最終話 獣人王国は永遠に不滅! ――にしたい
ニューカトラ獣人王国の様子もかなり安定してきた。
今もインターニュたちが定期的に変な神様が増えたりしてないか、確認しているが、こちらも少なくとも見つかってはいないらしい。
一方で、政治情勢のほうはセルロトが自分を信仰している者のツテを使って情報を探しているようだが、こちらもとくに問題はないようだ。
というわけで、私も守護神として、ほっとひと息つけるというわけだ。
そして、その日は偶然、リオーネも同じだった。
「ほかの人たちにお仕事を任せてきました」
お昼から私の部屋に入ってきたリオーネは、そこで、「う~ん」と体を伸ばした。
もちろん、だらけているなんて思わない。長らくリオーネが昼夜兼行で働いてきたことを私もよく知っているからだ。
「最近、部下に当たる人たちも、かなりしっかりしてきて、以前よりもお仕事を任せることができるようになってきました。ありがたいことです」
「王様としては正しいことだね」
王みずからがやたらと働くというのは、あまりいいことじゃない。王様というのはほとんど何もしないぐらいのほうが国としてはいいのだ。
「今日は旦那様とごろごろしようかなと思いまして……」
うれしいことを言ってくれる! 私のテンションもそれで上がった。
「はい、はい。今日はゆっくりしていきなさい」
私はリオーネを後ろから抱きかかえるようにして、ごろんと転がった。
夫婦水いらずの生活だ。誰にも邪魔させないぞ。
「旦那様」
「何? リオーネ?」
「この国って、これからも平和に続きますかね?」
王様らしい率直な質問だった。
なにせ、国の存続は王にとっての命みたいなものだから。
だからこそ私は率直に答えようと思った。
「そんな私にだってことわからないよ」
神様には未来を予知する能力などない。人間から見れば全知全能に見えるかもしれないけど、それほどまでじゃない。
「もしかしたら、いきなり国が侵略されて滅んじゃうかもしれない。外国から知らない国が攻めてくるかもしれない。私たち神は力にはなれるけど、それは力になるだけだからね」
「ですよね。でないと、どこの国も滅ぶことなんてないですもんね」
リオーネはわかっていたというような反応だったけど、それでも声は寂しそうだった。
「それでも、私はリオーネを守り続けるけどね!」
私はリオーネを抱き締める手にぎゅっと力を込める。
「神様の前にリオーネの夫だから。妻が悲しむようなことをするわけない!」
リオーネは私の腕から離れると、くるっと振り向いた。
その目はちょっと涙ぐんでいて、にじんでいた。
「わたしも旦那様とずっと一緒にいたいです!」
今度はリオーネから抱きついてきた。
私もそのリオーネを受け止めてやる。
永遠なんてものはない。
自分が守護神をしていた国が滅んだことで、それは痛いほどに知った。
だからこそ、少しでもリオーネとの日々を長く過ごしたい。
それが神としての私の願いだ。
「…………呼んでも出てこんと思ったら、いちゃついておったか……」
奥で気まずそうな顔をしてるインターニュと目があった。
「げっ! インターニュ! いつからいたの!?」
しかも、ほかにもセルロトほかいろんな神が揃ってるし。
リオーネはすぐに私から離れて、顔を赤くしている。そりゃ、そうだよね……。
「来たのは今さっきじゃ。ちょっと緊急の件なのでここまで入ってきた」
「いったい何? しょうもないことだったら承知しないよ」
「新しい神が見つかったのじゃ」
私はため息をついた。
これは放っておけないな。
「はいはい。すぐに作戦会議を開きましょうか」
◆終わり◆
今回で最終回といたします。ここまで読んでくださってありがとうございました。
また、後半、ネタ切れ(とくにこっちの比重が大きいです……)とほかの別の仕事の過多で更新が滞ってしまい、ごめんなさい……。
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