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RAY ANGEL SPACE REMIX  作者: 迫田啓伸
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6-6

 でも、今はどこからどこまでが自分なのか。

 レイ・エンジェルの頭の中に入っている肉体がそうなのか。

 でも、それだと脳だけでも充分だ。

 それだとセリナは、セリナじゃなくレイ・エンジェルとして生きることになってしまう。


どんなものにも終わりが来るのか。

 あ、じゃあ、どうして生きているんだろう。

 どうせ死ぬのに、なんで生きる必要があるの?

 それなら、楽しいこと、悲しいこと、嬉しいことなんか何も知らないまま死ぬほうがいい。

 生きた証を残したって、誰も知らなければ何にもならない。

 歴史に名を残しても、その星がなくなったんじゃ、意味のないことだし。

 私が誰か、たとえばトシくんとか好きになって、子供産んで家庭を作っても、結局は別れのときが来る。

 今でも、私がレイ・エンジェルとして死んでも、誰も知らないし。

 何の問題もない。

 記憶を操作すればいいじゃない。

 だって、私が地球で何をしていたか、まったくわからないんだもの。


 目を開けると、小さな閃光が瞬いては消えていった。

 ほんの少しの時間だと認識していたが、かなりの時間が経っているらしい。

 空間がゆがみ、鼓動する。どれまで続くのだろう。

 一向に巨大生命体から離れる様子はない。

 こんなに時間がかかったら、いつ襲われてもおかしくない。

 もしかしたら、もう見つかっているかもしれない。

 それなのに、巨大生命体はその場から動こうとしない。

――あれ? なぜ?

 コネクターの声が聞こえた。

「どうしたの?」

「あと24時間ほどで、この空域を抜けます」

「そう」

 寝転がったまま、見上げていた。

 時々変色し、時々爆発を起こし、時々波打つ。

 生物らしい動きが確認できる限り、やはりあれは生命体なのだろう。

「ねぇ、私が地球で何をしていたか、わからない?」

「すみません、データがありません」

「どのくらい、宇宙を航行しているの?」

「計測不能です」

「エデンはあと、どのくらい動けるの?」

「わかりませんが、今は船体が正常に戻りました」

「苦しかったこと、ある?」

「そうですね。宇宙船の墓場に入ったときは、計器が今までにないほどの異常を示しまして。脱出できる可能性は低かったですね。後、ブラックホールに吸い込まれそうになったときとか」


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