第3話 冒険者になる:後編
お食事中の方はお気をつけください。
俺も男に続いてギルドの外に出る。
受付嬢置いてきちゃったけど大丈夫だろう。
「男は…」
あたりを見渡して、探す。
あ、いたいた。
「どけぇ!お前らあ゛ぁ〜」
ギルドの前に広がる市場を両手剣をブンブン振り回して走っている。
流石に貴族でもあれは揉み消せないだろうに…
俺は走って追いかける。
幸いにも住民は全員傍に避けているので走りやすい。
どんどん男に近づいていく。
と、
「ーーーーーーーっ!」
道端にその少女はいた。
まだ7歳とかだろうか?
その少女は右足がなくなっていた。
近くには少女の右足。
このご時世、右足がないというだけで使い物にならない、いても無駄、辿り着く先は奴隷だ。
しかも、女だ。
鉱山奴隷にはならないだろう。
前の男を追いかけるか迷ったが、あの男が暴走したのも責任の一端は俺にある。
どっちにしろすぐ捕まるだろう。
俺は少女に近寄った。
「ーっ!ーーーーーー。」
声にならない悲鳴をあげている少女の足を見ると綺麗に骨もスパッと切れていた。
腕だけは確かで助かった。
近くには母親らしき女性がいる。
俺がズカズカ入ってきたのを見て庇おうとしたが俺がその手を払い除けた。
「俺が治す。あんたは彼女を見ていてくれ。」
まず右足を持ってきて
「クリーン」
洗浄魔法で砂などを取り除く。
それにしてもまずい思ったより出血が多い。
早く手を動かす。
体の方も洗浄魔法をかけ、少女の右足と傷口を合わせる。
(慎重に、慎重に)
ここで少しでもずらしてしまうと神経がおかしくなってしまう。
かといって神殿は街の反対側。
ここでやるしかない。
よしっ、これでよし。
「ミディアムヒール」
完璧だ。
ただ出血が多い身体強化もかけておく。
「ボディストレント」
俺は母親に
「今日は大豆とか、血が作られる食べ物を食べること。」
そう言って10レイト銀貨を渡す。
「あっありがとうございます。」
涙を流して喜んでくれた。達者でな。
「おいっ、俺は貴族だぞ!」
「はい、はい、牢屋で頭を冷そうね〜。」
男がきた。
どうやら騎士に捕まっでしまったようだ。
ザマァみろ。
いつのまにかできていた野次馬をくぐり抜けてギルドに向かう。
このまま帰ってもよかったのだが、招待状出してないしな。
ギルドに戻るとストさんだっけ?が、忙しなく動いていた。
「大丈夫か?」
「っ!先ほどはありがとうございました。」
スワさんの首には奴隷の首輪がついていた。
それでも脅されてそうだなー。
「というわけで、冒険者登録したいんだが。」
「はいっ!畏まりました。」
「あと、これをあなたに」
「私にですか?」
中を読むと、ストさんが慌てて裏へ消えていった。
音が全くしてないんだが。
何者だ?
少し経っただろうか?
ストさんが慌てて帰ってきた。
「ギルド長が推薦状と、先程の騒動について聞きたいと…」
またハプニングのようだ。
早く家に帰りたい…。
楽しんでいただけたら嬉しいです。