空間と時間のゆがみ
旅芸人は王達を楽しませ、占い師は王の機嫌をとっていた。
占い師は男で髪が長く、負か緑色のストレートヘアーだった。
ひとしきり王達を満足させたあと、旅芸人達は各部屋を用意され、休むことになった。
ファーラは占い師の部屋を尋ねることにした。
コンコン。
「はい。」
「お聞きしたいことがあります。入ってもよろしいかしら?」
「どうぞ。」
ファーラは占い師の部屋へと入った。
「こんばんは。何用でしょう?」
「あなたはただの人間ではありませんね。」
「なぜそう思うのです?」
「この城に入れる異性は少ないのです。それがたとえ占い師でも・・・・・・。」
「では旅芸人達はどうなるのでしょう?」
「彼らは団体です。単体で入ってこれたのは何故ですか?」
「団体のほうが単体より厄介ではありませんかね?」
「まさか。団体なら割り当てた一つの部屋を見張ればいいにすぎません。ですが、一人用の部屋には見張りがつかない、もしくはつきにくいんです。王が娘たちの部屋を訪れたとき、誰かに除かれていては嫌だからでしょうね。っと、こんな無駄話をしにきたのではありません。この城に入るとき何か感じませんでしたか?」
「・・・・・・あなたはただのお嬢さんではないんですね。城にいながら異変に気付きつつある。そうですか。私は魔術師です。占いもできますが・・・・・・それ以外も。あなたは異変に気付く才能があるのでしょうかね。」
「それで?何を感じました?」
「強大な力です。城の外には決壊が張られていました。時空をねじまげ、消して城に近付けぬ用にする謎界へと続く決壊が・・・・・・。」
「謎界?」
「城に近付いているはずなのにその場所に戻るように仕掛けられている歪んだ道、簡単に言うと迷路ですよ。」
「それ以外は?」
「2つ感じます。決壊以外にも強い力を。1つは王自身。強大な力ゆえ、まがまがしかったです。元が王の力ではないぶん、このままだと城は危険です。」
「あなた、先ほど王の前で何事もうまくいくと言っていましたよね?」
「社交辞令ですよ。なにしろあの王様、短気じゃないですか。」
「あなたには未来が見えているんですか?」
「ええ、少しだけ。魔術と言っても僕のはあまり役に立たない先見の能力ですからね。」
「先見?」
「未来余地能力です。」
「だから占い師を・・・・・・。」
「ええ。」
「未来に何が見えますか?」
「1つは城が崩れる未来、すべての軸がおかしくなる未来ですね。もう1つも城が崩れる未来ですが、こちらは軸が守られ、タイナーナ以外を巻き込むことはない未来です。その未来は・・・・・・なんと・・・・・・驚きですね。あなたの手にかかっています。どうやらあなたは世界を救う戦士のようだ。そして戦士は異世界を渡り、異次元を旅する戦士たちを呼ぶ。その懸け橋になるのは僕と・・・・・・あなたの近くにいる人・・・・・・?どうやら戦士は近い未来に立ち上がるようですね。」
「私・・・・・・異次元の人を呼び寄せるなんてすごい芸当は持っていませんよ?」
「だから僕が教えなければならない・・・・・・ってことでしょうかね?」
占い師はニコリと笑い、夢渡というものを教えてくれた。
先見の能力を持ってして未来に起こることをファーラに教えつつ、結果はなかなか教えてくれない。
結果は未来を変える、干渉しすぎるとこれもまた世界の軸を変えてしまうのだと・・・・・・すべてのものには軸があり、その軸には時間が宿っている、未来を変えることは現在に出会ってなければならなかった出会いを潰す事。偶然に出会ったように見えても人間には人間の関係性がある。と難しく教えてくれた。
「まあ、簡単に言っちゃうとですね、僕もあなたも出会わなかったかも知れないってことですね。」
「干渉しすぎると・・・・・・軸が曲がると言っていましたね。つまりそれは、具体的にどのような事が起こるのですか?」
「そうですね、あなたが今やろうとしていることは確立が二分の一。成功するか、しないか。成功したとするとあなたが呼び寄せた仲間は異次元を旅する人たちですから、世界が無くなるか、国が滅びるかするでしょうね。でもそうでもしないかぎり、国はこの世界では無いものの力によりどんどん軸がずれてしまうでしょう。もしかしたら同じ国でも軸がずれて別の世界を生み出すこともあるかもしれませんね。でもそれはそれで新しい意味を持った世界ですから、そこまで怖がる必要はありませんよ。」
「潰れ、消えるか崩れ、生まれるか・・・・・・?」
「そう考えてもらってもかまいませんよ?ただ、消えるというのはこの世界が消えるということですからねぇ。僕達の存在全てが消えてしまうでしょうね。」
「タイナーナの力が・・・・・・世界を消す・・・・・・?そんなに大規模な力を持っているのですか?世界規模になるほどの力を・・・・・・?」
「世界はこう見えて小さいですからね。」
「国ですら大きい存在なのに・・・・・・世界が・・・・・・小さいんですか?」
「きっとこの宇宙にはまだまだ沢山の生命体がいますよ。宇宙には僕達だけの生命しかないとは思えませんしね。」
また占い師はニコリと笑い、夢渡の説明をし始めた。
「素人が夢渡を成功させるのは難しいでしょう。よって二人は必要になるでしょうね。夢を渡るものと、夢の道を作る者が必要になりますから。魔術をできる相手なら1人で問題はないのですが・・・・・・相手を特定しなければなりませんからね。おそらく異世界の人間となると夢渡に行けるのは自分と根源はにた人間になるでしょうね。」
「はあ・・・・・・?そうですか。」
「それでですね、1人はひたすらに祈り続け、あなたは夢渡になります。」
そうしてファーラはカリアに伝え、それはすぐに実行された。
何日か経っても相手がなかなか表れない。
そしてついに、相手と通じるようになった。
相手は自分とそっくりそのまま同じ感じのカルナと言う少女だと知った。
幾日もそれを続け、異変を伝えようとしたある日、ファーラはおかしな行動をしていると王に感付かれ、メイドが前に教えてくれた絶対足を踏み入れてはならない牢獄に占い師と四人で閉じ込められてしまった。
ファーラはカルナに早くと急かした。
夢渡が通じたその国にくるとだけは占い師から聞いていたからだ。
数日が経過し、カリアもファーラも一番きれいな年頃の身体になっていた。
大人びているのにまだあどけない肌・・・・・・と言うやつだろうか。ナハスは今まで以上に体付きがたくましくなり、筋肉ムキムキではないがまさしく男という感じになっていた。
それぞれがそれぞれの大人の体付きになっていた。
ホルモンバランスのとれる年齢は見るものを魅了させる。
占い師は若かった外見からは少し老い、だんだんとしわがよってきていた。
そこへ見知らぬ四人が降り立った。
この小説は『記憶』というファンタジー小説とつながっています。
これから少し、わけのわからなくなるところがさらに増えるかもしれませんが、どうしても納得のいかない場合は『記憶』83あたりからつながっていますのでご覧になってみてください。