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オーネリアス大陸

 マイラルに来たときとは比較にならないほどオンボロ船にスシ詰めにされて、おれはマイラルからはるばるオーネリアス大陸へとやってきた。



 エルメドラ最大の面積を誇るオーネリアス大陸は、その広さからまだ3/4しか開拓が進んでいない。

 逆にいえば1/4はすでに開拓済みってことだ。



 だから、さすがにオーネリアスの玄関である港町ソルガは華やかだ。

 マイラルほどじゃないが商人の行き来も盛んだし町並みもそこそこ整っている。



 話には聞いているがここの名物は酒らしい。

 米から作っているそうだから日本酒に近い味だと想像できる。ソルガに来た観光客は必ず一度は飲むそうだ。



 もっとも、奴隷のおれたちにとっちゃただの通過点にすぎないんだけどな。



 そんなわけで馬車に乗り換えたおれたちは華やかな港町からさっさと離れ、マリガンさんが所有している鉱山の近くにあるウルジアへと向かった。





 ウルジアはソルガとは正反対の寂れた村だった。

 海沿いに面しており村民の多くは漁業を生業にしているそうな。



 近くに鉱山があるから、てっきりもっと大陸の内側にある村かと思っていたのでちょっと意外だった。



 よく考えたらオーネリアス大陸内部は未開のジャングルで、スナザメ先輩みたいな魔物がゴロッゴロいるんだから当たり前の話だったわ。



 ま、おれたち人類は大陸の端っこのほうでコソコソやってりゃええんや。

 フロンティアスピリッツだかなんだか知らんけど、他の連中が我がもの顔で介入すんのはよくないわ。



 今、このオーネリアス大陸はその所有権を巡って二人の王が争っている。



 ひとりは言わずもがな蛮王オーネリアス。

 もうひとりは支配権を全世界に広げようともくろむ魔王イドグレスだ。



 だがこの大陸はそのどちらのものでもない。



 マリガンさんはこの大陸は魔物さまのものだっていってたし、おれもそう思う。

 ここの空気を吸ってるとその思いはいっそう強くなった。



 未開の大地、魔物の楽園オーネリアスか。



 いいね、すげえ気に入ったよ。

 ではおれは矮小な人間のひとりとして、彼らの邪魔にならない場所でこそこそと働かせてもらうとするかな。





 採掘現場の責任者はガリガリにやせたじいさんだった。

 名前はラムダ。この道十五年のベテランで、奴隷の身分でありながらおれたちの指揮を任されているらしい。



 しっかしまあ、こんな貧相な体格で採掘作業なんてできるのかよ。

 もっともこんな貧乏そうな村でぶくぶくと太っているほうがおかしいけどさ。



 ラムダさんは簡単なあいさつを済ませると、おれたちに仕事の内容をかいつまんで説明した。



 これからおれたちが採掘する鉱物は『メドラダイト』と呼ばれる魔法石だ。

 魔法石はそれ自体が強力な魔力を保有しており魔道具を起動させるエネルギー源になるそうだ。



 こいつが結構ヤバい代物らしくて、素人が何も知らずに手を出すと、石に宿った魔力で体をやっちまうらしい。

 だから直接触らず、できる限り体に近づけないよう採掘しなきゃいけないそうだ。



 扱い方さえ間違えなければそこまで人体に害はないそうだ。

 ラムダさんが十五年もの間、無事で仕事をしてるんだからウソではなさそうだ。



「本格的な指導は明日から行う。本日は自由行動してもらって構わない。ただし夕方までにはここに戻ってくること」



 おうおう、奴隷に自由を与えるなんて太っ腹だねえ。

 まっ、こんなヘンピな場所じゃ逃げたところで意味ねえけどな。



 しかしこいつはラッキーだ。



 おれはこの村でどうしてもやらなきゃならないことがある。

 隙を見て脱走しようかと思っていたがやらずに済んだわ。


 

 さて――探し人は見つかりますかね。



 たいしてでかい村じゃないから余裕だとは思うが……夕方までまだたっぷり時間がある。

 村を探索しながらのんびり探そうじゃないの。



 おっと、ちょうどいいところにご老人が。

 あの~すいません。ミネアさんのお宅をご存じないでしょうかあ?



「■■■■■」



 ……何いってんのかわかんねぇよ。

第三章始まります

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