表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
邪神認定されたので、獣人王国の守護神に転職しました  作者: 森田季節
気弱な神様

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/63

23 経典を作ろう

「じゃあ、ここから真面目な政治の話をするから、リオーネも呼ぶね」

「わたくしにとってはすべて真面目でしたよ! 男の子が女の子になっちゃうんですよ! 大事件じゃないですか!」

 なんだか、セルロトにとって大好物な話だったことは間違いないようだ。人の趣味もそれぞれだから、別にいいんじゃないかな。私はよくわからないけど……。


 おそらくだけど、セルロトの秘密結社でも背徳的なことが逆に価値を持ったりするんだろうな。私のいた大陸でもヤバい邪教の中にそういうのあった気がするし。


 さて、話はここで本当に切り替えになった。リオーネを交えての話だ。


「私が確認したいのは、ガルム帝国の動き。この獣人王国が大きくなってきたから、侵略に来たりしないかなって……」

「帝国が隣り合っておるなら、よくないことになっておったかもしれんが、我々とあいつらの間には沙漠も高い山もある。戦費もかかるから割に合わんし、そう怖がることはないと思うぞ」


 インターニュはとくに気に留めてはいないらしい。

「わたくしもターニュさんに賛成です。人間の体でこちらに攻め寄せるには労力が大きすぎますね」

 セルロトはインターニュのフルネームは絶対に呼ばないスタンスらしい。


「ボクは長らく森にいましたけど、北の人が軍隊で攻めてきたことなんて五百年はないですよ」

「王国議会のほうでも帝国を危険視する意見はないです、だ、旦那様……」

 時たま、旦那様と呼ぶのにリオーネはこだわるなあ。私もちょっとむずがゆいけど、リオーネもそうなんだろうな。

 ちなみに最初は村の寄り合いの延長線上にあった会議も「王国議会」というものものしい名前がつけられている。現在、議会の選出基準を正式に検討しているところらしい。


 どうやら、全会一致で、帝国に関しては大丈夫ということらしい。

 私が違う大陸出身だから、逆にそのへんのことがよくわからず、不安になっていた部分もあるのかもしれない。

「そしたら、今しばらくはこの国は平和ってことだね。なら、いいんだけど」


「旦那様、むしろ、北の帝国より南にあるラフィエット王国との関係のほうが大事ではないでしょうか? とくに問題は起こってないですが」

「ラフィエット王国かぁ……」

 たしかにそっちのほうが直線距離でははるかに近かった。帝国と同じでその間に荒地みたいなのが広がっていて、隣接しているというわけではないが、前のお祭りの時もラフィエット王国の人が来ていたりした。交易なども行われている。


 ラフィエット王国とは大陸南部というか南端までを支配している国だ。そこまで好戦的な国ではないし、大陸中央部に進んでもあまり旨味がないので、むしろ海を渡って別の島を支配しようとしていたりするらしい。


 昔からこの王国の塩売り商人が獣人王国にも顔を見せている。ほかにも干した魚を持ってくる者もいる。たいてい、獣人王国に珍しいものが来たとしたら、このラフィエット王国の人間が関係していると思って間違いない。


 王国から来た商人などの話によると、それぞれの地域の諸侯が力を持っていて、連邦国家のようになっているという。国王自体はお飾りみたいな色彩が強いらしい。


「南の王国も動きはないようだし、じゃあ、獣人王国は平和って結論でよいかな。国際情勢としてはいい感じ」

「だ、旦那様、それだと平和なうちにやっておきたいことがあるんですが」

 リオーネのほうから話を切り出してきた。かなり真剣な表情だ。

「うん、何?」


「経典を作りませんか?」


「きょうてん?」

「はい、これまで、だ、だ……ファルティーラ様はそのお力を示されてきましたが、国が大きくなって力を見ていない方も増えてきていますよね」

 どうでもいいけど、旦那からファルティーラに戻ったな。そこまで努力して旦那と呼んでいるんだ。


「そろそろ、ファルティーラ様の偉大さを知らしめるための手立てがいるかなと思うんです」

「たしかに、経典のまったくない宗教などほとんどないからのう。なんとなく、この国の守護神ですというのでは納得できぬ者もおるじゃろう。わらわは元の国の経典が残存しとるし、セルロトもなにがしかのものを結社ごとに作っておったりするじゃろう」


 そうか、この地でもう一度ファルティーラ教というものを作るために経典がいるわけか。


「現在、これまでファルティーラ様と私が出会ったことからこれまでのことはちゃんと書き残しています。歴史書的なものになるかもしれませんが、経典にも加えられると思います。ただ、経典には神様が人々に語りかけるような部分もいりますよね。それはファルティーラ様ご自身に力を貸していただくしかないかなあと」

「そうだねえ。考えとく……。でも難しいなあ……」


 まあ、意味はよくわからないけど、とりあえずいいこと言ってるぞという内容を入れればいいか。「みんな仲よく元気よく」「楽しい一日は笑顔のあいさつから」的な。


 けど、リオーネが目をきらきらと輝かせていた。

「ファルティーラ様ならではの最高にかっこよくて、最高にためになる、多くの方がさらなる信心に励めるようなお言葉をお願いします!」

 ハードル上げられた!

 これは雑に作ると幻滅されるぞ……。なかなか大変なことになりそうだ……。



 私は一人になって黙々と経典に入れる言葉を考えていた。


 そうだな、まず、神の設定も中に書いておかないといけない。


===

ファルティーラ

悪しき者を許さない、太陽の化身とも言うべき正義の神。実はこの大陸の獣人を守るためにほかの大陸からやってきた。その髪は黄金色に輝いているが、これは正義の力の象徴。

その衣は神の世界の絹糸でできており、どんな泥がかかろうと決して汚れることはない。

表情は凛々しく、人生に立ち向かっていこうとするすべての若者の理想を形にしたようである。

===


 作っていて思った。

 これ、小説の設定資料集みたいだ……。

 私のいた国では小説というものが主に書店で貸し出されていたが、それにこういうページがあったような……。

 自分で自分の設定を作るのって、想像以上に恥ずかしいな……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ