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その先に  作者: 半月
16/20

ちんちくりん

「カリア・・・・・・。」

「あ、お帰りなさい。」

「カリアは辛いか?好いている相手が別の相手を好いていて、しかもその相手がおまえの近くにいるものだとしたら。」

「つらいです。でも、だからといってどうこうなる問題じゃありません。私は彼が好きで、彼は姫さまが好きです。姫さまは・・・・・・どなたがお好きなのか存じ上げませんが。」

「私か?私はカリアやナハス・・・・・・基本的にはみんなだ。好きなものは好きだし、その思いは偽りがない。だけど同時に嫌いなものは嫌いなんだ。縛り付けられることに私は慣れてないからな。」

「本当に・・・・・・姫さまにはかなわないなあ。私も姫さまのお側にいて楽しいのです。つらいことも、苦しいこともあるけどそれ以上に楽しいのですよ。だから今までそばに居続けることができた。姫さまだったからです。ですから変に気をつかわないでください。こっちまでおかしくなっちゃいますから。」

「ああ、そうだな。」

私も本当は早く知りたいんだ。

つらいことも、苦しいこともすべてが宝となる気持ちを・・・・・・そんなマニアルみたいなことばは全て絵本から小さい頃に学んだものに過ぎないから、未知なる物に好奇心と不安が少しずつあるけど。

ナハスは・・・・・・私が王子と会っているときは、辛いのかな。

カリアはつらいと言っていたけれど・・・・・・恋・・・・・・かあ。

ブァレッチア王子もしてるんだろうか?いや・・・・・・まさかな。

いいや、今日はこのまま寝るとしよう。

朝、ファーラは起きると踊り子の服を探した。ズボンのものが見当たらない。後は下着のような物やスカートわけのわからないぼろぼろな服など動きにくそうな物だったり、露出が激しすぎたりする。

ファーラはため息を吐いてスカートと下着がセットになっているような踊り子の服を着、その上から上着を羽織った。

だが、上着はボタンの数が少なく、胸元か開いていて胸をあまり隠せてはいなかった。

「まあ、しかたないな。ユリアの武装服を着るわけにはいかないだろう。」

ファーラはそうつぶやいてカリアの元へ向かった。

「カリアー?カリア、いるかぁ?」

そこへナハスが現れてファーラの姿を見るなり驚き、しばらくファーラを見つめてから眉をしかめた。

「お前、その服、なんだよ?」

「なかったんだ。ましな服が。変か?」

「変っていうか。この辺りが厳しい。」

とナハスは言いながら自分の胸を指差した。

ファーラは自分の胸元を見てからこの服が胸を強調させる服だと気付き、手や腕で胸元を隠した。

「おまえ、見てたんだな!?私の胸を!」

「な!ば、バカ!そりゃ俺じゃなくなって見るだろ!」

「何だよ!変体!」

「俺は注意しただけだろ!」

「姫さま、ナハスさん、人の部屋の前で何事でしょう?」

カリアがジーッとファーラを見ていた。

「カ、カリア!あのな!ナハスが変体なんだ!」

「変体じゃない!」

「どちらでもいいです。今日はまた・・・・・・ずいぶんとセクシーな格好ですね姫さま。」

まだ眠そうに欠伸を噛み殺しながらカリアはファーラの服装を見た。

「やっぱり変か?踊り子の服以外着るものがだんだん減ってきてな。かわりにぼろぼろな露出が高すぎる服やすっけすでの来てるのに体がすけるような服しかなかったんだ。あの部屋を掃除しているメイドが置いていくんだろうな。」

「そうですか、私の部屋はどんどん女中っぽい服が増えています。女中でよければお貸ししますよ?」

そういって持ってきた服はだいぶ薄汚れて汚かった。

「ひどい服をカリアに回すものだな。」

「ふーん。そんなことがあるのか。俺の部屋は特に変わったことはねぇなあ。」

「よし、カリアおまえの部屋の服を借りていいか?」

「ええ、こんなのでよければ。これが一番ましな服です。」

そういって今持っている服を微かに揺らした。

「それが一番とは・・・・・・まあいい、なら一番ぼろいのをくれ。引き裂いてもいいようなやつだ。」

「え・・・・・・あ、はい。」

持ってきたのはデザインこそいいもののボロボロのドレスのようなものだった。

「質素だな。多妻達を目立たせるため・・・・・・か。」

すぐさまファーラは部屋にもどると早速服を切り裂き、ウエストが緩くなっているのを引き裂いた布で縛った。

スカートの部分をなんとかしてズボンにしたかったが出来ずに袖は短くタンクトップのようになった。

サンダルをはき、フーっと息を吐き出した。

「これで少しは動きやすくなったかな。」

それはまるで質素よりもちんちくりんな格好だった。

「おう!二人とも!」

部屋を出てすぐに二人を発見し、声をかけると二人は目を見開いた。

「姫さま・・・・・・それは・・・・・・一体・・・・・・。」

「動きやすくなったよ。ありがとな。」

「いや、動きやすいとかの問題か?それじゃあさっきのほうがよっぽどましだぞ?」

「いいんだよ!とにかく私は王の急激な権力について探るから!」

そう、この城はおかしい。

反乱軍が出れば攻め込めないような城でもない。

兵の数は少なく、私の護兵ということでついてきたナハスのような人たちでさえいなくて、この宮殿では珍しい。

滅ぼそうとすれば滅ぶはずの城。

ましてや他国さえ近付けずにそれでも戦争にならない理由がわからない。

戦争にはなりかけたのかもしれない。でも戦わずにどうやって現状維持を・・・・・・?

それにこの城の中心部分辺りだけ時間の流れが速いというのも気になる。

なぜ同じ時間、同じ空間にいてそのようなことが起こるのか・・・・・・。

権力、畑。

怪しいものが多すぎる。


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