喧嘩
そのすぐ入れ違いでカリアとナハスがファーラの部屋を訪れた。
ファーラは思わずナハスに抱きついた。
「ファーラ!?」
ファーラは震えていた。
「こわ・・・・・・かった。私は間違ったことは言わなかったよな?言わなかった・・・そういってくれ。誰でもいいから・・・・・・。」
カリアはファーラを見て目を見開いた。
「姫様、その洋服は!?それに、首にあるそのあざは何です!?」
カタカタと震えながらファーラは頭を横に振った。
「まさか・・・・・・あのやろー・・・・・・!」
動き出したナハスをファーラは押さえ付けた。
「いいんだ・・・・・・いいんだ!」
「何がいいんだよ!お前がこんなんなって何が!」
ファーラは震えてはいながらもナハスを睨み付けた。
「私を誰だと思っている!私はユリアの王族の血を引く姫であるぞ!」
「何が・・・・・・姫だよ。そんなん・・・・・・前から知ってるよ。お前が・・・・・・お前が姫扱いするなって言ったんだろ!」
ファーラはナハスの胸に顔を埋めた。
「・・・・・・お願いだ・・・・・・今は・・・・・・動かないでくれ・・・・・・私に考えがあるんだ・・・・・・でも・・・・・・もうしばらく・・・・・・このままで・・・・・・いさせてくれ。」
カリアがナハスの肩に手を乗せて少し微笑んでから部屋をあとにした。
「・・・・・・やめてくれよ・・・・・・もう。勘違いするようなことはやめてくれ!」
ファーラがえ?といった顔でナハスを見上げた。
その首筋に少し赤っぽく残るキスマーク。
「もう辛いんだ・・・・・・お前の・・・・・・親友で居続けること・・・・・・。」
そういってナハスはファーラの肩に頭を落とした。
ナハスからファーラの手が離れる。
「それは・・・・・・絶交する・・・・・・と・・・・・・いうことか?」
「このままでいけばな。」
「わ・・・・・・かった。もう、いい。おまえの好きにすればいい。おまえの人生だ・・・・・・く、国に帰ってもいいのだぞ。」
その目に涙をためて、泣かぬように必死に眉をしかめるファーラ。
「ファーラ・・・・・・俺ってその程度の存在か?」
ナハスは手を伸ばす。
が、ファーラは身を後ろへ引いた。
「く、くるな!私に・・・・・・触るな!」
そういって別の部屋に閉じこもったファーラ。
「あ、おい!」
「もう・・・・・・ナハスなんか嫌いだ!嫌いだからどこへでも行けばいい!ブァレッチア王子みたいに手あり次第女でも探す旅なりなんなり好きにすればいい!」
扉ごしの会話。
「ああ、そうかよ。よくわかったよ!」
言っていることは対立していても二人が心で思うことは一緒だった。
“嘘だ・・・・・・こいつ(あいつ)に嫌われたら俺(私)はこれからどうやって過ごしていけばわからない。”
“どうして身分なんかあるんだろう・・・・・・。”