〔第3話〕大澤兄妹の憂鬱
「……兄ちゃん遅いなぁ…。」5年生の大澤稲穂は、きっと来るはずの双子の兄『大澤絵連』を待っている。
すると、「あれ?稲穂何してんの?」と同じクラスの矢口綾が話しかけてくる。
「ちょっとね、兄ちゃん待っててさ。」と言うと、綾は、「へ?絵連?教室に残されてたけど…。」と。すると、「おーい!」と遠くで声がした。あれは間違い無く絵連だ。「やー、悪い。説教食らってた。」
「もう、遅い‼︎」と少し稲穂が怒り気味になると、話を逸らす様に、「あ、そういえばこの間な、すっげー奥が深そうな洞窟があってさ」と言う。「どうする?行く?」と聞かれるが、稲穂は唐突過ぎて少し迷っている。
しばらくして稲穂が、「んー…じゃあ…行く」と言った。「よし!じゃあ行くか!」
そして、その例の洞窟に入る。
「ん…結構昼なのに暗いね」
「ああ、なーんかここだけ暗いんだ」
とその瞬間…。
「ふーん…わわっ⁈」
「「大丈夫⁉︎」」
絵連と綾が稲穂を引き上げようとした頃にはもう遅く、三人一緒に穴に落ちてしまった。
「...丈夫?大丈夫?」
三人が気付いた所には、クラスメートの朝川浅花と、その兄と従兄である浅也と詩音がいた。
この三人は、まとめて「天才朝川兄妹」と呼ばれているので、学園内でも有名で、稲穂達の学園の中で知らない人はいない。
すると、マスコットのような猫の妖精(?)が、
「君達がここに来たのは運命だったみたいだね...。」と言いだした。
どうしたコイツ、と思っていると、
「あ、これ、普通にマスコットだから。気にしないで。」と詩音が補足をした。すると、「ちょっと詩音さん‼︎やめてくださいよ、セブンファイターにしなくちゃいけないんですから」と妖精が言うと、
「んあ、そうだった、悪い悪い」と言う。
「っと、今の話は聞いたよね?まぁ、こういうこと。ちょっと、お願いしていい?」
と浅花が聞く。
少し迷って、絵連が口を開く。
「…現実主義の浅花がここまで真剣になっているんだから、ふざけた内容じゃあ、ないな」
「そうだね、協力、しよう」と綾も続く。
「じゃあ、いいよ。その、セブンファイターに、なるよ」と稲穂が言う。
すると、「よし!今日の仕事終わり〜!」と浅也が言う。
あの天才朝川兄妹も、結構ゆるい一面あるんだな、稲穂はそう思った。




