陣のど真ん中、王城の庭園で一番の人気を誇るバラ園のガゼボに呼び出された私は、紅茶をひとくち飲むか程度の待ち時間でこちらへ走ってくる第二王子殿下に気がついた。


「そのっ、…待たせただろうか?」


「いいえ、今しがた着いたばかりですので。」


「そうか!ええと…、今日の菓子はな、お前が以前気に入ったと言っていたもので、紅茶もユフェン産の…、」


ついて早々席にもつかずティーテーブルに並べられた豪華なカップや軽食等の説明を早口で捲し立ててくる第二王子殿下に、首を捻る。いつも微笑んでは一歩退いている彼は、基本私の話を聞いて相槌を打つのがパターンだったはずだ。それがどうだろう、走ってきたまま話すものだから頬は紅いし目を彷徨わせてはこちらをうかがい、口をひき結んで震えてる。というかこんなに話すのはじめて見た。


「第二王子殿下。」


「っ、」


「お話ししたいことがございます。席に着いていただけませんか。」


私の座る場所から人一人分開けた程度の距離にある椅子。そこが第二王子殿下の席だと誰だってわかるのに、あろうことか彼は椅子に座る私の前に跪いた。


「…殿下?」


見上げてくる青色の瞳に光が反射して濃い緑が散らばっているのが見える。好きだったその瞳は綺麗なままで悲しげに細められていて、美しい手が私の手を柔く握りしめた。


「名を、呼んでは貰えないのか…?」


「…、」


なにを、いっているんだろうこの人は。


「お話ができないのであれば、…帰ります。」


「ッすまない、会えたことに満足すべきだったのに欲張ってしまった。許してくれ。」


切なそうに、苦しそうに笑う殿下に混乱する。なぜそんな顔をするの?苦しいのも、傷つけられたのも私のはずなのに。


「…どうか、謝らせてほしい。俺はあの日まで君を軽く見ていた。恵まれた立場に胡座をかき、もたらされるものは当然のように甘受しておきながら、王族の不自由さに嘆いて…酔って、いたんだ。自分の出来が良いことも拍車をかけて、王冠が俺を選ばないことを馬鹿にしてすらいた。…いまは、選ばれなかった意味がわかる。」


ぽつりぽつりと話し始めた殿下に、私はなんと返せば良いかわからずにいた。跪き俯いていた殿下の視線がそろりと持ち上がり、私をうつす。


「俺の為に、君がどれだけ努力をしていたか知っていた。それを、『王族との繋がりのため』にしているんだなんて、勝手に思い込んで…拗ねて、いたんだ。君から贈られる愛情も、きっと上辺だけのものなんだと…。」


きゅう、と包み込むように握られたままだった手に、力が込められたのがわかる。私の好意は、そもそも受け取られていなかったのね…。殿下の独白に無意識にぐっと下唇を噛んだ。


「あんな酷いことを言って、聴かれてなお泣いてすがられるか、怒るのだろうと、それでも君が『繋がりのため』に俺から離れていくことはないと、思っていたから。ロティに『大嫌い』だと言われてはじめて、世界が音を立てて壊れた。すぐ自分の考えがいかに間違っていたかわかって、途端に自分の高慢さが恥ずかしくなってッ、それから、君の、想いが…、」


段々と早口になり殿下の耳と頬が赤く熱を持ちはじめたのが、よく見える。そんなお顔も、7年お側においていただいて、はじめてみるものだった。


「なんて、綺麗なんだ…、」


「え、」


眩しそうに目を細めて…うっとりと酔っているような熱を孕む殿下の青い瞳にうつされ、肩が跳ねる。


「そのッ、嫌われたことは、わかっている!ちゃんと、わかっているんだ。」


所無さげに視線をさ迷わせ、自分の吐き出した言葉に傷ついているのか段々と言葉尻が小さくなっていく。


「でも俺は、君と、ロティと結婚したい。俺がこの先愛せるのは、ロティだけだ。」


「っ、」


「今すぐ許してくれなんて、言えない。だがどうか、愚かな俺にチャンスをくれないか?せめてロティが俺を想い続けてくれた時間分、君を想う許可がほしい。」


「時間分、って、」


「7年。これから7年の間に、絶対に君を口説き落とす。」


さっきまでの不安そうな()が嘘のように、大好きだった(ひとみ)に射抜かれて、息がつまる。


「俺もロティも学園に通うことになるだろう?7年後は卒業パーティーだ。その日を期限にしたい。それまでは、どうか俺の婚約者で…。」


7年後、私は19歳。学園の卒業パーティーはつまり、悪役令息である私の断罪式の場だ。主人公とパートナーが結ばれ、『私の秘密』を暴かれて断罪され国外追放を言い渡される日。


そう、私、『ロティリオ・アマルガムの秘密』そして、主人公である『ハーレイ・ナウェルの秘密』でもある。それが有る限り、主人公と違い私は『この国で』誰かに愛される事はない。そんな私が、喩え結果がわかっていても誰かに…この人に、愛してもらえるのなら。


「…わかり、ました。」


「っ!ほ、本当かッ?!」


「きゃあっ!」


ガバッと立ち上がった殿下の勢いに繋がれていた手をひかれ、身体が前に倒れそのまま抱き止められた。


「ありがとうロティッ!絶対、絶対に君を手に入れる!」


ぎゅう、と強く抱き締められて心拍数が上がる。腰と背中に回る殿下の腕が、一ミリも隙間を許さない程身体を密着させるから、余計に心臓が落ち着かないッ!


「っは、離してくださいッ!」


自分の顔が熱いのがわかる。だってこんな、今までこんな風に抱き締められたことなんてないんだもの!顔のすぐ横、耳元で殿下の笑い声が聞こえて、なおさら恥ずかしい。


「可愛い、ロティ。」


「ひゃッ!」


ちゅ、と落とされたリップ音と耳に触れた柔らかい感触に、肩が跳ねた。誰ですかこの甘々王子は?!ふり幅が大きすぎませんか?!


余りの恥ずかしさに一言文句を言おうと顔を上げると、そこには甘くはにかんで、青い瞳を輝かせている殿下がいて…その目には、私しか映っていなくて。キラキラ光る大好きだった青い瞳に散らばる緑が、いつもより多い気がして、ついぼんやりと見つめてしまう。


「絶対に俺のものにする。覚悟して。」


「んッ、」


近づいてきた殿下に、パクリとお菓子でも食べるように唇を重ねられて。大混乱な私の頭の中は、予想外の殿下の行動に振り回されて、その日どうやって屋敷まで帰ったか全く思い出せなかった。


以下ネタバレ↓































TS転生女→男で後天性女体化になるものを書こうとして、ジャンルに困って止まりました。わざわざそうする必要があったかな?って何度か止まっちゃったので、格納。でもそういうの好きなんですゆるして。

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― 新着の感想 ―
[一言] めちゃくちゃ好きです!!!!!(大声) TS転生も後天性女体化も全部大好きです!!お話面白すぎるので是非続きを…続きのお慈悲を…!!!!
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