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その先に  作者: 半月
4/20

再会

私たち姉弟(きょうだい)がお互いに・・・・・・羨ましがっていたとはな。

「姫さま・・・・・・。」

着替えおわったファーラはカリアに再び言った。

「姫さまも敬語もやめろ!」

「いけません姫さま!」

「二人しかいないときなら問題なかろう!」

「ですが!」

カリアが何かかえそうと口を開くと扉がたたかれた。

「・・・・・・誰だ。」

「教育がかりの者です。今日からファーラ姫に配属されました。」

カリアがそっと扉を開ける。

そこにはそこそこに年を取ったおばさんちっくな女性がいた。

「見たことない顔だな・・・・・・国籍はユリアか?今までどこにいた?」

「国籍はカルザンノにございます。今まではアナガンダス、タイターナ、マイナルなどの国々の王宮専属教育がかりをしておりました。」

「マイナルはユリアとの交友関係にある国ではないか。」

「はい、ファーラ姫さま、その通りにございます。」

「なるほどな。タイターナへ行って国が変わってからマイナルへと移転し、我が国と交友関係にあったマイナルとの連絡から私の礼儀作法がかりになれと・・・・・・父様も考えたな。タイターナへ行った者なら、タイターナの礼儀も知ることができると考えたか。」

ぴくりと教育がかりの女性の肩眉が上がった。

「そうですか。姫さまは頭がよろしいようで。それはよかった。鍛えがいがあるというものですね。」

ゲッという顔をファーラはした。

「一日中付きっきりで教えるようにと王様のお命じでしたのでそちらの女中の方にも頑張っていただきますよ。」

「女中じゃないよ。私の親友のカリアだ。」

また女性の肩眉が上がった。

「なるほど、次期王第一希望者だけある。その性格だから民に親しまれたわけですね?ですが、今のタイターナはそんなに甘くはありませんよ。さあレッスンスタートです!」

それからだいぶしごかれた。

タイターナの洋服、ドレスの着方やマナー、言葉遣いなど、怒られ続けた。

「そうではなく、こう、静かに歩くのです!」

「は、はい。ダリアさん。」

ファーラは今まで着たこともない服を着、履いたこともない靴を履いて、使ったこともない言葉を使った。

「もう少しなめらかに発音してください!」

ファーラの髪の毛は今までにないくらい何度もくしを通し、今までクセっぽく所々はねていた髪の毛は全く跳ねなくなり、髪の毛を梳いた分、髪の毛が肩に掛かるくらいまで長くなった。

「これからは髪の毛をのばしていただきますからね!これじゃあ髪の毛を巻けやしない!」

教育がかりになったダリアはプリプリしながら怒っていた。

カリアは目を輝かせていた。

「カリア、何が楽しいんだお前は・・・・・・。」

「だって姫さま、あまりにもお美しいんですもの!まるでお人形みたい!」

「嬉しくないな・・・・・・私は外で駆け回っていたいよ。」

ドレスを着、化粧をし、着飾ったファーラは意外にも美しく変貌を遂げた。

「ファーラ姫!」

ダリアが怒った。

「はいはい。でもこれでぶっ続けだ。少しは休憩させてくれよ。」

「なりません!タイターナでは休憩などないのですよ!今回、指導期間はかなり短い!付けやきばでもいいからタイターナとユリアの礼儀作法を教え込めとの王のお命じなのです!姫さまは女性なのですからタイターナへ行ったらくれぐれもお淑やかに!言葉遣い正しくしていただかなければなりません!」

「こんな動きづらい格好で自分を偽って生きるなどごめんだな。」

そういって窓まで近づくといきなり窓枠をまたいで外に飛び出した。

「姫さま!」

カリアとダリアの声はほぼ発狂だった。

地面に着地したとき、ファーラは舌打ちした。

「チッ!この靴で飛び降りたのが悪かったか。」

ファーラの足首は少し傷んでいた。

だがすぐ立ち上がり、上を見上げた。

「少し息抜きしてくるだけだよ!」

そういうと走りだした。

「走りづらいな!」

よいしょよいしょとドレスを引きずって海側へ出た。

崖の上に立ち、海を見渡していた。

「誰だおまえ。」

「その声は・・・・・・ナハス!」

そういってファーラは振り向いた。

「その声と喋り方は・・・・・・んなあほな・・・・・・ファーラか?」

ファーラはドレスを引きずりながら青年の元へ駆け寄った。

「ナハス!久しぶりだな!そうだ!私だ!ファーラだ!」

「おまえ、なんちゅう格好だよ。」

「・・・・・・ああこれか?少し事情があってな。動きづらいんだ。これ。」

「へえ、で逃げ出してきたわけだ?」

「ああ!そうだ!」

ナハスと呼ばれた青年はファーラを見渡した。

「こうしてるとおまえはやっぱりお姫様なんだな。振り返ったとき声さえなけりゃ俺にも運が回ってきたのかと思ったのに中身はファーラだもんなあ。」

大袈裟に肩を沈める。

「な!ばかやろう!悪かったな!相手が私で!」

しばらく黙り込んでから二人は顔を見合わせ笑った。

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