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RAY ANGEL SPACE REMIX  作者: 迫田啓伸
61/71

5-9

 レイAは赤い体の宇宙生物に向かった。

 レイAの飛行速度は白い残像を残すほどだった。

 宇宙生物は角の先についている目玉を動かし、はさみを振りかざす。のこぎりのような歯が口の中にびっしりと植えつけられている。

 尾を左右に動かし、前進してくる。

 勝負は一瞬で決まった。

 レイAは宇宙生物の口の中に槍を突き刺し、そのまま持ち上げて投げ飛ばす。

 宇宙生物は赤黒い体液を撒き散らしながら、宇宙の彼方へ飛んでいった。

 レイAは周囲を見回した。

「もういないみたいですね」

「そ、そう?」

 コネクターはヘイルと顔を見合わせた。コネクターは相変わらず微笑んでいた。ヘイルの肩から力が抜けた。

 コネクターにセリナは大丈夫かと尋ねてみた。

「大丈夫です。ほら」

と、コネクターは画面を指した。

 レイAは既にエデンに降り立っていた。

 カメラに気づいたらしく、レイAはカメラ目線で手を振っていた。

 船のコースを変えるとコネクターは言った。

 このままだと恒星の引力につかまってしまうからだ。そうなったら、エデンは恒星に引き寄せられ、燃え尽きてしまう。

 コネクターは咳払いをし、大声で

「お疲れ様でした。もう戻ってきてください。え、入り口がわからない? 誘導します」

 そのとき、エデンが大きく揺れた。一瞬、照明が消えた。

「な、なんだ?」

 揺れはなかなかおさまらない。

 それどころか、時間が経つにつれて激しさを増しているようだ。

 ヘイルは立っていられなくなった。床に倒れこみ、柱にしっかりしがみついた。

 映像も乱れていた。

 ノイズが走り、時々にしかレイAの姿が見られない。

 かろうじて映るレイAは、エデンの外壁にしがみついていた。

 シャイニング・フォームのままだったので、セリナの表情はよくわかる。

 宇宙生物との戦闘ではまったく見せることのなかった苦悶の表情を浮かべている。

 翼は折りたたまれた。

 尾羽根は髪と同じく、引きちぎられそうになるほど、激しくはためいていた。

「宇宙に風があったのか?」

「そんなはずは」

 このときばかりはコネクターもうろたえていた。

 空気のない宇宙に風があるなんて……。

「ハッ! まさか、恒星風!」

 カメラはレイAから恒星に向いたようだ。

「な、なんてこと!」

 映像を見たコネクターは頭を抱え込んだ。


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