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おまけもつけてもらったけどそれでも上京したい
アーシアとエイド少年の二人を先に階段を昇らせて、足元と言わず天井と言わずあっちこっちが僅かに揺れる中で、私は一人で地下室の真ん中に立っていた。
『お主はいかないのか?』
すっ呆けるの?
『まあ見たならば分かってしまうか……』
御託は良いから、早く教えてよ。あなたが用意していた万が一の保険を。
『橙色の碑石があるじゃろう。それじゃ』
黙ってうなずいて、その橙色の碑石へと触れる。
今度は何にもなかった。
光も、輝きも、感情も、何もない。
ただ、ほんのりとした冷たい石の感覚が、手のひらに伝わっただけだった。
あまりの感触の無さに自分の手のひらを見てグーパーと閉じて開いて具合を確かめて見てしまう。
それでも特に何かが変わった様子は全くない。
「大丈夫なのかな……?」
思わず声に出た。
『碑石の力自体はきちんと機能しておるから、実感がなくとも気にする必要はなかろ』
そういうモノなの……?
『そういうモノじゃな』
そういうモノらしい。
いざ行かんっ、元都会跡地の戦場へっ!!




