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自殺絆助  作者: 寝藻
出会ってから4日間の出来事
14/18

ヘルメットの選び方

ヘルメットを買いに行くいざ店内へ!

大きさ、形、柄、種類、たくさんのヘルメットが存在しますが貴方はどのヘルメットが好き?


あなたのバイクライフのヘルメット選びの参考になればいいかなと思います。


「ヘルメット売り場は、たしか3階だったかな?」


 そう独り言を言いながら、フロアのこ案内と描かれた案内板を見る。


 日本海部品は外見は7〜8階建の建物で1階がピット作業場と足回りの部品、2階がマフラーやオイルや内燃機関周りが売られていて、お目当てのヘルメットは3階に展示されているようだ。

 1階のピット作業場がガラス越しに見える通路を進んでいくとエスカレーターがあり、それを上がって次の階へ上がって行く。


「おぉー見て見て!ラッパみたいなのが売ってるよ」


 リコが2階のマフラーの展示を見てはしゃぎ出す。頼むから恥ずかしいはしゃぎ方しないでくれ。


「七色!七色に輝くラッパ!」


「リコちゃんおっきい声ではしたないよ、ヘルメット買った後で触らせてもらおうね」


「リコちゃんヒナちゃん、そもそもピカピカのマフラーに触っちゃダメだよー」


 ヒナがリコを注意?した流れでそれとなく注意しておく。


「おっさんうっさい」


 ヒナの鋭いツッコミが飛ぶが、暴力が飛んでこないだけまだましだ。

 ……そんなふうに思えてしまった事に自己嫌悪に陥る。


「はーい3階に到着ぅ、わぁヘルメットいっぱい!」


 エスカレーターを上がった場所から斜め向かいの壁沿いにヘルメットがこれでもかというぐらい並べられている。リコは小走りにヘルメットの前々まで行き、ヒナと自分はその後に続いた。


「ふーん色々あるのね、リコに似合うのはどんなのかな?」


 ヒナが誰にでもなくそう言う。間違ってこの言葉に反応すると "おっさんになんか話しかけてませんけどキモー" とか言われかねないのであえて無視する。


「おじさんに話しかけてるんだけど、無視とか何様?」


 ほんっとにヒナとは掛け合わせが悪い…いや、そもそもどちらに転んでも正しい答えなのではなかったのでは?答えたら答えたでキモー、答えなかったら答えなかったで何様。おじさまですけど!って言い返してやりたくなるのをグッと堪える。


「あぁリコには、まぁアラウのヘルメットなんかいいんじゃないか」


 そう言ってアラウのヘルメットを飾っているブースへ移動する。


「アラウのヘルメット?聞いた事ないなぁ。なんでこれが私にいいと思ったの?」


 そもそもヘルメットメーカーなんて知らないだろ。と心でツッコミつつ、アラウのヘルメットとその近くにあったショウヘイのヘルメットを手に取る。


「これがヘルメット界2大メーカーのヘルメットなんだが、見て分かるようにアラウのヘルメットの方が少しシャープに設計されてるんだ。だから女の子とか細いヤツはアラウのメットが似合う…と思ってる」


 この意見は自論なので最後の方は少し自信がない感じになってしまった。そもそも似合うとか似合わないとかオシャレとかそうじゃないとか自分はかなり無頓着な方で、なんとなーくそんな気がするという程度の考え、尻切れトンボになってしまっても仕方がない。


「ふーん、で、おじさんもアラウのヘルメットなの?」


 リコは自分からアラウのヘルメットを取り上げて、シールドを上げたり下げたりしながら聞いてくる。


「いや、自分はショウヘイのヘルメットを使っている」


 そう言いながら、リコの方にずずいと片手に残ったショウヘイのヘルメットを差し出した。


「あんたはシャープなの似合わなそうだもんね」


 それもあるけど!

 ヒナの鋭い洞察に心痛めながらも、その言葉を無視しヘルメットの話を続ける。


「ショウヘイのヘルメットは見ての通りアラウのように洗練された曲線美はない!だけどこの荒々しいまでの無骨さ、一切の無駄を省いた機能美こそが男の中の漢!って感じでたまんな……」


 ハッと気がつき2人を確認すると…リコとヒナが白い目で見ている。

 コホンと一つ咳払いをして、まぁこのゴツゴツした感じが好きなんだ。とその場を誤魔化す。


「相変わらずキモおじね」


 ちょっと前までおじさんと言われたことすら少なからずショックを受けていた自分だが、今はキモおじと言われても少しの動揺もない。おじさんとしての自覚、キモイ奴としての自覚がこの2人と付き合うことで徐々に芽生えてしまっているのかもしれない。


「おじさんは最初からショウヘイのヘルメットだったの?」


 リコがまた何気ない質問を投げかけてくる。


「いや、最初…と言うか高校の頃はショウヘイのメットは高価で手が出なかったなぁ。でも憧れはあって、丁度尊敬してた一個上の先輩がショウヘイのヘルメットを使っていて、その時からアラウよりショウヘイとは思ってた」


 憧れの先輩とは自分にバイクの良さを最初に教えてくれた人だ。長い黒髪が似合う綺麗な人だった。少し感情に浸っていると軽く足元に衝撃を受ける。どうやらヒナがローキックしてきたようだ。


「何気持ち悪い顔してるのよ」


 コイツは暴力の権化か。それにそんなに気持ち悪い顔だったか?


「ふーん、その尊敬してた先輩って女の子?」


 リコはショウヘイのヘルメットが気になっているのか、女性でも似合う人がいたのかを気にしてるようだ……多分。


「女性だったよ、長い黒髪が綺麗な先輩でショウヘイのゴツイメットもよく似合ってた」


 リコがそう言う自分の顔をジーッと見つめてくる。


「なんかおじさんエッチな顔してる」


「してないよ!」


 思い出に少し浸ってるだけでそんなふうに言われてしまう。おそらく若者にはおじさんの顔自体がいやらしく見えてしまうのかもしれない。


「でどうするんだ?ヘルメット」


 改めてリコに確認すると、うーんと人差し指と親指の上に顎を乗せ斜めになって考える。


「じゃー私もショウヘイのヘルメットにする。おじさん私に似合いそうなの見繕って!」


 何故か少し拗ねたような声色でプイッと横を向きながらそう言った。


「ショウヘイのヘルメットか、じゃーその中でも比較的細めのこのジェットヘルとかはどうだ?顎の部分が無い分風が入ってきやすいが、転倒時に強い衝撃があった場合はシールド…この透明のバイザー部分が開かず顎や顔面を守る構造になっていて、なおかつ軽い。試着も出来るけど被ってみるか?」


 そう言いながら店員さんを呼び、同じタイプのXSサイズがあるかどうかを聞く。リコもヒナも頭が小さいからXSで行けるだろうと言う勝手な判断だ。

 店員さんに促され、目の前の棚にある同型のXSサイズを指さされてしまい、ちょっとバツが悪いが、試着していいかを聞き、どれでも自由におかぶりくださいと言う了承を得る。


「ほらコレ」


 ヘルメットをリコに手渡すと、んんんだと言う声を出しながらさっそくそれを装着する。


「どうだキツく無いか?それとも逆に緩かったりしないか?」


 ヘルメットのサイズというのはとても重要だ。ブカブカだと安全性に問題があるし、長時間かぶっているものだからキツすぎても苦しくなってしまう。


「んー、どうだろ。緩くは無いかな?ちょっとだけ締め付けられるような気がするけど苦しいとか狭いとかいう感じはしないかな丁度いい感じ」


 シールドを下げたまま喋るので少し声がくぐもった感じになるが、どうやらリコはXSに理想的な頭のサイズらしい。リコのツインテールもメットの下側で纏まっているので邪魔にはならないらしい。


「うん、ならサイズ感はピッタリかな。ちょっと今の季節は風が入ってきやすいから寒いかもな」


 そう言って次のメットを差し出す。


「次はこれ、フルフェイスと言われるメットでヘルメットといえばこれと言った標準的なモデルだな、ちょっとアラウのメットよりゴツゴツしてるが、このタイプになると風が全く入ってこず寒い冬でも快適だ」


 リコは持っていたヘルメットと取り替えフルフェイスを装着。


「おぉーこれは凄い守られてる感じするぅー!押し入れの中のような安心感もするし好きかも!」


 かろうじて聞き取れるが、フルフェイスだとシールドを下げたままだとほとんど聞こえない。

 きになって、外側からシールドを上げると小さく"ん!"といい、目を閉じた。


「重さはどうだ?」


 先ほどのジェットヘルタイプより多少重くなっているハズなので気になって確認する。


「気にならないかな、ちょっとヒナ撮って撮って!」


 リコはヒナの方を向きピースしてポーズを取る。


 ヒナは無言でカシャリとシャッターを切り、撮影した写真をリコに見せた。


「いいじゃん!バイク乗りって感じ!さっきのも撮ってたらよかったな」 


 写真を見てリコがそう言う。するとヒナが「さっきのも撮ってるよ」といい写真をスクロールさせて先ほどのジェットヘルメットの写真をリコに見せる「さすがヒナ」リコがそう言いスマホの画面を覗き込む。

 なんで断りもなく勝手に写真撮ってんだと思いつつリコの反応を待った。


「んーコレはなんだか悪役っぽいね」


 ジェットヘルが悪役っぽいと思ったことは今まで一度もなかったが、リコはジェットヘルをお気にめさない様子だ。


「最後にコレな、チンオープンタイプのヘルメットで…」


 ここまで言うと、ヒナの鉄拳が脇腹あたりに飛んでくる。自分はグッと声にならない声をあげ次の言葉が出ない。


「チンって何よチンって変態!」


 なるほど、自分が殴られた意味を理解する。


「違う!チンっていうのは顎の先って意味だ。普段からそんなことばっかり考えてんのかお前は」


 殴られたことに腹が立ちつい言わなくていい反論をしてしまい「そんなわけないでしょ」とまた叩かれそうになるが、なんとか自分の早とちりの非を認め思いとどまってくれたようだ。危ない。


「このヘルメットは優れものだぞ。一見フルフェイスに見えるが実はこの顎の部分から稼働してジェットヘルメットのようにも扱える。脱着がフルフェイスより簡単で、ジェットヘルメットより風が入ってくる心配のないタイプだ」


 最初からそう言いなさいよ。とヒナが言うが、言う前に殴りかかって来たんだろーがと言いたいのを次の暴力を恐れて黙った。


「ただフルフェイスより更に重たくて、ゴツいのがデメリットだ」


 そう言いながら、リコにそのヘルメットを顎を上げた状態で渡す。

 リコは顎部分を上げたり下げたりしながら。


「これって上げた状態でかぶるの?それとも下げた状態?」


 と質問して来たので上げた状態の方が被りやすい…ハズと返しておいた。存在は知っていたが実際被ったことがないので、自分もその部分は曖昧なのだ。

 リコは再び顎の部分を上げた状態でヘルメットをかぶり、顎先にあるスイッチを操作してそれを下げる。


「おぉーこれも凄いよ!騎士のメットじゃん!」


 騎士のメット。と言う言葉に少し驚く。先輩もショウヘイのヘルメットのゴツゴツした感じが "騎士の兜みたいでかっこいいだろ?" と言っていたのを思い出したからだ。


 顎を上げ下げするのをいたく気に入ったのか、先ほどからその部分をガチャガチャと操作して、上げた状態でさげた状態、動画とヒナに何パターンか撮影してもらっている。


「重さはどうだ?安全性はフルフェイスより劣ると言われているが、ジェットヘルメットよりは頑丈に作られているハズだしメガネをかけたままだったり、ヘルメットを装着した状態でも飲み物も飲めるってのは大きな利点かもな。ただ他の2つより多少高くつくな」


 この辺は雑誌や噂の受け売りである。値段に関しては、2人には潤沢な資金源があるのでそこまで気にしていなかったが、貧乏性の自分はどうしてもそこは外せなかった。

 ヒナに撮ってもらった映像を確認しながら、リコは何やらウンウンと頷く。


「コレにする!重さもそこまで気にならないし。でもそっか、ちょっと高くなるかぁ…でもかっこいいしな」


 リコはそう言って、ヘルメットを脱いで値段を確認しながら迷っている。

 意外と1番迷う理由にならなさそうな金額の部分で迷っているようだ。その間、確認の為にヒナにリコの写真を見せてもらうことにする。


「ヒナ、リコのヘルメット姿の写真、自分にも見せてくれないか?」


 ヒナは露骨に嫌そうな顔をするが拒否はせず大人しくスマホの画面を見せてくれた。


「そこから左にスライドしていって。間違ったとしても右にスライドしたら殴るからね」


 いちいちバイオレンスなヒナの言動は無視して映った画像をスライドしながら見ていくと、ゴツゴツしたヘルメットを女の子が被ってもまんざら悪く無い、むしろ可愛らしく見えなくも無い事を確認する。その作業が終わるや否や。


「ねぇ、おじさんはどっちが良かった?このフルフェイスか、チンオープンのやつ」


 このパターンは知っている。これは "ねぇ、どっちの服がいい" のヘルメット版だ。異性同士の買い物の定番イベントってと言っても過言では無い。

 このイベントの残酷なところは、相手がわざわざ聞いて来てくれたと言うことは、少なからずこちらに好意があり、こちらの好みも考慮した選考をしてくれるのかと思いきや、まったくそんな要素はないと言う部分だ。


 この結末は、良かれと思って選んだ物と逆のアイテムが選ばれ、センスの否定と脈が薄いと傷つく結末を迎えるのが定石である。

 

 そう思いながらも、素直に最後に被った顎が上げ下げできるタイプが1番良かったと伝えた。


 リコは自分の意見を聞き、再びヘルメットの顎の部分を上げ下げするが、よし!と言うかけ声と共にヘルメットの顎を下げ。「コレにする!」とチンオープンタイプのヘルメットを決断した。


 こんなパターンもあるのか…と1人感心をしながらリコからそのヘルメットを受け取る。


「少し高くなるけど、同じタイプで柄が入ったやつとか色違いもあるぞ、どうする?」


 そう言うと、リコは「ううん高くなるならこのままでいい」と言う。やはり高くなるかどうかを気にしているようだ。


「色違い程度なら、特別な色じゃ無い限り同じ値段なハズだけど、この黒色でいいのか?」


 最終確認とばかりにもう一度声をかける。

「おじさんは何色のメットなの?」と聞いて来たので「シルバーのフルフェイス、特売でその色だけ安かったから」と答えた。

 リコはヘルメット売り場の黒とシルバーのメットが並んでいるディスプレイを確認してから「じゃーリコは黒でいい」と言った。


「わかったコレを買おう」


 自分はそう言うと、ヒナの方に振り返り。「ヒナはヘルメットいらないのか?」と問いかける。


「なに、私とバイク乗りたいの?はぁ可愛いって罪よね」


 なんだかいちいち腹の立つリアクションをする。乗りたいかと言われれば、そとそも2人乗りがそんなに好きでは無いのでNOなのだが。リコの分を買っているのに、ヒナの分を買わないと言うのは不公平な気がしての確認である。


「リコ、ちょっとこのヘルメット私にも被らせてもらっていい?」


 ヒナがリコにそう言うと、リコは「ん?いいよ」と答え、その答えを聞きヒナにリコのヘルメットを渡す。


 ヒナはリコのヘルメットをかぶろうとするが、顎の部分を上げていないのでなかなかかぶれずにいる。


 自分は慌てて顎の部分を上げてやり、ヘルメットをかぶりやすくすると、珍しくヒナから「ありがと」と小さく礼を言われる。てっきり "わかってたわよ" とか、"さわらないで" とか言われると思っていたので少しびっくりする。


 ヒナがヘルメットをかぶり右を向いたり左を向いたりしてるところを、リコが "いいねいいねぇー、可愛いよ君ぃ" と変態カメラマンの雰囲気で撮影している。


「どうなんだ?多少重いだろうけど、ブカブカだったりキツかったりしないか?」


「大丈夫そう」


 そう言って顎の部分を上げヘルメットを脱ぐ。


「乗りたくなったらリコの借りるから私はいい。リコもその時は貸してね」


 ヒナがそう言うと、リコは「うん、いいよ」と快諾した。

 他人のメットをかぶることにあまり抵抗がないのは、夏の時期にヘルメットをかぶったことがないからだろうか。まぁ2人は仲がいいしそんな事もあんまり気にならないのかもしれない。


 そう思うことにして、レジでヘルメットを購入する。


「このメットはどうする?自分で持って帰るのか?」


 購入後、リコに訪ねると、リコは申し訳なさそうに「おじさんの家に置いといてもらってもいい?」と言う。バイクを買ったわけでもないのに、メットを家に置いておくと言うことは、親に何かと心配をかける事になるだろう。自分はその提案を快諾した。


 日本海部品の出口にさしかかり、自分は必要なことを思い出す。


「リコ、ヒナ、ここから自分で帰れるな?」


 先を言っていた2人が振り返り、まずリコから。続いてヒナが思い思いの発言をする。


「おじさんどうしたの?なんか用事でもあるの?まぁ私達も子供じゃないし、自分で帰れますけど」


「あんたのエスコートなんてなくても帰れるに決まってんでしょ」


 まぁそもそもこの時代道に迷うと言うこと自体がかなりあり得ない話しで、スマホがあれば地図からナビまでなんでも簡単にできてしまうのだ。


「じゃーここで解散しよう、明日の待ち合わせ場所は駅前のローソンに10時でいいんだよな?」


 そうリコに尋ねると、リコはコクリとうなずき。ヒナは少しムスッとした表情になる。


「いいかバイクに乗る時はなるべく汚れてもいい格好をしてこいよ。スカートはダメで、デニムのパンツにこの時期なら風をなるべく通さない素材のアウター。靴もヒールは厳禁、スニーカーとかの動きやすいものな。香水もメットの中がその匂いになるからなるべくしない方がいいかな」


 それを聞くとリコは「えぇーオシャレできないじゃん」と肩を落とし。いいじゃんおじさんの前で別にオシャレなんてしなくても、とリコをなぐさめるヒナ。


「で、目的地は湘南の方でしょ?どのぐらいで着くのよ?」


 少しシミュレーションしてはいた、目的地は江ノ島付近、住所とかわかんないから近くまで行ったら誘導すると言われている。首都高に乗ってから新湘南バイパス方面に行き県道へ降りて海岸沿いの道を東に走れば江ノ島だ。


「多分1時間半ぐらいで着くんじゃないかと思ってる。着いたら飯時だな。どうしてだ」


「別にただバイクだとどれぐらいかかるのか気になっただけ。電車でいくのはほとんど変わらないんだ。バイクとかはもっと早いのかと思ってた」


 それはスピードの出し方にもよるだろうが、中距離から長距離車に関してバイクより電車の方が遅いと言うことは都会ではほとんどない。東京→江ノ島が同じぐらいの時間で着く事は少しレアなケースと言ってもいいだろう、


「ごはんは目的地に着いたあと食べよ。なんやかんやで昼過ぎになると思うから、お客さんも多少引いた状態のはずだし」


 正確な目的地はおろか、このツーリングの目的も知らされていない。何をするのか、何をさせられるのか。ヒナは目的地を知っていそうだが教えてくれるわけもなく。明日は多少不安なツーリングになりそうだ。


「それとカバンやバック。必ず大事なものが入る部分はジッパーで閉まるモノを持ってこいよ。出来ればリュックがいいけど、後なるべく荷物は小さめでな」


「わかってますわかってます、メールでも何回も確認してるじゃん、おじさん心配性だな」


 リコが両耳に丸くジェスチャーした指をくっつける。後であれは何かと聞いてみたら、どうやら "耳にタコが出来るよ" と言うリアクションらしい。


「それじゃまた明日な、気をつけて帰れよ」


「引率の先生見たいなってんじゃん。うんまた明日ねヒナ行こ」


 リコがヒナの手を引いてズンズンと自分が思っている方向と逆に進んでいく。

 ヒナは手を引かれながら振り返り。


「明日は絶対安全運転してよ。事故とかしたら許さないからね!」


 と吐き捨てて行く。全くあいつは…


「帰る方向逆だぞ」


 と2人の背中に声をかけて、リコがアッと周りを見渡し、ヒナがこっち見たいと携帯を見ながら指を刺す。


「じぁーねぇー」


 リコが手を振る、自分も釣られて手を振り返そうとするが、それは思いとどまった。それは2人への後ろめたさからかもしれない。

 今はあんなに楽しそうにしている2人だが、アイツらは自殺を考えるほど追い詰められていたのだ。

 自分には見せないが、今もどこかで傷ついているかもしれない。

 それは自殺と言う天国への道を阻止した自分の責任に他ならない。なのに2人のそれを取り除く糸口すらまだ見出せていないのだ。


 せめて楽しい時間が続けば、その分2人は辛い現実を見ずに済むのだろうか?

 それは自分の渡すお金で、多少は叶う事なのだろうか。自分は2人に何をしてやれるのだろうか。そしてそれは2人のためではない。より良い自殺をする自分のためなのだ。


 どこまでも利己主義な自分に辟易とする。

やっとヘルメット選びパートが終わりました。つぎのツーリングデートパートはやく行きたいですね。

一体リコはおじさんとのお出かけに、どんなデートスポットを選ぶのか!江ノ島でしらす丼は食べれるのか!?


乞うご期待です!!

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