逆転勝利
痛みって何だと思う?」
彼女は突如として、そう聞いてきた。
「痛みって人それぞれあるんだよ、いろんな痛みがね。物理的なのもそうさ、精神的なものも。」
彼女はまるで卓越したかのようにそういうのだった。
「私はね、親に暴力を受けて家庭をバラバラにされたんだ。DVだよ、いわば。私はそこで痛い目にあった。そのとき思ったんだ。家族なんて、いらないって。痛みを感じないといけないような関係なら、ない方がいいって。」
彼女は僕の方を見てそう言うのだった。
「君が告白してきたときは断るつもりだったんだ。」
彼女は寂しそうな目をしてそう言った。
でもね、彼女はそのあとこう続けた。
「君はこう言ってくれた。一緒に苦労しようって。一緒に傷つこうって。だから、私わかったんだ。痛みってたくさんあるけど、いい意味の痛みだってあるってこと。」
彼女は僕を見てこう、続けた。
「よろしくお願いします。私と一緒の痛みを分かち合ってください。」って。