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There is darkness place  作者: けろよん
改稿版

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22/30

帰ってきた故郷の城

 アクバンの率いていた悪魔の軍隊も従えて帰ってきた故郷の城。


「ここに前世のお兄ちゃんが住んでたの?」

「前世って……」


 光輝は希美の言葉に困惑するが、否定する言葉は何も無かった。

 ここが前世の光輝が住んでいた城だ。どうやらそのようだった。


「壊れていますな」

「うん」


 ゼネルの言葉に頷く。


「わしらが出かけた時はこうで無かったのですが」

「誰か暴れたんやろか」


 どうやら城はゼネルとリティシアが出かけている間に壊されたようだ。

 復旧しようと、あちこちで悪魔達が修理に追われていた。

 光輝はここまで同行してきた隣の隊長アクバンに訊いた。


「何かあったの?」

「竜の襲撃があったのです。今はどこかへ向かってから北の山へ去ったようですが」

「奴は人間界に現れたのだ」

「そこでお兄ちゃんがやっつけたんやで」

「さすがは王です。奴はまたいつ来るか分かりません。でも、王がおられれば安心ですね」


 褒められても光輝には苦笑いするぐらいしか出来なかったが。城内へ入って玉座のある部屋にやって来る。


「竜退治には明日向かうとして、今日は我らの歓迎をお受けください」


 明日は学校が、とは断れそうに無い雰囲気だった。


「歓迎だって楽しみー」

「パーティーやー」


 妹達はうかれているし、光輝は仕方なく歓迎会を受けることになったのだった。




 夜も更けて。

 明日は戦いがあるからと歓迎会を早めに切り上げさせた光輝は隅っこに移動して電話を掛けることにした。

 明日学校を休むことを連絡しておかないといけない。光輝の頼む相手は郁子しかいなかった。

 だが、やはりと言うべきか、携帯は圏外だった。

 光輝がため息をついているとリティシアがやってきた。


「お兄ちゃん、どうしたん?」


 ゼネルやアクバンは明日の準備で忙しそうだったが、彼女は暇そうだった。


「リティシア、希美は?」


 一緒にいると思っていた希美のことを訊ねる。リティシアの答えはこうだった。


「向こうで悪魔達を集めて魔術の講習会をやっとるで。お姉ちゃん物知りやな」

「何やってるんだか」


 希美のことをお姉ちゃんと呼んだが、リティシアと希美ではリティシアの方がずっと年上なんじゃないだろうか。前世の妹なんだし今いくつなんだろうと光輝は気になったが、女性に年を訊ねるのが失礼なことぐらいは知っていた。

 これ以上希美に弱味を握られないためにも、リティシアに余計な気を使わないためにも黙っておくことにする。

 光輝は自分の事情を説明することにした。


「電話が繋がらなくて」

「それならあっちの通信機を使えばええで」


 リティシアに案内されてついていく。

 そこにあったのは郁子が前に使っていた大きな通信機だった。まさか自分がこれを使うことになるとは思わなかった。

 光輝はリティシアに教えられるままに操作した。あの時の郁子は苦戦していたが、今度はすぐに繋がった。


「はい、凛堂です」

「凛堂さん? 調子はどう?」

「大分良くなった。明日には学校に行けそう」

「無理しないで。辛かったら休んでもいいから」

「うん」

「それで……やっぱりいいや」

「?」


 光輝は郁子に『明日もこっちにいることになったから学校のことをよろしく』と頼もうと思っていたのだが、彼女が本調子では無さそうだったので止めることにした。

 自分も無理してこっちに来ると言いかねない。それも学校をさぼってまで。

 人に迷惑を掛けるつもりはない光輝は何気なさを装って言った。


「それじゃあ、今日はゆっくりと休んで。また今度学校で」

「うん、またね」


 通話を終える。気づくとすぐ間近にリティシアの顔があってびっくりした。彼女はにやにやとしていた。


「お兄ちゃんとあのお姉ちゃんってどういう関係なん?」

「どうって、ただのクラスメイトだよ」


 友達どころか、こんな騒ぎが起こるまでは話したことも無かった。隣の席にいたが、特に意識することもない他人だった。

 少し美人だなぐらいは思っていたが。彼女の方も積極的に他人と関わることはしない口数の少ない少女だった。

 だが、リティシアは納得しなかったようだ。さらに突いてきた。


「嘘や。絶対恋人や」

「恋人ってお前なあ」

「お兄ちゃんが外で恋人作ってきたあ」

「ああもう、そんなこと言ってからかってくる妹にはこうだ」

「わひゃひゃひゃ!」


 少しくすぐってやるとリティシアはアホみたいに笑い転げた。子犬みたいで面白かったのでつい熱中してしまった。

 通り過ぎる悪魔達が仲睦まじい二人の様子に暖かい眼差しを向けてくるのには光輝もリティシアも気付いていなかった。

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