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再開



「おまえが連合軍を率いてリベンジしにきたという噂を聞きつけてな。こうして駆けつけてやったんだ。もっと喜べ」


「あんた、ちょっと前にデンゼルに殺られてたじゃねえか?」


「デンゼル? 誰だそれは」


「蜘蛛どもの仲間だよ! 神父みてえなカッコしたやつだ!」


「知らんな。それより空軍のほうは無事か?」



 そっちはだいたい無事だよ。飛空艇がねえとあいつら無力だから率先して回収した。

 今は後衛で補給活動を……って、んなこたぁどうでもいいんだよ!



「先ほど放ったカードは、一種類の効果だけなら私以外にも使える。配布してやれば陸では無能なあいつらでもそこそこの仕事ができるぞ。あははっ!」



 この尊大な性格、間違いなくマリィだ。

 なんで生きてるのかまるでわからんが、こいつは貴重な戦力だぞ。



「マジックさんは?」


「もちろんいるさ。ちょうど今、魔法騎兵隊を率いて前線と合流したところさ」



 そうか、みんな無事だったか。

 さすがは世界最強の軍隊、おれが心配するまでもなかったぜ。



「積もる話はこの蜘蛛どもを片づけてからにしよう」



 ああ、そうだな。

 最強の個を誇るイドグレス魔王軍に、最強の群であるリグネイア陸軍が加わった。

 この戦、負ける気がしないぜ。







 スパイダとの戦闘は日が暮れる前に決着がついた。


 魔王軍だけでも充分だったところに魔法騎兵隊が加わったのだ。

 当然ながらこちらの圧勝。

 敵戦力の八割を破壊。残ったスパイダも蜘蛛らしく蜘蛛の子を散らすように撤退していった。





 奪還したロンデリオンでおれたちはしばしの休息を取る。


 つってもスパイダのせいで町中ボロボロで、休んだところで補給できるのはせいぜい体力ぐらいなんだけどな。

 まずは町の機能を回復させんことにはどうにもならん。

 レギンフィアに突入するのはその後だ。



「おおリョウ、おまえさんの憎たらしい面がやけに懐かしく感じるわい」



 すっかり見晴らしのよくなった宿屋跡で、おれはマジックさんと握手を交わす。



「あんたならしぶとく生き残っていると信じてたぜ」


「そりゃこっちの台詞じゃわい。おまえはころしても死なん男じゃからのう」


「ころしても死なんっつうのは、おれじゃなくてそっちだろ」



 おれは魔法のタロットのメンテをしているマリィを指さしていう。



「刑務所で機人にころされたはずの女が、なぜかこうしておれの前にいる。もしかしてこいつゾンビなんじゃねえの?」


「頭をふっ飛ばされても生還してくる男がそれをいうか?」



 おれは実際ゾンビみてえなもんだから。

 あんたもそうなったんじゃねえのかって話だよ。



「だが、それでおまえが驚いている理由を理解した。刑務所でころされたのは私ではない。私のホムンクルスだ」



 ホ、ホムンクルスぅ!?



「ああ、あんたの工房で造られてた人造生命体あれのことか……って、もう完成してたんかい!」


「いや、していない。同僚に先を越されたんだ」



 マリィが忌々しそうに吐き捨てた。



 人工生命体ホムンクルス。

 大量生産可能な人造の兵として注目され、多くの錬金術師に国から開発が依頼されていた技術だと聞いている。


 錬金術より高度で実用化はとうぶん先だと聞かされてたんだがなぁ。



「今回、試験投入するためにサンプル遺伝子が必要だったんだが、私が志願して遺伝子を提供した。どれほどの性能か直接この目で確かめるためにな。その結果がこれだ」



 ――ホムンクルスは全滅し、私だけは生き残った。



「どうやら再現できるのは外面と性格だけのようだ。とんだ不良品だよまったく」



 充分すげえじゃん。

 ていうか、おれが知る限りあんたそこまで到達してないじゃん。

 変な対抗心を燃やさずに素直に褒めろよ。



「ホムンクルスでは少しだけ先を行かれたが、錬金術では絶対に勝つからな!」


「競争は大いに結構だけど、その前に機人どもをぶっ壊す方法を考えようぜ」


「そんなもの、いわれなくともすでに考えてある。先ほど私が投げたカードを見てなかったのか?」



 ああ見た。

 愚者のカードが当たった瞬間、スパイダが次々と機能停止したのには正直驚いた。




「色々試してみたが、一番効果があったのがあのカードだ。連中の人工知能はそうとうレベルが低い。わずかな介入で簡単に無力化できるぞ」



 まあ、あのイドグレスでさえコンピューターウィルスで一発だったわけだしな。

 魔王よりずっと構造が単純で、ショボいAIしか積んでないスパイダなら、マリィの実力ならハックしたい放題ってわけか。



 ……たぶん意図的だろうな。



 あえて程度の低いAIを乗せることで自我を抑制し反乱の防止。

 それで起こる戦力の低下を単純構造で大量生産することで補う。

 戦いは数だよ兄貴ってなもんだ。



 だがそいつは大きなミステイク。



 戦いは数ではなく質というのがおれの持論。

 数さえ揃えればいいのなら兵の訓練なんぞまったくの無意味。

 そこら辺にいるパンピーを適当に戦地に放り込んでも、数が多ければ勝てるということになっちまう。



 あくまで質あってこその数だ。

 そこを理解していないから機人はかつて、質を重んじる集団である魔族に敗北したのだ。



「このカードを量産して蜘蛛を討伐したい。手伝ってもらうぞリョウ」


「いわれなくとも」



 あれから少しは成長しているものかと思ってたが、この様子ではそんなことはまったくないようだ。

 まさにタロットカードの暗示通りの『愚者』ってことだ。



 まあ無理もない。

 機械には勝てないから機械に屈服しようなどと考える、哀れな脳みそしかないわけだからな。



 人間は将棋で機械に勝てないから、これからは機械の対局だけを組もうなんて考えるアホがどこの世界にいる?



 機械には機械の良さがあり、人間には人間の良さがある。



 そんなこともわからんアホが率いている軍団が強いわけがねえわ。

 おれたち連合軍がまた『人間の力』で叩き潰してやるよ。

 今度は二度と復活できないよう、徹底的にな。



力が再び集結する

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