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上京前に清算すること
黒ずくめの女の子を縛って一刻ほど海岸線を歩きに歩いて、村へと戻る。都会から来たらしき女の子を縛り上げて連れまわすのはさながら世紀末女王の気分であった。
ただ、村に近づくにつれて、そんな気分は薄れていった。
時刻はそろそろ夕方過ぎになるかという頃合いで、それにしては村の方角が明るすぎたのだ。
「ほら見ろ、アタシが正しかっただろう!!」
黒ずくめの女の子のその言葉は妙に耳に残ったけれども、それは無視して縛っていたロープをナイフで裂いて、そのままナイフを女の子の手に渡す。
「進むにせよ逃げるにせよ、好きにしていいよ」
それだけ伝えて、私はエイド少年と二人で、村へ向かって駆けだした。




