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邪神認定されたので、獣人王国の守護神に転職しました  作者: 森田季節
気弱な神様

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25 トップ偶像への道

「祭祀を定めるってどういうこと? これまでも獣人の人たちは神殿に来て、祈ってくれてるけど」

 インターニュがちょっとあきれた顔をしていた。

「それは民の素朴な祈りの次元じゃろうが。それはそれで大事じゃが、たとえば各地の神殿に派遣されている巫女や神官が何を行えばいいか定めんといかん」


 そういえば、そういうことは経典でちゃんと書かれていなかったので、課題として持ち越しになっていた。

 細かく書くとマニアックになりすぎて、民衆が読むのを放棄したりする気がしたというのもある。できるだけベーシックな経典ぐらいはみんなに読んでもらいたい。


「そうか、おぬしのおった国はかなり宗教的にゆるかったらしいの……。じゃから、信仰も弱まってきおったんじゃな」

 インターニュが深いため息をつく。ディスられてるらしいが、適当だったというのも事実だから、強く出づらい。滅亡するまでの五十年とかは聖職者も相当ゆるくやっていた気がする。


「よいか? ここはニューカトラ、つまり王国の首都じゃ。じゃから、教えもしっかりしておる。そもそも、異端の教えや曲解があれば神である我々が気付くしの。しかし、信仰というのは辺境にいけばいくほど変質していくものじゃ。その教えがあまりにも異なりすぎると違う宗教になってしまうし、そうなれば我々に信仰の力ももたらされぬことになるぞ!」


「な、なるほど……」

 かなり気合を入れてインターニュはしゃべっていた。

 たしかにあまりに何も決めてなかった場合、辺境の聖職者が適当な教義や祭祀方法を作り出してしまうおそれがある。その土地の人も中央の正しい教義や祭祀を知らないから、そのまま騙されて信じてしまうだろうし。


「では、聖職者は毎日、獣の血を捧げるとかそういうのを入れますか?」

 セルロトがグロい提案をしてきたが、これは無視する。


「祈りの言葉をはっきり定めて、それを聖職者は一日二回、祭壇に向けて唱えることにしよっか。文句は『ただ、ただ、国をあまねく照らす守護神ファルティーラ様に誠心を捧げます』とかでいいんじゃないかな」


 自分としてはこういった言葉ぐらいしか考えてなかった。だが、神が多いと全然違う提案もやってくる。


「神に捧げるものとして、踊りもいいですね。ボクを信仰してたサトゥロスは踊り好きで、よく、祠の前で踊っていたものです。ボク自身はそんなに上手くないんですけど」

 オルテンシア君らしい発想だ。そして、なかなか悪くない。

「ご意見ありがとう。じゃあ、特別な日を定めて、その日は踊りを奉納することにしよっかな。年に四回とか五回ぐらい?」


 リオーネは私の言葉を紙に書き留めている。神の言葉を聞くのが巫女の使命なので、忠実に仕事をしている。


「ところで、踊りとはどのような踊りですか?」

「それは神々しくて、かつ、見ていると元気になるような踊りがいいかな? 人数は状況によって違うだろうけど、普通は四人ぐらいで」

「いえ、コンセプトではなく、実際の踊りを見たいのですが。でないと地域ごとに全然違う踊りになってしまいますし」


 それは正論だと思った。しかし、そのあとにこんなことを言われるとまでは思っていなかった。

「一度、実体化して、巫女や神官たちに手本を見せていただけないでしょうか?」

「へ?」

「それが正しい踊りを奉納するために一番よいかと思うんです。ご検討お願いします!」


「いいですねえ、やりましょう。協力しますよ。わたくし、こういう変なイベントは大好きです」

 セルロトの尻尾がぶんぶんと横に振れていた。


「しょうがないのう……。まあ、手伝ってやるぐらいはしてやろう。頼まれてはやむをえんからのう」

 インターニュも割と乗り気だった。まだ頼んでないぞ。

 あれ、なんかみんなで踊るということで確定してない?



 三十分後。

 私達、神四人は踊りの練習をすることになった。


 ぶっちゃけ、私はしたくなかったのだが、引くに引けなくなったのだ。こんなことなら基本は二十人で踊ることにするとか、再現しようのないことを言っておくべきだった。


 内気なオルテンシア君もおどおどしていたが、逃げる勇気がなくてここにいる。

「ボク、踊りは下手ですよ……」


「別に恥ずかしがることはありませんよ。今のわたくし達は誰にも見えてないわけですから。見えるのは、踊りの手本を教える人間という設定で登場する本番当日だけです」

「それでも、本番には披露するじゃないですか……。ボク、運動神経悪いから、踊るなんてできないですよ……」


「そのための練習ですよ。しっかりやっていきましょう」

 最近、セルロトの性格がわかってきたが、この神、お祭りごとというか、イベント全般が好きなのだ。


「上手くなったら、また祭りでやったように偶像の姿で顔を出すのじゃな。よし、歌って踊れトークもできるトップ偶像を目指したいものじゃ」

 インターニュの発言も何かおかしい気がする。偶像として覇権を取りにいこうとしてないか?


「ええと……監督プロデューサー役のリオーネです……。皆さん、よろしくお願いします……」


 恐縮しながらリオーネが頭を下げた。


「それでは開始ですねえ。リーダーのファルティーラさん、踊りの振り付けを教えてください」

「セルロト、それって私が決めないといけないの?」

 やったことないぞ。

「当然でしょう。ファルティーラさんの祭祀に関するものなんですから」


 マジか……。

「ええと、こんな感じ? まず右足を出して次に左足を……」

 ひとまず足を動かしてみる。何が正解かわからないので、やるだけやる。


「失格じゃな」「失格です」「ごめんなさい、ダメです……」


 神三人にダメ出しされた……。

「そんなこと言われてもわからないって!」

「ファルティーラ様、恥ずかしさが残ってます! もっと見てる人が一緒に踊りたくなるようなのをお願いします!」


 リオーネにもダメ出しされた。見事に四面楚歌だな……。


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