第四話「見た目で人を判断するな。」
今回は、新キャラが登場します!
是非、ご期待ください!
果報は寝て待てとは言うが、出会いは寝て待っていても、なにも起こらない。
と言うことで、仕事も終わり、何もすることのない俺は、出会い系アプリをインストールし、出会いを探す事にした。
出会い系アプリと言っても、健全なもので、ヤリモクとか、そう言う如何わしいアプリではない。
なので、俺が性的な欲求が溜まっているから使用しているとは思わないでほしい。俺には、魔法使いにはならないという、確固たる決意があるのだから。30までには、必ず童貞を卒業してやる!
◇
「おっ、メッセ来た!サクラじゃないといいけど……。」
インストールし、プロフィール編集をしたのは良いものの、女の子にメッセージを送る勇気が無く、放置していたが、一時間くらい経った頃、ソシャゲをしていると、スマホ上部に通知のバナーが表示される。
そのバナーをタップし、アプリを起動すると、直ぐにメッセージ欄に入った。
『はじめまして!しどーです^_^
ご職業がイラストレーターという事で、職種が似てるなーと思い、連絡しました!急でごめんなさいですが、今日遊べますか?住んでいる所も割と近いようなので、指定された所に行きますが、大丈夫ですか?』
うぉぉぉぉ!すげー丁寧な文章!でも、出会い系アプリで即日会いする女の子はビッチだって聞くし……
まぁ、でもとりあえずあって見ないと始まるものも始まらないし、そこは追い追い……
ってか、職種にてるって書いてあるな。アニメーターとか、そんな感じか?
そうだ!返信返信っと。
『はじめまして!今日、遊べます!○○駅の銅像前とかどうですか?俺はずっと暇なんで、時間はいつでも良いですよ。しどーさんの都合のつく時間で大丈夫です!』
メッセージを打ち終わると、深く深呼吸をする。
ふぅ、やっぱ初対面の顔も知らない人とのメールはやっぱ緊張するなぁ……。
と、そんな事を考えていると、またまた返信が来た。
『返信ありがとうございますっ!ダメ元で送ったのですが、返信が来て凄く嬉しいです(*゜▽゜*)
銅像前で大丈夫です!1時に待ち合わせでOKですかね?今、すごーっく、緊張してますけど、楽しみです!白いワンピースを着て行きます!』
うわぁ…、やっぱ良い子だ!これは期待が高まるな。
『一時了解です!青いシャツにジーンズで行くので、俺が見つけられない時は見つけて欲しいです(汗)俺も滅茶苦茶緊張してますが、凄く楽しみにしてます!それでは、一時に駅で。』
俺は、携帯をベッドの中に置くと、部屋を出て、鼻歌を歌いながら、階段を降り、風呂へと向かう。
「よぉし、皮が剥けるまで洗うぞ!」
そんな意気込みで、身体をゴシゴシと洗う。
そして、普段は可憐しか使わない高級なシャンプー(と、言っても5000程度。因みにいつもは、800円の詰め替えセット。)で、洗髪する。
極め付けに、可憐の洗顔クリームを使う。
これを使うと、肌がスッベスベのツッルツルになるんだよな。でも、可憐にバレたら殺される危険性があるから、可憐がいない時にたまぁに使うぐらいしか出来ないが。
「ふぅ、着替えて出発すっかな。30分前行動!これ、基本!なんちゃって。」
風呂を出ると、持ってきた下着に着替え、携帯を取りに一度部屋に戻り、また階段を降りてくると、そのまま出かけた。
◇
「よーし、ぴったり30分前。やっぱ、余裕を持つって大切だな。」
しどーさんもまだ来てないようだ。
銅像前に居るのは、俺と白装束のゴスロリだけだ。
銀座のツインテールの童顔で、目はカラコンを位寝ているのか、碧眼だった。普通の格好をして、厨二病という病を煩わなかったら、嘸かしモテるだろう。
ってか、ゴスロリって、アニメとかラノベの世界だけじゃ無く、本当に居るものなんだな…。初めて見た。
ーー35分後
「んー、しどーさん遅いな。大丈夫かな?」
「おい。お前だったのかよ!声かけろよな!なんで気付かねぇんだよ!この、莫迦野郎が!」
「は?なんだよ急に。今忙しいんだ。俺は、お前みたいなゴスロリの厨二ちゃんに構ってる暇はねぇんだよ。遊んでほしいのなら他当たれ。」
俺が呟くと、隣にいた白装束のゴスロリが俺に向かって暴言を吐いて来た。
ったく、最近のガキはマナーがなってねぇな。
初対面の人に莫迦野郎とは。馬鹿ではなく、莫迦を使う辺り、厨二臭い。
「だいたいなぁ…、今時厨二って、どうな…っ!」
俺が、説教モードに入ると、ゴスロリ厨二が俺の手に噛み付いて来た。
「痛っ、噛み付くなって、お前狂犬病とか持ってそうで怖いんだけど。それに、ばっちい。」
「え、そ…、そこまで。」
「ん?どうしたんだ?」
今度は俯いて、何か呟いている。
なんだなんだ?呪文か?魔法か?魔術か?
「そんなに言うこと無いだろぉ!しどーだって、立派な乙女なんだよっ!そんな事を言われたら、傷つくんだよっ!」
ゴスロリ少女は、今度は大粒の涙を目尻に浮かべながら、俺の胸を叩く。
あぁ、言い過ぎた。この状況やばく無いか?警察さんに、やれ児童虐待だの少女強姦だの言われて、黒くて硬いものを手に嵌められるんじゃ無いか?
「ごめんごめん。悪かったよ。おにぃさんが遊んであげるから。えっと、しどーちゃん?え、しどー?まさか!?」
「ぐすん、だから言ってんだろ!しどーは私だよ!あと、ガキ扱いしてんな!これでも、20だ!」
そのなりで20歳というのも驚きだが、一番驚いたのは、文章ではあんなにいい子だったしどーさんが、こんな厨二チックな服を着て来て、銀髪で、ツインテで、合法ロリで、口が悪いという事だ。色々と驚き過ぎて、一つにまとまらん。
「そっか、あんたがしどーさんだったのな。なんつーか、萌えだな。」
「お前もしや、ロリコンなのか?」
「んー、まぁそーだな。合法ロリコンかな?シスコンでもあるぞ。」
「うわぁ…、キモっ!」
「ほっとけよ!」
と、笑いながら言うと、しどーにも笑みが溢れた。
初対面でこんな話するって、普通ないだろうな。
でも、しどーは話しやすくて、ついボケてしまう。
「じゃあ、まぁ。行くか?何処かに。」
「だな!どこに行くんだ?えっと…。」
「フルネーム、天宮寺泰正だ。どう呼んでもらってもいいぞ。」
「ん。てんぐーじ!しどー、焼肉食べたい!てんぐーじの奢りで。」
「しょうがねぇな。そのくらいだったら、奢ってやるよ。」
「やりぃ!やっきにっく!やっきにっく〜!」
しどーは、ご機嫌絶好調で焼肉屋への道をスキップで駆けていく。
んー、こう見るとやっぱり子供にしか見えないな。
なんか、もう一人妹が出来た気分だ。
◇
「ふんふふ〜ん。カールビにタンにバラにリブぅ!ヒレにモモに極め付けは〜サーロインっ!」
「そんなに頼んだのは良いけど、食べれんのか?俺もそんなに食える自信無いぞ?」
俺としどーは駅近くの、県内では、割と有名な焼肉店に入った。値はまあまあ張るが、新鮮で良い肉が食べられると有名な店で、週末の昼時になると、2時間待ちは普通らしい。今日は平日で、ピークも過ぎているので、割とすんなりと入ることが出来た。
そして、俺としどーは食べ放題5000円コースを選択し、今に至る。
「大丈夫だっつーの!肉は別腹だしっ!」
「おい、じゃあお前の本物の胃袋には何が入るんだよ!?」
「そりゃまあ…、色々だよ!しししっ!」
しどーは、満遍の笑みで言う。
その笑顔は眩し過ぎて、俺みたいな汚い大人には直視できないほどだ。
「さいですか。そー言えばさ、俺と職種似てるって言ってなかったっけ?」
「はむはむ…そへはほまむもわはふはほへはっはははら。」
しどーは、ハムスターのように肉を口に詰め込みながら話すので、何を言ってるか全くわからなかった。
「飲み込んでからで良いから。行儀悪りぃーぞ。」
◇
「こほん。わりぃー、はしたない姿を見せちまったな。えっと、しどーの仕事だっけ?」
「そうだ。お前って、何してる人なんだ?厨二アイドルか?」
「あ、アイドルなんて〜、しどーが可愛いからって、あんまお世辞言うなよな〜。惚れちまうだろ。莫迦やろう。」
あー、こいつ。自分の都合のいいところだけ切り取ってやがる。普通に嫌味だったんだが……。
俺は惚れられちまうのかよ。意外とちょろいなこいつ。
「マジで、お前の職業なに?」
「え、普通にラノベ作家だけど?」
「え!マジ?どこ文庫?タイトルは?」
「いやいや、お前と同じだって。お前、妹こまの天宮寺だろ?しどーは、セカキボの呂利沢司堂だっての。あっ、因みにこれ本名な。お前と同じで、ペンネーム=本名。」
「ええ!?お前、呂利沢先生だったのか!!」
俺は店内である事も忘れ、興奮が最高潮に達してしまう。何故俺がここまで興奮するかと言うと、呂利沢司堂とは、『世界は希望と光から。』と言うラノベの作者で、総発行部数150万部の大ヒットを飛ばしている、凄い人なのだ。
しどーがそんなに凄い人なんて。
「まぁ、そう改まんねぇでよ。肉、一緒に食べようぜ?」
「まぁな、尊敬してる作家先生とは言え、お前は第二の妹みたいに思っちまってるからな。まあ、あって数十分しかたって無いが…。」
「いもーと、か。いいな!しどーは、てんぐーじのいもーとになってやるよ!」
「いやいや、例えで本当の意味じゃねぇよ。」
個性的すぎる妹が二人もいたら、体が持たん。
どっちも美少女だから、理性も持たん。
「そか、残念だ。」
「そんなに、残念がるなよ。また遊べばいいだろ?」
しどーの悲しそうに俯いていた顔が、パアッと明るくなる。
しどーは、口は悪いが、話しやすいし、いい奴だからな。これからも、仲良くしたい。
「そーだな!家もお向かいさんだしなっ!」
「そーだな!お向かいさんだし、いつでも遊べるな!………、ん?お前なんつった?」
「えっ?だから、お前んちの迎に引っ越してきたんだよ。つい先日。」
「えぇ!?嘘だろ?」
「本当だっつーの!嘘ついてどうすんだよ。」
しどーの言葉に驚きつつ、昨日辺りに、可憐が言っていた言葉を思い出す。
『ねぇ、おにぃ。さっきさ、滅茶苦茶可愛い子が挨拶に来てさ、お菓子置いてった。お向かいに引っ越して来たんだってさ。』
『へー、お前が可愛いって言うなら可愛いんだろうな。』
『中学一年ぐらいの子だった。』
『あー、それは無いわ。』
『だね。おにぃはロリコンじゃなく、シスコンだしね。』
『お、おう。』
ああ!確かに、向かいに越して来たって言ってたな。どうやら本当らしい。
「んー、まぁ、なんだ。ネタに詰まったり、遊びたくなったら呼べや。仕事無い時は大抵暇だから。」
「しゃーねぇから、呼んでやるよ!しどーが呼んだらちゃんと来いよな!てんぐーじ!」
そんな事があり、俺には男友達のような、妹のような、後輩の女友達が出来たのだった。
この事により、天宮寺泰正の平穏な日々が崩れていくのをこの時の泰正はまだ知らない。
この作品の、『妹』とは、可憐だけを指した言葉ではありません。確かに、血の繋がった妹は可憐ですが、しどーは妹系ヒロインと言う事で、登場させました。
これからの泰正はどんな事件に巻き込まれていくのか!?乞うご期待です!